17、宮村永遠の作戦提案
「こ、これで全員揃ったのかな?」
ノアが3グループの合流で大人数になったので、そんな疑問が沸いてくる。
しかし、廃墟内は薄暗いので辺りを見回しても誰が居ないのかハッキリと断言出来る人はこの場に不在だった。
「そうね、困ったわね」
ずっとヨルを追いかけ回していた悠久は、全然息が上がっていなかった。
数人が(めっちゃパワフルやん)と、口には出さないが心で呟いていた。
「何あのBBAは真面目キャラ演じているんじゃ!」
「ややこしくなるなら、そういうじゃれあいは後にしてくれ」
「じゃれあってねぇよ!」
ゆりかの冷静な指摘に、頭に血がのぼっているヨルがあーだこーだと文句を垂れていた。
「よし、なら私に案があります」
「案?」
宮村永遠が思い付いたとばかりに声を出し、注目を集める。
でも、誰が自分を見ているのかライトを当てないとよくわからないぐらいにはこの場は暗い。
「とりあえず全員、私から横一列になってください。そうしたら、私が1と数字を数えるのでそこから右隣にいる人が2、その右隣にいる人が3とカウントしていきましょう。全員で17人いるのが確定しているのだから足りない人数がわかりますよね」
「さ、流石エイエンちゃんだ!頭が良くて素敵っ!」
「もう!秀頼さんの方が素敵ですよっ!」
「不愉快なんで、イチャイチャ止めてください」
楓の指摘に「うっ……」とお互いに傷付き合う2人。
こうして永遠の作戦の人数カウント作戦が始まった。
「いきますよ、1!」
「にっ」
「3」
「4!」
「5ですわ!」
永遠、絵美、秀頼、咲夜、美鈴とランダムに右隣に並んだ人が数字をカウントし始める。
「13」と、小鳥がカウントした辺りで、大半の人が(これ全員いるんじゃない?)と思い込んでいた。
「じゅうよーん」
「15だ」
「16!」
「…………17」
「じゅうはち……」
「19ぅぅ」
「20!」
「にじゅういち…………」
「ちょっと待って!?多い!数字が多いです!」
永遠が慌ててストップをかける。
何故かカウントが23、24と未だに進んでいる。
明らかな異常事態に全員がざわざわと騒ぎだす。
『25、26、にじゅうなな……』
「あっ!ここに私たちに便乗して数字をカウントしている幽霊がいるっ!」
不穏に思ったノアがライトで照らした先には、血まみれになった女の子の幽霊が数字のカウントを進めまくっていた。
女の子の幽霊だから責めることの出来ないノアは、見て見ぬ振りをして全員に振り返る。
「困りましたね……。また1からやり直しますか?」
「いや、三島が居ない」
「お兄ちゃん!?わかるの!?」
「三島の声だけしなかったからな。三島!この場にいるか!?」
秀頼が声をかけても、三島遥香が名乗り出る様子がなく、『89、90……』と未だにカウントしている女の子の幽霊の声だけが虚しく響いていた。
「た、確かに遥香が居ないな。どうする?探しに行くか?」
「いや、またバラバラにはなりたくない。とりあえず入り口に戻るか……。出られないだろうけど、その間にもしかしたら三島に再会出来るかも」
秀頼の提案にみんなが納得した。
全員固まった行動の方が誰もが安心出来た。
そのまま、記憶力に自信のあった永遠と悠久の案内の元入り口まで引き返した時だった。
「光があるよ?」
「あ……!本当だ!」
「え……?」
秀頼は驚愕した。
何故なら『灰になる君へ』で、絶対に家に帰ることが出来ないエンディングしか迎えることが出来ないノアと小鳥の結末を知っているからだ。
どうあっても、甲冑に殺されるENDしかないのだ。
まぁ、だからクソゲー扱いされているんだが……。
「あ、全員戻りましたね」
「遥香?」
三島遥香がその入り口の前に立っていた。
まるで、このバトルホテルのシナリオを終わらせたとでも言いたげな顔で。
「甲冑さんをやっつけたらここが開くみたいでした!いやぁ、スリリングな肝だめしでしたね!」
「…………?」
こうして、ノアと小鳥と楓の3人組と秀頼たちの西軍は『灰になる君へ』のエンディングの向こう側へとたどり着いたのであった……。
†
『灰になる君へ』編終了したので、秀頼目線に戻ります。
本日より、カクヨム様にて
やり直しの新しい人生で、初恋の子がなぜかメイドとして家に住み着いてしまった……。
を公開致しました。
ノットハーレムな純愛ラブコメ。
クズゲスのとある人物の救済物語にもなっています(本筋ではなく、小ネタ程度)。
1ページ目で明かしてます。
あくまでIFな世界観で、クズゲス世界には影響ありません。
特にクズゲスの更新頻度を落とすつもりはないです。
是非、楽しんでいってくださいませ。
桜祭。
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