20、明智秀頼の目覚め

気付けば俺は自室のベッドで目を覚ます。

真っ先にスマホで時間を確認すると、決闘から2日ほど経過していた。

あれから、どうなった……?


わからなくて、体育座りなっていた。


俺が気絶して、中身である秀頼が出て、みんなどう思ったんだろう?

恐ろしくて近付きたくないと、思ったかもしれない……。


(んなもんよー、なんにも考えねぇよ)


お前……。


(うじうじうじうじ……。気になるなら全員と付き合って、全員とセッ●●して聞き出せば良いじゃねーか)


なんでそういう話に!?

もう、それは原作のお前じゃん。

聞き出すくらいは自分でするよ!?


あと、お前……、慰めてくれてるのか……?


(いや、お前とはセッ●●できねーよ?)


もうやだ、こいつ……。

闇遊戯みたいに現れやがってよぉ!?

ガチもんの闇そのものじゃねぇかよ!


それから秀頼との会話を打ち切りおばさんを呼ぶ。

俺がここに来た経緯を尋ねると、達裄さんが車で運んでくれたらしい。

なんで達裄さんが学校にいた俺を運んだのかは意味はわからないが、あの人は暇人だし何しててもおかしくないしなぁ……。


「あと、おばさんね……」

「ん?」

「秀頼が決闘するなんて聞いてないんだけど」

「…………え?なんでそんなにおこなんですか?」

「怒ってるに決まってるじゃないですか!こんなに身体ボロボロにして、数日間気絶してぇ!こないだも気絶してたよねぇ!?危険なことはやめなさい!」

「や、やめて!頬を引っ張らないで!?」


久し振りにマジギレおばさんは、溜まったものがあるように吐き出す。

多分前回の『エナジードレイン』制御事件で気絶していたことも責めている。

本当におかしいね!?

危険なことから逃げているのに、いつの間にか危険に突っ込んでいるんだから!

どうしようもない。


「もうちょっと普通な人生送ってよ」

「おばさん……。そ、そんなキレんでも……」


(本当だよなぁ。虐待を見て見ぬ振りして親の責任放り出していた失格者がよぉ!殺してやりたくなるぜ!)


中の秀頼はぶちギレしている。

こいつ、おばさんと叔父さんが大嫌いだからね……。


「確かにおばさんが怒る資格なんかないと思う……。でも、やっぱり秀頼には幸せになって欲しいから……。だから、普通に生きて欲しい……」

「…………う、うん。努力するよ」


俺、この世界の神様に目を付けられてるから普通に生きるの難しいかもだけど……。


「あ、あと……、本気で女性関係どうにかしなさい」

「え?」

「秀頼が倒れた2日間……。何人女の子が見舞いにくるのよ」

「あー……」


おばさんはなんか変な勘違いをしてそうだ。

それに、前に喫茶店で会ったことある人たちしか来ないだろうし……。


「友達だよ、友達……。ははっ……」

「君、逆に男の友達少なくない?」

「え?」


ラインのほとんどの連絡先は、男しかいないのにおかしい……。

女の連絡先なんて、1割に満たないくらいなのに……。


まぁ、野郎に見舞い来られても嬉しいけど、あんまり嬉しくはないか。

嬉しいちゃ、嬉しいけど。


「とにかく!普通の学校生活を送って!以上!」

「はーい」


親であるおばさんといつもの3倍くらいの会話を終えて、部屋に1人残された。

とりあえず、達裄さんにお礼のラインを送りつつ……、暇だし少しギャルゲーでも楽しむかとゲーム機を取り出したのだった。


あーあ……、土日が気絶して無駄になっちゃったよ……。






─────






「そういうわけで、これから西軍軍議を執り行います」


その日、西軍が集まった。

そして咲夜のお願いで『サンクチュアリ』を貸し切りフルメンバーが揃っていた。


因みに、タケルがマスターを連れ出し一緒にラーメンを食べに行っていた。

タケルが連れ出しつつ、マスターが奢っていたのだが、それはどうでも良い話。

男はこの場に誰もいない。


「とにかく!もう少しで秀頼様の誕生日なんですわよね!」


美鈴がカレンダーの7月7日を指し示す。

当然、彼女らが何かをしようと考えていたし、横から誰かに予定を取られないように絵美が秀頼と約束を取り付けていた。


「だから、宣言します!美鈴は、秀頼様に、告白します!」


軍議が始まり早々、美鈴が全員に攻撃を切り込んだ。


秀頼の誕生日は、彼女らの手に委ねられていた。

そんなことも知らず、秀頼はギャルゲーの中でチュッチュッなデートを楽しんでいたのである。









次回より、新章!

一応、これから1、2ページ程度挟んで番外編します。

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