第157話 祝勝会
【オークソーサラー C-ランク】
【オークの上位種。魔法を扱うことができ、使用する属性は個体によってさまざま。肉は通常のオークよりも美味。】
たまたま遭遇したオークの上位種。
見た目の違いは、オークよりも少しだけ背丈が高いのと木製のぼろい杖を持っているくらいか。
『上位種のオークは通常のオークよりも肉がうまいそうだ』
『ならば逃がす手はない!』
狼王の放った風の刃によって、オークの上位種は何もできずに首をちょんぱされた。
最初から逃がす気なかっただろ。
『残念ながら、他のオークの上位種はいなさそうだ……』
『一匹で充分な量あるんだから落ち込むなって』
『それもそうだな』
『立ち直るの早っ』
オークの上位種を引っ張りながらマイホームに向かう。
オークやゴブリンなんかの集落を作る系の魔物だが、上位種が一匹だけで動いているようなときは近くに集落がある可能性は低いそうだ。
逆に上位種が数匹で固まっていたり、配下を率いてたりする場合は集落がある可能性が高まるらしい。
ジェネラルのような複数進化を重ねた個体が配下を率いていたりした場合は、ほぼ確実と言っていいらしい。
今回は一匹だけの単独行動だったから、野生のオークがその辺で進化したのだろう。
というか、近くに集落があったら狼王が気づくか。
『オークの上位種の肉を食べるのは初めてだから楽しみだ』
『私もだ。うまく焼き上げるのを期待しているぞ』
『肉を焼くのには定評があるから任せておけ』
適当に雑談しながら引きずっていたら、あっという間にマイホームについた。
ちなみに狼王さん、ここまで食べ物の話題しか出していない。
食べ物の話ばっかりしてたら、俺まで腹減ってきたんですが。
というわけでさっそく捌いていく。
肉だけ取り出して、いらない部位はマイホームから少し離れたところで焼却処分したころに、親ぎつねが戻って来た。
もちろん子ぎつねを連れて。
『高級肉仕入れてきたぜ。今焼き始めたところだから、もう少し待っててくれ』
『すでにいい匂いが漂ってるわね』
『おいしそう……!』
『好きなだけ食べていいぞ』
『やった~!』
「好きなだけ食べていい」というワードに目ざとく反応した狼王。
子ぎつねはいい。だが、狼王。テメーはダメだ。
『もちろんお前は制限付きな。じゃないと、一人で全部食べちゃうだろ』
『さすがにそこまではせんぞ。私をなんだと思っているのだ?』
『食いしん坊狼』
『否定はせんが、自重はするぞ』
『あの時(狼王との再会直後)オーク肉を一人でほとんど食べてしまったこと忘れてませんよ?』
『あれは……すまん』
『まあ、いいけどさ。お! そんなこと言ってたら肉焼けたぞ』
第一号はレディーファーストでキツネ親子にあげた。
こら。狼王。
物欲しそうに眺めるんじゃない。
五分もあれば次の焼きあがるから。
『おいし~』
『普段来ることのない北側には、こんなにおいしい魔物がたくさんいるのね……。たまには遠方にも狩りに行くようにしましょ』
オークの上位種の肉は大好評で、二人ともあっという間に食べ終わってしまった。
『第二号焼けたぞ。ほい、おまちどうさま』
狼王に焼き上がった肉を差し出したら、あっという間にがっついていた。
さて、俺も食べますか。
焼き上がった肉を口に運ぶ。
あふれ出る肉汁。口の中に広がる芳醇な香り。
そして濃厚な旨み。
オーク肉はちょっとお高い豚肉ぐらいだが、こちらはブランド品並みのうまさだ。
オークの上位種のあだ名全部イベリコ豚でいいかもしれん。
その後も肉を何度か焼いて肉パは終了。
食後のデザートで、焼き栗を提供した。
狼王と俺の評価はそこまで高くなかったが(狼王は肉食だし、俺はそもそも栗が好きでもなかったし。嫌いでもないけど)、キツネ親子からの評価は高かった。
この栗も来年まで食べられないと知ったら、キツネ親子は揃ってがっかりしていた。
栗の木について教えてあげたから、来年栗拾いに力を入れることだろう。
祝勝会ということで、三人とも強敵を倒してレベルアップできたことを祝ったり、子ぎつねに怪水との戦いについて教えてあげたりしていたらあっという間に夜になった。
疲れていた上にいい感じに腹いっぱいになっていたこともあって、あっという間に眠りにつく俺たち。
次に目を覚ましたときには、すでに朝になっていた。
オーク肉の残りを食べて腹ごしらえしたら、打倒怪水のために組んでいた同盟も解散となった。
狼王に関しては、配下たちと離れて別行動しているからな。
それそろ戻ってやらないとダメだろう。
『短い間だったが、あのバケモノを倒すのを手伝ってくれたこと感謝する』
『レベルも上がったしおいしい食材についていろいろと知れたから、私としても手伝ってよかったわ。配下がたくさんいるならいろいろと苦労するだろうけど、頑張るのよ』
『次会ったときかはわからないけど、また戦おうぜ。その時は負けないからな』
『狼のおじちゃんバイバイ』
『では、さらばだ』
それだけ言い残すと、狼王はあっという間に去っていった。
残るはキツネ親子だけだが、
『それじゃあ、私は一足先に帰るわ。無茶はしないようにね』
『保護者監督はきっちりやるから安心していいぞ』
『暗くなるまでには帰るからね』
住処に帰っていく親ぎつね。
子ぎつねは俺と一緒に残っている。
話の流れで、俺と一緒にレベリングすることになったのだ。
保護者監督を俺に任せるくらいには、親ぎつねに信用してもらえているらしい。
『それじゃあ、この前は教えそびれた合体魔法について今回は教えよう』
『合体魔法……! すごく気になる』
『そのためにも、まずは手ごろな魔獣を見つけないとな。オークだと肉が無駄になるから、他の魔獣を探そう』
というわけで、シーサイドブルーの東側の森にやって来た。
こちらの森の奥にCランク台の手ごろな魔物がいることは、この前のレベリングの時に確認済みだ。
『よし、さっそく探していくぞ』
『おー!』
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