第8話 僕らは出会った
昨日はいろいろ考えているうちに寝てしまっていた。
何も起こらなかったからよかったけど、周囲の警戒を全くせずに寝るのは危険が多い。
それこそ、気づいたら蛇に噛みつかれていたなんてことが起こるかもしれない。
今日からは周囲に気をつけながら寝れるように練習しよう。
野生動物なら、人間が近づいただけで気づいたり目が覚めたりするんだし、
エネルギーと水分を補給するために、残しておいたアップルンにかじりつく。
さっぱりしていてとてもおいしい。
重たくないので、寝起きでもバクバク食べれそうだ。
食べかけの状態で巣に置いていたわけだが、特に腐ったりはしてなかったのでおいしく頂けた。
ここは異世界なんだし、地球では起こらないような不思議現象が起こってもおかしくない。
【鑑定】中にもっと詳しく知ることはできるのかと思ったら、食うことができるかどうか、含有成分なんかがでてきた。
今後は食べられるかどうかの判断は、見た目やにおいなど以外にも【鑑定】のほうも使って調べていこうと思う。
関係ない話になるが、含有成分が出てきたところで何のことかさっぱりわからんかった。
これに関しては、そういう食品に関する知識がないだけなので仕方がないだろう。
あと、この食える食えないのことだが、注意すべき点がある。
詳しい【鑑定】でわかるのは腐ったりしてるかどうかだけで、鮮度の良し悪しまでは出て来ないのだ。
鮮度の良し悪しは、見た目やにおいなんかで実際に確認しないといけない。
このことについて注意しておけば、自分が食べられるかどうか判別するのは簡単だ。
少なくとも、【鑑定】だけで腐ってるか・毒があるかどうかは判断できるので、食べるだけなら問題ない。
◇◇◇◇
今日もアップルンを取りに行くつもりだ。
大事な食料と水分源だからな。
一度にひとつしか持ち運びできないので、アップルンを取りに行くのは日課にしようと思う。
アップルンがひとつあれば一日は持つので、採りに行くのは一回だけでいい。
往復で六時間ほどかかるので、二回も採りに行く余裕はないしな。
残った時間はスキルレベル上げだったり、周囲の探索、昨日のミミズのような倒せる魔獣を探したりすることに時間を使おう。
まずは最優先にすべきアップルンの採取に行くか。
と、その前にステータスの確認だな。
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種族:ベビーバード(変異種) Lv2
名前:なし
状態異常:なし
体力 :32/32
魔力 :18/18
攻撃力:15
防御力:11
魔法力:14
素早さ:19
ランク:G
固有スキル
【飛翔Lv2】【鑑定】【言語翻訳】【獲得経験値倍化】
スキル
【つつくLv1】【爪撃Lv2】【ファイアーボールLv2】
耐性スキル
【炎属性耐性Lv1】
称号
【変異種】【転生者】【産まれたて】【草に敗れし者】【おっちょこちょい】
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お? レベルが2に上がってる!
昨日のミミズを倒して食ったことで経験値がたまったんだろう。
ステータスもわずかだが上がっている。
【つつく】以外のスキルレベルも上がってた。
【爪撃】と【ファイアーボール】メインで使うので、スキルレベルが上がっていたのは素直にうれしい。
【つつく】に関しては弱すぎるので、上がってても大してうれしくない。
今後の進化次第で強力な攻撃手段になるかもしれないから、【つつく】に関しては今後に期待だ。
称号の欄には、また新たなのが増えていた。
【おっちょこちょい】かぁ……。
多分、昨日の【ファイアーボール】が自分に引火したのが原因だよな。
一応【鑑定】しとこう。
【自分で出した炎を消そうとして自分に引火した。マヌケ。】
やっぱあってたよ……。
昨日の【草に敗れし者】の時もそうだったけど、称号で哀れとかマヌケって言われると傷つくよね……。
地味に気にしてたのに……。
◇◇◇◇
昨日アップルンを見つけた場所に移動していると、道中で草むらに水色の透き通ったゼリーみたいなのがいるのを発見した。
もしかしなくてもこれってあれだよな? ファンタジーの定番のやつだよな?
俺が見つけたのは、ラノベやドラ〇エでおなじみのスライムだった。
【鑑定】によるとこいつはベビースライムという種族で、俺でも倒せそうなステータスをしている相手だった。
これはレベルアップのためにも倒すべきだな。
この森の中で生き残っていくためにも強くならないといけないし。
こうして俺たちは運命的(いうほど運命的じゃない)な出会いをはたした。
産まれたばかりのランクG同士による最底辺の戦いが今始まる!
あ、これ自分で言っててなんだけど全然心が躍らねえ……。
最底辺の戦いが今始まる! ってちょっとカッコよくいってみたけど、誰もワクワクしないだろ。
俺もしなかったし。
あと、全然カッコよくねぇな。
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