13、HALF DEAD GAME

『病弱の代償』編をお送りしてましたが、

急遽デスゲームが始まります。



24 twenty-four

ハーフデッドゲーム HALF DEAD GAME



ゲーム参加者 【並びはあいうえお順】

○明智秀頼

○石村卓男

○熊本セナ

○狛田季世

○斉藤ルル

○塩田加茂

○鈴木卓郎

○相馬孝

○ターザン・スルスル・メータン

○山彦七観


主催者

○田山清治


生き残れるのはたったの半分。

生き残るのは誰……?











「ひゃははははは、デスゲームだ!デスゲームの時間だっ!」


男は狂ったように笑い出す。

今のこの場にいる10人が、彼に視線を向ける。


「僕のギフトは『どんな場所でも密室空間にする』最強のギフトだぁぁぁ!もうこの体育館の出入口は僕が封鎖したぁぁぁ!」


演技がかった声であった。

その言葉を聞いた女子生徒が体育館の出入口を開けようとしても開かない。

ついさっきまで、自分たちを体育館に入れたばかりなのに扉は開かない。

鍵も掛かっていないのは、全員確認していたはず。


「いやぁぁぁ、出れない!出れないっ!」

「出してぇ!出してっ!」


女子生徒の2人が出入口を叩くもその扉は固く閉められている。


「僕を除いた10人よ、殺し合え!5人になるまで扉は開かない!ほらほら、早くしろよぉ!体育館の酸素無くなるぞぉ!僕が死んだところで体育館の扉は開かない。僕の意思でしかこのゲームは終わらねぇぜっ!」


男は嗤う。

それは完全にギフトに魅入られし者の叫びであった。


「ころす……?」

「どういうことだ?」


周りから疑問が上がる声がしてきた。

男はそれを面白がるように語り出す。


「ひゃははははは!24時間だっ!24時間以内に5人を殺せぇ!じゃねぇと、僕様の果物ナイフがお前らの心臓を抉り殺してやるぜぇ!ひゃははははは!!」

「なぁ、あんた」

「なんだぁ?文句あるのか?」


男は俺が不意打ち気味に声をしてきたところにきっとした視線を向けてきた。


「てめえから僕が殺してやろうか?見ろよ、この果物ナイフ!京都で買った切れ味の良い高いナイフだぜっ!」

「【バカなことやってねーで、体育館解放しろよ。デスゲームとかしょーもないこともうするなよな】」

「あっ、はい、すいません。もう2度とやりません」

「【ナイフもきちんとした用途で使いな】」

「すいません、今度からリンゴ切るのに使います」

「次ふざけたことするとぶっ殺すからな」

「……気を付けます」

「冗談だよ、デスゲームジョークだよ。真に受けんな」

「僕は、なんてことをしてしまったんだ……。罪を償います」


なんかよくわからんがギフト使用によりこの場は収まった。

まさか、さっきの授業で筆記用具を忘れたので取りにきたらこんなことに巻き込まれてしまった。


すぐに男は体育館を解放するギフトを使用した。

そして、その場にいた教師にそのまま男は取り押さえられた。


「ふぅ。怖いなぁ、ギフトって……」


筆記用具を手に取りながら廊下を歩き出す。













24 twenty-four

ハーフデッドゲーム HALF DEAD GAME



ーー完












「おっ、どうだったよ?」

「筆記用具忘れてたわ」

「全く、明智はちょいちょい抜けてるよな」

「いやー、気を付けねーとな」


待たせたままだったタケルと山本に合流して体操服を脱いで着替えていく。


さて、どうやって原作ヒロインの三島遥香と接近するかだよな……。


円にああ言った以上、『病弱の代償』に悩む彼女と面識を取る必要がある。

でも、三島遥香は違うクラスだ。

うーん、どうしようか?


クラスは隣のクラスというのは把握している。

正面突破するしかないだろうか?


体操服からブレザー姿に着替えて、次の授業に備える。

次はギフト講座の授業だ。


「明智君!さっきは勇敢に犯人を説得に行って凄かった!格好良かった!ありがとう!」

「え?あ、あぁ。どうも」

「あ?もしかして私のこと知らないかな?熊本って名前です」

「俺明智」


可愛い系な少しタヌキ顔をしているクラスメートの面識ない子から興奮した感じに声を掛けられた。

それから何個か質問され、適当に相槌をうった。


「犯人とかってなんだ?秀頼、お前なんかしたの?」

「え?なんもしてねーよ?」


体育館でラリった奴にギフト使ったあれ?

別に何かしたわけじゃねーし関係ないか。


それは置いておき、知らない子から声を掛けられた。

もしかして脈ありだったりする?

結構好感触じゃなかったか?


「俺がさっきの熊本さんって人に告ったらいけそうじゃなかった?」

「自惚れワロス」

「え?」

「ひっでぇ……。脈なしか……」

「あぁ、脈なしだよ」

「え?」


客観的な意見を持つタケルからも脈なしと診断された。

うーん、なんで女の子の連絡先ばっかり増えるのに、みんな脈ないんだろうな……。


「なー、どうなったら山本みたいに彼女できんの?」

「…………告白すればできるよ」

「イケメンの意見は参考にならん」

「まぁ、頑張れや」


山本は諦めた顔で俺の背中を叩く。

よっぽど山本から見て俺の顔面偏差値はお察しレベルということだろう……。


熊本さんのことは頭から忘れ、これからどうやってヒロインの三島遥香と接点を持つかを考えて時間は過ぎて行くのであった。












HALF DEAD GAME編完結です!


長い間ありがとうございました。



タケルはわかっていて『自惚れワロス』と言っています。

秀頼君が鈍感なのって2割くらいタケルのせいなんじゃねーかな……。



原作の世界では明智秀頼を除いた参加者9人で実際にHALF DEAD GAMEが行われました。


熊本さんは秀頼が不在なために参加者が奇数になってしまい、

人数を偶数にさせる必要があるため犯人の田山から近いところに立っていたという理由から見せしめで殺害されてしまう運命にありました。

その後、熊本さんの家族はギフト狩りに堕ちていきます……。

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