第16話
「僕たちも、外の世界を知りたいんだ。外には何があるの?」
白堵に聞かれて、あたしはそっと窓の外を見た。
「何があるって、言われてもなぁ……」
妖精にとって、外が危険なのか安全なのかも、あたしにはわからない。
こうして頼んでくるということは、この子たちはこの店の中しか知らないわけだし……。
「頼む。みんなも、一度外へ行きたがっているんだ」
「みんなって……?」
あたしの問いかけに、美影と白堵は顔を見合わせた。
「こっち、来て」
美影にそう言われ、あたしはチョコチョコと歩く2人についていく。
「あら、忘れ物?」
事務所前まで戻ってきたあたしに、お局さんが声をかけてくる。
あたしはあいまいに笑い、「はい、まぁ……」と、頭をかいた。
一体どこに連れていくつもり?
そう思っていると、美影と白堵は事務所へと通じるドアの前で立ち止まり、あたしを見上げた。
開けろって言っているの?
そう気付いたあたしは、銀色の丸いドアノブに手をかけて、回した。
ドアを開けると、美影と白堵は小さな隙間からスルッと中に入ってしまった。
続いて中へ入ってみると、誰もいないくて。
妖精2人がデスクの上のパソコンに向かって「おーい!」と、声をかけている光景が目に入った。
なにをしているの?
首をかしげながらパソコンへと近づいていくと……モニターの後ろからツンツンに立てた金髪の小さな男が1人と、パソコン本体の後ろから黒髪メガネの小さな男が顔をのぞかせた。
あたしは驚き、思わず小さく悲鳴をあげてしまい、慌てて両手で口を閉じた。
「な、なに!?」
「俺たちの仲間。金髪が汰緒(タオ)、黒髪が菜戯(ナギ)」
美影の紹介に、あたしはあんぐりと口をあける。
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