第4話 照れくさい

本当にいい天気だ。

カーテンを開けると青空が広がっていた。


朝起きたらプロテインを飲む。

欠かさず飲んでも腹筋はつかないが健康は意識している。


どんな服を着ていくべきか。

どんな会話をしようか。

どんな表情で、どこにいくべきか。


さっぱりわからない。


前に初デートは長すぎず、物足りなさを感じさせるのが良いとどこかで聞いたことがある。


パンケーキ屋さんだけでいいのかもしれない。


あっという間に時間が過ぎて

10時50分にパンケーキ屋さんの前にいった。


大変人気のお店なのだろう。

すでに行列ができていた。


眩しい太陽の下でよく皆並んでるなぁと

関心していたが、いまからここに並ぶのだ。


待ち時間の会話もどうすればよいかわからない。


あらゆる不安を抱きながら優子さんを待っていると、声をかけられた。


「竜さん。お待たせしました。」


マスクの下は太陽より眩しい笑顔であろうと思われる女神が現れた。


「どうも。」


あまりに照れくさいので

絞りに絞った第一声である。


白いTシャツに

ブルーのジーンズ

白いスニーカー


シンプルなファッションにも関わらず

キレイ過ぎる。


マスクの下の素顔を知っているのはこの場で僕だけということがなんだか誇らしく思えた。


「今日は付き合ってくれてありがとうね。ずっと気になっていたパンケーキ屋さんだったんだけど一人だとどうも入りづらくてね。」


なんと、改めて声を聞いてみたが

かなりタイプの声だった。

きっと、美声というのだろう。


「いえ、お誘いしたのは僕の方ですから。こちらこそありがとうございます。」   


「すごく丁寧なのね。ため口でごめんなさい。」


「謝んないでください。僕もため口で良いですか?」


「ダメー」


「なんでやねん。」


意外に会話が弾んだので嬉しかった。

というより、優子さんのリードによるものだった。 


パンケーキ屋が目の前に出てきたのはちょうど正午を回った辺りだった。


甘いもの好きの僕にとってはお昼ご飯の代わりでも十分アリだった。


店内のBGMで流行りの曲が流れている。


「♪ありがとう僕をこの世に羽ばたかせてくれて~♪」


僕も好きな曲だったので話題にしてみた。


「この曲知ってる?結構いろんなところでかかかってて好きなんだよね。」


一瞬間があったのは気のせいかもしれない。


「うん。知ってるよ。いい歌詞だよね。」


「あと、声もいいんだよな~。てか、優子さんの声もマジでキレイなんですけど」


「いや、照れるな~ありがとう。」


「この曲、歌ってる女性の名前ってたしか…」


「BDよね!」


「そう!それ!」


「由来ってなんなんだろねー」


「さぁ~」


「僕、会社の名前とか由来関係気になるタイプなんだよ笑」


「竜さんって面白いね笑」


その後も色々な話をした。


食べ物の好み、行ってみたい場所、

見たい映画等々。


パンケーキを食べながら、次は映画を観ることに決めた。


映画を見終わった後、

僕は次回のデートの約束を取り付けて

解散した。


物足りなさを演出するにはちょうどいい時間となっていた。








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