第6話
☆☆☆
そして翌日。
今日のバイトは昼12時から夕方6時まで。
相方は昨日と同じ和心だ。
和心はあたしと同じ19歳で、あたしと同じような事情でバイトをしている。
身長は和心のほうが3センチほど高く、年齢よりも大人っぽくみえる。
そのため、コンビニ客の若い男たちは和心目当てで買い物にくることもあった。
「おはようございまぁす」
「おはよう」
先に入っていたバイトさんと業務の引き継ぎを終え、あたしはレジに立った。
昨日使っていたレジはお店に入ってまっすぐ行ったお弁当コーナーのすぐ前にある《1レジ》。
今日あたしが使うのは、自動ドアの近くの《2レジ》だった。
ちょうどお昼なのですぐに2~3人のお客さんがレジに並んだ。
「いらっしゃいませ、ポイントカードはお持ちですか?」
ろくにお客さんの顔を見る暇もなく、言いなれたセリフを言う。
すると、ポイントカードが投げてよこされた。
嫌な予感がして顔をあげると、昨日の不機嫌なお客さんがそこに立っていた。
「あ……」
とっさのことで、固まってしまうあたし。
「昨日お釣りもらってないけど」
昨日と同じスーツを来たお客さんはそう言いながらギロリとこちらを睨んできた。
「ご、ごめんなさいっ!」
ていうか、あれはあんたがお金を投げてよこすから、いけなかったんじゃん!!
そんな文句をグッと我慢し、レジを開ける。
レジのお金に誤差が生じてしまうが、仕方ない。
次の引き継ぎのときに説明して理解してもらうしかない。
あたしは慌てて20円を差し出した。
サラリーマンはあたしの手から奪うように10円玉を2枚取ると、お弁当をカウンターに置いた。
その横柄な態度に思わずイライラするが、必死で笑顔を作りレジ業務をこなす。
「ありがとうございました」
なんとかサラリーマンを笑顔で見送ってから、あたしは大きくため息を吐きだした。
「緊張した?」
「うん。なんか急に疲れちゃった」
そう返事をしてから、ふとあたりを見回す。
今の声、誰?
和心の声にしては低く、男っぽい声だった。
「こっちこっち」
その声に、あたしは恐る恐る視線を下へと移していく。
まさか、今日もアレが見えちゃうとか、ないよね?
嫌な汗が背中に流れて、心臓がドクドクと大きな音をたてる。
そして、ついにソイツと目があった。
レジの中にいる、5センチ程度の男の子。
昨日1レジにいたのとは違う、フワフワした茶色い髪に大きな目をした可愛い男の子だ。
「僕の名前は白堵(ハクト)! よろしくねっ」
彼はそう言い、ニッコリと微笑んだのだ。
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