第18話
「忘れ物、あった?」
すぐにお局さんにそう聞かれたので、「はい。ありました」と、笑顔で答えるあたし。
「雨が降りそうだから、気をつけて帰るのよ?」
そう言われて、あたしは外を見る。
本当だ。
さっきまではとてもいい天気だったのに、今は分厚くて黒い雲が見える。
さすが、夏の天気は変わりやすい。
「ちょっと走るよ」
コンビニを出たあたしはバッグの中の4人にそう声をかけ、小走りに家へと向かったのだった。
家に帰った直後大粒の雨が降り出して、あたしは玄関のカギを開けながらホッと安堵の息をはきだした。
なんとかぬれずにすんでよかった。
自室でテーブルに置いたバッグのチャックを開けて中を覗き込むと、携帯電話や財布に必死でしがみついている4人がいた。
バッグの中、そんなに揺れてたんだ。
「家についたよ、出ておいで」
その声でようやく、4人は顔をあげ、そして微笑んだ。
「外! 外だ!!」
最初に美影がバッグから這い出してきて、言った。
「本当だ! 僕の見たことない場所!」
「すっげぇな……」
「ここは……人間の住んでいる場所、かな?」
白堵、汰緒、菜戯も順番に顔をのぞかせて、それぞれに口を開く。
「ここはあたしの部屋よ」
テーブルの上の4人がじろじろと部屋の中を見回すから、なんだか恥ずかしい。
思えば、男の子を部屋に入れたことなんて、小学生以来かもしれない。
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