第19話

「なかなか、綺麗な部屋だな」



クイッとメガネをかけなおし、菜戯が関心したように言う。



「そ、そうかな」



ほめられると、なんだか照れてしまう。



インテリ系イケメンの菜戯は本棚に気がつくと、「でも漫画ばっかりだな」と、一言余計なことを口にした。



「そのクッション、気持ちよさそう!」



白堵はそう言うやいなや、テーブルの上からハート型のクッションの上にジャンプした。



見事クッションに着地した白堵は一回ポンっと跳ねて空中に浮き、そしてポスンッと音をたててクッションに身をうずめた。



なんだか、すごく心地よさそうだ。



「タバコは?」



汰緒に聞かれて「ここにはないよ?」と、答える。



「なんだ、お前タバコやらねぇのか」



「タバコは20歳にならなきゃ吸えないの。あたし、まだ19だし」



それに、妖精がタバコなんて、イメージ崩れるよ。



汰緒みたいなちょっと不良っぽい妖精なんて、聞いたことない。



「おい、月奈」



「なに? 美影」



「ベッドに座らせろ」



「へ?」



「お前のベッドだよ。その、花柄の趣味が悪いやつ」



そう言い、美影はあたしのベッドを指差した。



趣味が悪くって悪かったわね!!



っていうか、女の子の部屋は花柄とか、フリルとか、少しくらい置いていたって普通ですぅ!!



と、ブツブツ文句を言いながらも、あたしは手のひらに美影を乗せてベッドへと下ろした。



すると美影はすぐにベッドの上で飛び跳ねて、その感触を確かめはじめた。



もしかして、遊びたかったのかな?



白堵がクッションで跳ねてたから?



なんて考えていたら、美影が急に真剣な表情であたしを見上げた。



「おい、月奈」



「……なに?」



「俺以外の男に、このベッド使わせんなよ」



その言葉に、胸がドキッと跳ねる。



「な、なに言っているの……?」



ドキドキとうるさい心臓をごまかすように、視線をうろうろさせる。

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