第11話 新スキルが便利すぎる

 ドクダミ草の茎を切って持てるだけ抱える。

 ドクダミ草は葉の中に麻痺毒がため込まれており、茎は切っても毒液は出て来ないそうだ。


 ちなみに今の俺はコンパスがなくても方向が分かる。

 おそらくこれは鳥としての能力だと思う。

 この能力のおかげで、巣がある方向は分かるので道に迷うことはない。

 方向が把握できるのはかなり便利だ。

 迷子にもならないし進む方向が簡単に分かりますし、お寿司。


 巣まで持ってきたドクダミ草は木の根元に集めておいておく。

 まだ明るいので、もう二往復して集めてきた。

 結局スライムは一匹も見つけることができなかった。


 三時間ちょっとで結構な量が集まった。

 集めたドクダミ草はひとまとめにして、上に木の枝などを乗せて風で飛ばないようにしている。


 ドクダミ草の活用方法は、とりあえず一つだけ思いついた。

 ドクダミ草は、葉を乾燥させたあとにすりつぶすと毒液がしみだしてくる。

 普通にはっぱを食べるよりもこっちの毒液を飲むほうが、毒の効果が強いということが【鑑定】でわかっている。


 この抽出した毒液を足に塗って相手に【爪撃】を放てば、相手を毒状態にしつつダメージを与えられるかもしれない。

 ただ、問題点もある。

 まず、ドクダミ草は直接体内に摂取しなくても傷口、目、口などから体内に入るとその効果を発揮する。

 これを利用して敵に【爪撃】で傷をつけ、そこから毒を侵入させて相手を毒状態にする。

 そこまではいいが、自分の体、それも毒液を塗ってるところに攻撃されて傷を負えば、俺自身も危ない。

 というか、動けなくなって殺されるだろう。

 下手したらドクダミ草の毒で死ぬかもしれない。


 このようにうまく使えれば強力な攻撃手段になるが、リスクがでかいというデメリットもある。

 ほかの活用方法を考えたほうがいいだろう。


 余談だが、クチバシに塗って全力で相手に突っ込むという案も出た。

 それをやると確実に俺死ぬから却下したけど。

 だが、ドクダミ草の毒が効かないくらい強くなるor【毒耐性】を得たら、やってみるのも悪くはないと思う。

 いわゆるネタ攻撃だな。

 普通に強いけど。






◇◇◇◇



 夜になったので巣穴でじっとしている。

 夜ご飯はアップルン一つだけだ。

 おいしいしアップルン一つあれば一日活動できるが、何か物足りない感じがする。

 やっぱり、これまで食べてきたちゃんとした飯が急に食べられなくなったからだろうか。


 昨日焼いて食べたミミズがおいしかったので、スライムを探すついでにミミズも探したが見つからなかった。

 ミミズだし普段は土の中にいるんだろう。

 そう考えると、昨日見つけることができたのはかなり運がよかったのだろう。


 睡眠に関してだが、周りの警戒をしながら寝るのってどうすればいいんだ?

 動物なんかは敵が来たら寝てても気づいたりするのが普通だけど、あれどうやってんのかね?

 周りの警戒をすると眠れないし、寝たら警戒ができなくなる。

 浅い眠りをすればいいのか? でも、それだとしっかり休めなくね?


 ……そんなことを考えてたら、いつの間にか太陽が昇ってきた。

 結局たまにうたた寝をする程度で、ほとんど眠れなかった。


 だが、昨夜の練習? の成果はあったようで、スキルに【気配察知Lv1】なるものが増えていた。

 いつものように【鑑定】する。


 【一定範囲内にいるものの気配を感じ取る。相手が強いほど大きな気配を感じる。このスキルは常に発動しており、睡眠中に命の危険のある敵が範囲内に入ってくれば、アラーム機能によってすぐに起きることができる。】


 え? めっちゃ便利じゃん! アラーム機能あるのかよ!

 ぐっすり寝つつも敵が来たら目が覚めるとか、今一番欲しかったスキルだよ!


 【気配察知】の便利さに喜んでたら、急に眠たくなってきた。

 寝不足で活動すれば注意力が低くなるし、二度寝して体を休めよう。

 おやすみ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る