第2話 出会い
土日に引きこもっていることが多いので最近は意識的に外出する。
好きなものを食べたり、好きな洋服を買ったり、スイーツを嗜んだり。
辺りを見渡せばカップルが目立つ。
人生なんて人と比べるものではない。
わかっている。
わかっているが、人と比べないではいられない。
逆に、他人と比較せずに人生を歩んできましたと自信を持っていえる人なんてこの世にいるのだろうか。
皆、どうやって気が合う異性を見つけるのだろう。
謎だ。
昔は、彼女がいるかと聞かれたときは、
苦し紛れに各都道府県に1人ずついるぜと
冗談を言ったものだが、アラサーになると笑えなくなる。
ぜひ、街頭インタビューをしたいものだ。
「あなたたちカップルの出会いを教えてください!」と。
僕の周りの人たちは
学生時代からつき合ってはそのままゴールインをしている。
うらやましいと思う反面、もったいない気もする。
彼らは20代前半に結婚をしていることが多いのだが、なんだろう。
遊んだりはしないのか、そこも気になるところである。
しかし、
僕は別に遊んでいるわけでもない。
そもそもアラサーで金のない独身男は相手にされないし、出会いもない。
職場では既婚者が大半だし、そもそも20代の女性がいない。
こんなことなら、
学生時代にもっと本気で恋愛をしておけばよかった。
約15年前
まだ、ガラケーが主流だったころ。
僕はガラケーを持っていなかった。
とある、勉強合宿にて。
メールアドレスを聞かれた。
特に、女の子に興味がなかった僕は
ガラケーを持ってないと告げる。
友達の薦めでネットのフリーアドレスを取得して、やり取りを開始した。
ドキドキした。
正直、付き合っておけばよかった。
しかし、当時の僕は、
恋愛に気恥ずかしく、お付き合いを遠ざけた。
数ヵ月後、その女の子は別の男子と付き合ったと、友達から報告を受けた。
学年でもかなり人気の女の子だったらしい。
僕は女の子に耐性がなかったので顔すらまともにみていない。
相手にも失礼なことをしたと、猛省している。
高校生デートとかやっておけばよかった。
今まで自分の行動に腹だったことは星の数ほどあるが、この出来事はトップクラスに入るだろう。
梅田の繁華街を歩いていると、
黒く髪の毛の長い、ファストフード店で
心を奪われた女性を見かけた。
間違いない。
見たところ男の気配はない。
ナンパしてみるか…
ナンパと言えば、ホスト時代を思い出す。
大学生時代、NO.1ホストに憧れて入店。
とにかくお客様をお店につれてこいというお店の方針で知り合い、出会い系アプリ、ナンパ等、あらゆる手段を使って女性客を捕まえた。
しかし、
お酒が弱すぎた僕は
売上も上がらず、3ヶ月くらいで辞めることになる。
そのときに学んだナンパの心得。
当たって砕けろを実行しようと思えばできる。
頭のなかで色々なことを考えていたが、
一歩踏み出した。
後悔したくない。
自分に嘘をつきたくない。
その時だった。
麗しいその女性のバッグからか、服のポケットからか、1枚のハンカチーフが落ちた。
女性はそれに気づかず、歩いていく。
周りの人混みもそれに気づくものはいない。
チャンスきたぁーーー
すぐにそのハンカチーフを拾って届ける。
拾って届けるその数十秒に次の一手を打ち込まなければ。
連絡先。
聞かなければ意味がない。
「お姉さん。ハンカチーフを落とされましたか?」
「え?あ、」
困惑しているようだ。
女性は自分のバッグや、服を調べて自分のものだと悟ったようだ。
「どうも、ありがとうございます。」
「どういたしまして。あれ?お姉さん、どこかでお会いしたことありません?」
「んーと。あっ!この前ハンバーガー屋さんにいたお兄さんですか?」
何と。
その女性は僕のことを覚えていた。
認識していたことに凄く嬉しかった。
「あ、めちゃくちゃ美味しそうにハンバーガーを食べてたお姉さんですね?」
「見られてたんですね。凄く恥ずかしいです。」
照れた顔も凄く素敵である。
「ぶっちゃけ、人目見た時から心を奪われちゃいました。ぜひ、お友達になってください。」
「お友達ですか。いいですよ~。」
こうして、心から出会えてよかったと思える女性の連絡先をゲットすることができた。
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