2、明智秀頼は苦笑いをする
「やっ!秀頼君、おはよう!」
「おはよう、絵美」
家から出ると、ちょうどお隣さんの家から支度して出てきた絵美と遭遇する。
去年よりも、やや髪を伸ばしたツインテールにしてイメチェンとやらを最近はじめたらしい。
理沙や永遠ちゃんからは『大人っぽく見えるよ!』と評判らしい。
「早いねぇ、わたしたち高校2年生だって」
「早いよなぁ……。5年前が5年くらい前の遠い日のように感じちゃうな」
「それは正常なのでは?」
絵美に突っ込まれてしまう。
それを聞き流しながら、そういえば原作で強制で高校1年生のまま死亡する絵美だが、クラスはどうなるのだろう?
原作の秀頼は確か……、みんなの中ではタケルと円とヨルが同じクラスだったっけ……。
果たして、絵美がどんなクラスになるのか気になるところである。
「星子ちゃんや和は入学式ですか!彼女らの制服姿見ました?」
「いや、見てないよ」
「あの2人もピッカピカの1年生ですね!おめでたいです!」
「そうだな」
絵美が入学式に混ざっても違和感無さそうだな、とかしょうもないことを考える。
よく喋る絵美の聞き役になりながら歩いていた。
星子と和の入学はおめでたいが、茜と乙葉も入学するのか……。
そういえば俺はタケルの従妹である乙葉と知り合ってたんだった。
1度くらいは挨拶出来ると良いな。
「おっす!明智せんせっ、佐々木もおはよ」
「タケルか……」
「おはようございます」
「理沙ちゃんも一緒ですね」
なんか久し振りにタケルの顔を見た気がする。
春休みだから会わない日も多かったから仕方ない話だが……。
「なんかいつも通りですね」と、呟きながら理沙が微笑む。
「そうだねー」とのほほーんと絵美が笑う。
「今年はどんなクラスになるのかね……」と、どうせタケルか同じクラスになるのはわかりきっているのでそれ以外のメンバーが気になると口にする。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………ど、どうした皆!?急に黙り込んで?」
3人が下を向きながら、影がかかったように落ち込んだように見える。
え?
え?
なんか地雷踏んじゃった!?
「そ、そうだった!クラス替え!?クラス替えあるじゃん!」
「ちょ、ちょっと!?じゃあ、私はまた明智君たちと違うクラスになる可能性あるの!?」
「ウッソだろ!?クラス替え!?2年進級でクラス替えあんのかよっ!?」
「…………」
絵美、理沙、タケルは『しまった!』と表情が物語っている。
この3人、完全にクラス替えを忘れていたらしい。
「わ、わ、わ、わ、わ、わ、わ、わか、わかりました!ゆ、ゆ、ゆ、悠久先生に頼んで」
「動揺が伝わってくるけど、絶対クラスはもう決まってるって……」
理沙が言葉が噛み噛みになるくらいにはテンパっている。
「秀頼きゅぅぅぅん!」
「明智君」
「秀頼!」
「同じクラスになろうみたいに期待されてもマジで困るから」
むしろ、悠久なら彼女全員と俺を違うクラスにしそうだなとか、意地悪を考えるタイプだと思う。
「おはよ、みんな!」
「おはよう、ウチ元気」
円と咲夜が合流してきた。
みんながそれぞれ固まって駅に向かうことになる。
「今日、クラス替えですね」
「…………え?」
「…………クラス替える必要ないとウチは思う」
理沙の一言に沈む2人。
毎年ながら、クラス替えになるとみんながはしゃぐ恒例が今年も始まり苦笑いをするのであった……。
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