16、上松ゆりかは走る

「よし、とりあえず10人が揃った。特撮でいうなら5人戦隊が2年ぶん!心強いぜ!」

「合流したことを戦隊モノで例える秀頼のセンスに驚いた。流石秀頼だ」

「それ、褒めてる?」


咲夜の小バカにしたような言い回しに、秀頼が突っ込むと気まずそうに彼女は目を反らす。

褒めては一切ないらしい。


「戦隊モノってなんですか星子さん?」

「なんちゃらレンジャーみたいな日曜日の朝に放送してるのわかりません?」

「ぷ、ぷりきゅあ?」

「もうちょい前の時間帯です」

「わかりませんわ!」


美鈴が自信満々に胸を張っていた。

「あっちは通じてないぞ」と咲夜に指摘され、俺は何も答えられなかった。


「そんなことより姉者!秀頼先輩に抱き付いててズルい!」

「早い者勝ち。兄弟姉妹であっても容赦するなという津軽家の教訓よ」

「あーねーじゃぁぁ?」

「お姉ちゃんは、中学生の和に恋愛は早いと思うの」

「姉者の彼氏は、もっと槍朕感のある男のが似合うと思う!」

「おい、こんなところで姉妹喧嘩をするな!みっともないぞ!」


ゆりかが仲裁しながら津軽姉妹を引き離す。


(みんな明智と合流した途端に、余裕戻りすぎ)と、心で突っ込みながら全員が元気そうなのを確認していく。


「というか楓は明智君にくっついて何してるの?好きになったの?」

「う、うるさいなぁ!離したくないだけ!ぷいっ」

「…………」


(やってんなぁぁぁぁ)


小鳥は秀頼から離れない楓を見ながら、そういうことかと確信して、彼女はニヤニヤと親友を見ていた。


「よし、次はお姉様たちと合流しますわよ!」

「おぉ!張り切っているな美鈴!」


ゆりかが拍手しながら美鈴をおだてる。

(ど、どんなノリなの?)と、星子と和が困惑する。


「ん?あっちから凄い音がするな」

「え?そうなの?」


ゆりかたちのグループがやって来た方向に指をさした秀頼が疑問を投げ掛ける。


「単にその辺の幽霊みたいな奴じゃね?」


『10円足りない……、10円足りない……』

『くるしぃぃ……、ひぃぃっ……』

水泳スウィムって名前のせいでどこ行っても馬鹿にされ、大学受験も就職試験も全落ち!俺の人生なんなんだぁぁぁぁ!』


咲夜がバトルホテル内にうようよしている幽霊をさしながら「こいつらの声じゃないのか?」と続けるも、「いや」と彼は否定してみせた。


「これは、ヨルの悲鳴か?あいつがあんな悲鳴を上げるとは……。可愛いところもあるじゃないか」

「えぇ!?よ、ヨルの悲鳴だと!?甲冑が来たのか!?」

「た、助けに行かないと秀頼君!」


ゆりかと絵美に急かされ、秀頼は歩き出す。

緊急事態が起こってしまい、絵美と円と楓は秀頼の手を離す。


「師匠、ひとまず動ける我と一緒にヨルを助けるぞ」

「あぁ。みんな、ゆっくりで良いから俺とゆりかについて来てくれ」


秀頼が冷静な指示を出すと、全員が頷く。

ひとまず先に走り出したゆりかを追いかけて、俺も全力で彼女を追いかける。


「確かにヨルの声みたいなものがあるな……。こっちか!」


ゆりかもヨルの悲鳴に気付き、その方向へ走り出す。

甲冑に殺されれば遺体もなく、灰になり、このバトルホテルに捕らわれる悪霊に変わる。


ゲームの終盤、楓の悪霊がノアと小鳥を騙し、甲冑が2人を殺害する『親友3人』ルートも存在するくらいだ。

『灰になる君へ』の甲冑はかなり危ないキレている存在だ。


バッっと扉を開けたゆりかが「ヨルっ!」と声をかける。



「あぁぁぁぁぁ!いつまで続くんだこれぇぇぇ!」

「わたくし、近城悠久はまだまだ体力は若い子に負けてないわよぉぉぉ!」

「あ、ゆりかさんが来ましたね」

「悠久先生の作戦成功ですね!」

「…………は?」


ゆりかはわけもわからずその謎の光景を見て固まってしまうのであった。

秀頼、星子、円、楓、美鈴と続きこの部屋に到達した者からその異様な光景を黙って見ているしか無かったのであった……。











※クズゲス読者様にお知らせ。

クズゲスのページ数の増加により、編集画面があまりにも重いこと、

そろそろ2年生編を始めることを考慮し、

この章終了後に新規作品としてセカンドシーズン以降を掲載しようと考えております。


そこで、読者様のご意見や要望などがありましたらコメント欄にて書き記してくださると幸いです。

(今の形式のまま、クズゲスを掲載するのかも迷い中)

皆さんはこの場合どうしておられるのでしょうか?

少しでも、読者様へストレスのかけない形を模索しています。


また、こちらのクズゲスでは一切シリアス抜きで西軍ハーレムの日常を描く予定なので完結はしばらくしない予定です。

(学園祭とか、本筋とは関係なく、みんなでワイワイする話とかをしていく予定)

短編で、人生やり直し系純愛ラブコメの新作も検討中。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る