第3話 撮影開始

「そういえば、どうします?先に撮りますか?」

タケウチカメラは問いかけた

「そうですね~時間かかりそうですか?タケウチさんは?」

松本はその問いに答え相手のことをうかがう

「そうですね~そこまで時間はとらないと思いますが・・・もし、急ぎならゼロさんからやっていただいて」

「そうなんですね~なら、タケウチさんの撮影を見たいんで私たちは後にしますか?二宮さん?」

「そやな、ほかのユーチューバーの撮影はなかなか見れんからな!タケウチ君は大丈夫?」

二宮は確認を投げる

「僕はいいですよ、あと僕も撮影風景みてもいいですか?」

「もちろんええで!」

二宮が答え両者は心霊系ユーチューバーという立場ながら違うアプローチをしているお互いの撮影を見ることにした

「僕の場合はこんな感じで」

そういってカメラの設置した場所や

他の機材を見せて説明しながら歩き最初の撮影地点に戻る

「あれですね?いろんなカメラでやってるんですね?」

松本は聞きながら質問する

「そうですね、人がいない分いろいろな画面があったほうがいいかと思いまして」

「なるほどなるほど」

松本が相槌をうつと

「あ!なんか今すごっくゼロっぽい感じでしたね!」

「ホンマですか?」

松本の返答にタケウチカメラが喜んでいると二宮はあるものをみて二人に告げる

「な?あれ?なんか・・・ロープが下がっておらんか?」

「「え?」」

視線が二宮の顔の方向に向く

するとそこにはロープが一本

先端は丸く輪を作って下がってる

その光景に三人はさっきとはうって変わり

緊張に似た何かが背に走る

「ほんまや・・・え?まさかですよね?」

松本は少し顔をこわばらせて二人に聞く

「いちよ、人おらんか確認しとくか」

二宮の言葉に他の二人も同意してそのまま行動にでる

三人はあたりを見渡したり声を出して確認をする

しかし

人どころか動物の音も影もない

「おらんか・・・なんか気味悪いな・・・」

二宮が正直な言葉を吐露する

「そうですね・・・この場所でこんな物があるなんて・・・」

松本も同様にこの光景に恐怖を覚える

タケウチカメラはその光景をみて恐怖を口にすることもできず見ていることしかできなかった

そして

「二人はこういう場所で二人はこういうのは見たことは・・・・?」

タケウチカメラは二人に問いかける

「そうやな・・・似たもんとかはあったけど・・・ここまであからさまなのは・・・ちょっとないな・・・」

「誰か悪戯でやったんですかね?」

二宮は困惑を

そして松本は趣味の悪い冗談ではないかと考察を巡らす

三人の間に沈黙がおちる

・・・

ガサ・・・タッ・・・

「「「!?」」」

先ほどまで静かな森

しかし、突然物音がなる

葉がこすれそして何かが地面をけるような音

三人とも息をひそめて音を聞く

ガサガサ・・・ザッザッザッザ・・・

動物とも違う重い音

そして騒がしいくなる森

「えっえっえ!?なになに?これ!?」

タケウチカメラは動揺する

「ほんまなんやねん!!」

突然の変化は明らかに異様な空気

一瞬の騒音の後また驚くほど静寂になる

急な変化に戸惑いで声が出ない

・・・

「あれ?人?」

松本が声をもらす

その言葉に二人も反応して視線を松本に向ける

「あれです、あれ」

そういって松本が指さす方向に目を向ける

するとそこにはうっすらとした人のような影

「ほんまや・・・え?やばないか?これ?」

二宮は直観的に言う

タケウチカメラは息をのむ

そしてその三人の動揺をさらに揺さぶるように再びあたりに変化が・・・

一人・・・

二人・・・・

三人・・・・・

姿はない

しかし

人の気配が三人を囲んでいくのがわかる

「あかん!逃げるぞ!」

二人に叫びに近い指示を出し森からの脱出を急ごうとする

ドサ!

「「!?」」

重い音にその方角を見ると

タケウチカメラが倒れてる

「タケウチさん!!」

松本、二宮はすぐに彼のそばにいく

そして

松本は彼に近づき確認する

・・・

「二宮さん!!」

「どうした?!」

「気絶してます!!」

絶句した・・・

「ホンマに気絶するんか!?こんなところで!?」

二宮も近づき彼に揺さぶる

「おい!!おい!!」

しかし、彼は反応しない

その間も人の気配は数を増す

「タケウチさん起きてください!!」

松本も彼を起こそうと手伝う

その間に先ほどいた人影がいつの間にかそばに迫っていった

「!?」

二宮はそれに気づき姿を確認する

そこには

あるべきものがすべて欠落している

いうならば・・・

無・・・

しかし

姿はそこにある・・・

言いようのない不快な形容・・・

それがさらに恐怖を加速させる

それと同じくタケウチカメラをゆさぶる強さも強くなる

「頼むから起きてくれ!!」

語彙は強くなり絶叫に近い懇願

その二宮の異変に松本も気づきその異形を目にする

「二宮さんきてま・・・きてます!!!」

動揺は言葉にも出ている

その松本の言葉と共に先ほどまでなかったノイズが混じる

ザッザッザッザ

地面をける音・・・

動物では出さないであろう明確な前進をあらわす

そんな音・・・

その音を聞きさらに焦る二人

ザッザッザッザ!!

音は強さを増す

もう近い

「あかん!!」

そう言って二宮は二人に覆いかぶさる

「きゃーーー!!」

松本の叫びが森に響いた

・・・

静寂

・・・・

先ほどのことは嘘だった

そんなように感じるほどの静寂がながれた

恐る恐る顔をあげる二宮

音や気配・・・

そして人影すら無くなったそこには森の静かな光景があった

あまりに落差のある光景にすこし呆ける

しかし

すぐに我にかえり二人から離れ

タケウチカメラの頬をたたく

「おい!!」

パンパン

・・・

「!?あれ??」

目を覚ますタケウチカメラ

自分の状況がわからないのか困惑を表情に滲ませる

そんな彼に間髪入れずに

「行くぞ!!」

そういって体を引き上げて

松本と共に急ぎ森を抜けた

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