第13話 初進化
俺はアップルンをひとつ持って巣まで帰ってきた。
最初はスライムを倒した直後に進化しようと思ったが、とある理由で止めた。
なぜやめたのかというと、進化がどのように行われるのかがわからないからだ。
人外転生モノのラノベなんかでも、作品によって進化のしかたが違う。
進化しだしたら終わるまで意識を失うという設定の作品もあれば、意識を保ったまますぐに終わるような作品もある。
もし前者の場合だったら、森のど真ん中で倒れるような事態になり危険極まりない。
なのでアップルンを採ってさっさと帰ってきたわけだ。
あとはスライムとの戦いに時間を使ってたから、早く巣まで帰らないと日が暮れてしまうという問題もあったしな。
今のところ巣が一番安全なので、今から進化しようと思う。
だけど進化ってどうやってすればいいんだ? 進化! って念じればいいのか?
分からないものは仕方ないし、とりあえずやってみよう。
「ピュイ! (進化!)」
【進化先は次の一覧の中から一種類だけ選べます。
【ベビーバード(幼体) F-ランク】
【ベビーバード(幼体・変異種) F-ランク】
選ぶ進化先によって、今後の進化先候補は変わります。慎重に選びましょう。】
なんか【鑑定】の時と同じように、頭の中に浮かんできたんだが。
進化先が選べるのも【鑑定】のおかげなのかね?
にしても説明文で「哀れ」とかディスられてたから、「慎重に選べ」なんて出してくるのは予想外だわ。
【鑑定】の中の人(絶対人じゃない)いつもと違うんじゃね?
そんなことはさておき、とりあえず進化だ。
進化先候補の二種類とも説明文出してくれ。
【ベビーバード(幼体) F-ランク】
【産まれたてのベビーバードが少し成長して進化したモンスター。少しは強くなったが、まだまだ弱い。このモンスターへと進化した場合、最終進化先はコカトリスに固定される。】
【ベビーバード(幼体・変異種) F-ランク】
【産まれたてのベビーバードが少し成長して進化したモンスターの変異種。様々な可能性を秘めており、このモンスターへと進化した場合コカトリス系統の枠組みから外れる可能性がある。炎に高い適性がある。】
説明文を見るに、ベビーバードは本来であれば、親から餌をもらってそれを食べて経験値をため、そして進化(この場合、進化というより成長のほうが近いと思う)するみたいだな。
まあ普通はそうか。
産まれてすぐはまともに動けないし、狩りなんてできないだろうからな。
そう考えると、産まれてすぐ動いたり飛んだりスライムと戦ったりしてた俺は異常だよな。
中身は大学一年生とはいえ、体は産まれたての鳥なのにどうしてこんなに動けるのだろうか。
考えれば考えるほど謎だ。
話がそれたな。
ベビーバード(幼体)に進化した場合、最終進化がコカトリスに固定されるのはマイナスポイントだ。
初日に鑑定したとき、コカトリスは確かCランクって出たはずだ。
Cランクにもなればそれなりに強いのだろうが、安全に生きられるほど強くはないだろう。
それに、グリフォンに連れてかれるのを見たから、Cランク程度だといまいち強そうに思えないんだよね。
せいぜい中堅ぐらいかな?
ベビーバード(幼体・変異種)は、「様々な可能性を秘めている」というのはもちろんプラスポイントだが、「コカトリス系統の枠組みから外れる」というのに注目している。
予想通りなら、最終進化先をコカトリス以外にできる可能性が高い。
それこそ、グリフォンクラスやそれ以上になれる可能性すらある。
いろいろ考えてベビーバード(幼体・変異種)に進化することにした。
理由はやはり、こちらのほうが強くなれる可能性がかなり高いからだ。
最低でもコカトリスにはなれるので、こっちを選ぶのは間違いだったなんてことにはならないだろう。
ベビーバード(幼体・変異種)に進化するぞ!
そう念じたら、体が淡い光に包まれて成長していくのを感じた。
体がちょっとずつ大きくなっていってるのが分かる。
結果として進化自体は三十秒程度で終わった。
意識を失うようなこともなく、意外とあっさりした感じだったな。
分かりやすく例えるなら、ポケ〇ンの進化にそっくりだ。
進化中は動くことはできないようなので、その点は気をつけとこう。
進化の感じもわかったし、次はステータスを確認してみるか。
進化前とどれくらい変わったのかが楽しみだ。
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