第16章 セカンドプロローグ
1、セカンドプロローグ
チクショウ……。
なんで……、なんでこんなことになってしまうんだよ……。
俺はただ、筆記用具を持っていこうとしただけなのに……。
なんで、こんなことに……!?
「うわっ!?あ、あ、明智君!?」
「…………え?え?ええっ!?な、なんでお前……!?」
金髪の『悲しみの連鎖を断ち切り』ファイナルシーズンのメインヒロインが、ブラとパンツだけのほぼ裸に近い格好で俺に驚いたように小さい悲鳴を上げていて……。
俺はガッツリその姿を目撃してしまう。
「…………」
目と目が合ってお互い硬直する。
いや、知らない……。
俺は明智秀頼がこんなアリアのスケベシーンを目撃するイベントなんか知らない。
おかしい、おかしい、おかしい……。
こういう時、女に慣れてる奴はなんて声をかけるんだ……?
(三島や美鈴や理沙と比べると胸は小さいね!、とか)
いや、殺されるぞ。
女に慣れてるけど、わざと破滅に導く悪魔の囁きは参考にならなかった。
(絵美や咲夜よりは大きいよ!自信持って!、とか)
だから!
なんで俺がそんなこと言わなくちゃいけないんだよ!
誰かと誰かを比べるな!
ナンバーワンにならなくても良いじゃないか!
元々特別なオンリーワンを目指せ!
「…………っ、きゃあ!?」
そんなことより、アリアが絶対に他人には見せてはならない刻印がその身体に刻まれているのをガッツリ目撃してしまう。
それを慌てて、俺から見えないように手を被せて隠そうとする。
今更遅い。
俺も慌てて、彼女から目を反らす。
「…………」
原作を知っているから、彼女が何者かわかるけど、他人の中で唯一タケルにしか見せることのないあの刻印の意味は……。
「……がっ!?な、なに……?」
いきなり俺の首元に、床に叩き付けるような衝撃が走り、拘束される。
アリアが……?
違う、彼女にこんな強い力出せるはずがない。
こいつは……。
「仮面の騎士か……?」
「アリア様の秘密を見た以上、貴様は始末する。明智秀頼、残念だ……」
「こ、この野郎……」
一瞬で死亡フラグが復活しやがった……。
こんな異世界転生トラック事故アタックみたいに急に現れる必要はないじゃないか!
「貴様が生き残る慈悲を1つだけ与えよう。拒否すれば死、敗北しても死。ふふふっ、私と決闘でもしてもらおうか」
「この理不尽クソアマがぁぁぁぁぁ!」
──セカンドプロローグ
─────
「今日から2年生だね、秀頼」
「そうっすね」
家に出る直線、おばさんから感慨深そうに声をかけられる。
「こんなに大きくなって、優しく育っておばさんは嬉しいわ」
「そ、そうっすか」
「ただ、お願いだからもうちょっと普通に生きてくれないかなぁ!決闘とか彼女増やすとか危険に飛び込むとか問題ばっかりしてるんだから2年生からは禁止よ!」
「わーかってるよ!しない、しない。普通の学生になりまーす」
タケルちゃんがなんとかしてくるし、何にもしないっての。
おばさんの忠告を流しながら、俺は家を飛び出した。
「本当に大丈夫なのかしら……?」
「あいつは兄貴似や。何言っても聞かへんわ」
「あなたったら……」
おばさんと叔父さんがなんか喋っていたが振り返らなかった。
俺、明智秀頼は高校2年生になった。
前世でくたばったのも高校2年生。
早くも人生がブーメランのように戻ってきたもんだ。
年を取ると人生あっという間と言われるが、確かに2度目の人生はすぐに高校生になったような気がしてくる。
無人島に行ったとか、濃い記憶がないからかな?
ずいぶん平凡な人生だった……。
前世の方が平凡からほど遠い人生を送ってたから、今の方が生きやすいと思う。
肩も壊されてないし、健康って素晴らしい。
数ヶ月前に、前世の因縁があった部長こと織田は自分で目玉を抉りだしたとかいう噂もあるが、あれの真実を知ることなく学校を退学したとかなんとか。
失明鬱とからしい。
何をやらかしたかは知らないが、どっかから恨みを買ったのだろう。
御愁傷様。
俺とあの人は、既に赤の他人。
まぁ、逞しく生きていくでしょ。
──晴れ空を眺めながら新しい生活の始まりに実感していたのであった。
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