第27話
そして、白堵は夜空に目をやった。
「僕、人間に憧れるよ。僕たちよりもずっと寿命が長くて、自由に外に出られて」
「白堵……」
あたしは、何も答えることができなかった……。
妖精たちと花火を見た翌日は、8日ぶりの休日だった。
一度いつもの時間に目が覚めたけれど、すぐにタオルケットを頭までかぶって、目を閉じた。
今日は起きてやるもんか。
今週は社会人の陽菜ちゃん以上に働いているあたし。
せっかくの休みに早起きする気なんてなかった……ん、だけど。
「月奈、お前柔らかいな」
そんな声が聞こえてきてモゾモゾとお腹の辺りに妙な感触があり、あたしは思わず「ひゃっ!?」と、飛び起きてしまった。
そして、タオルケットの中でモゴモゴと動く物体に目をやる。
なに、これ……。
恐る恐るタオルケットをはぐると……「ぷはっ!」と、タオルにくるまれたせいで呼吸が止まっていたらしい、美影が顔をのぞかせた。
「なんだ、美影かぁ……」
って、この子さっきあたしのお腹を触って『柔らかいな』って、言った!?
失礼な!!
ムッとしたあたしは、美影の服をつまんでもちあげ、そのままテーブルへと置いた。
「なにすんだよ! ベッドは俺の特等席だろ!」
「うるさい。もう起きたならそこでいいでしょ?」
そう言って、自分は再びベッドへ横になった。
ふぅ。
これでまた眠れる。
はず、だったんだけど……。
今度は、目を覚ましたらしい汰緒が「タバコ、タバコ吸いてぇ」と、ぼやいている。
もう。
タバコはないって昨日言ったのに。
相当のヘビースモーカーなんだろうか。
「これを機会に喫煙すればどうだ?」
「菜戯、お前まで美影みたいな事言うのかよ」
「みんなおはよぉ~! あのねぇ、クッションの寝心地すごくよかったよぉ!!」
も~う、うるさい!!
あたしはガバッと上半身を起こして、好き勝手やっている4人を睨み付けた。
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