百合の会議に召喚される


「あの……この間、ニライカナイに招待されたとき、ハウスキーパー事務局にご挨拶に伺って……」


「えっ!」


「その時、ダニエラ・ギッシュ様とおっしゃる方に、ハレム設立を希望するのかと聞かれたので、希望しますと返事しておりますが」


「ダニエラ・ギッシュ……たしかハウスキーパーの懐刀……で、ダニエラ・ギッシュさんはその後何か云われましたか?」


「後日、設立の趣意書、人員名簿、ハレム運営方法などをまとめて、ハウスキーパーに正式にご挨拶と称して、ハレムの管理責任者が持ってくるようにと云われました」


「あぁぁぁ……遅かった……事務局が受け付けてしまった……」

「仕方無いわ……ではアンメイ皇女、書類をまとめて提出してきてね」


 リリスさん、トボトボと帰って行きました。


 そしてとうとうハウスキーパー事務局から、イザナミさん宛に、



 ……ソロモン宇宙、『仮称アヒノアム銀河』内のエデン銀河帝国、アンメイ第二皇女より、ハレム設立嘆願書が出され、ハウスキーパー事務局として提出書類に不備はなくこれを受理しました……


 ……これを受けて、『百合の会議』において議題として取り上げることになり、エデン銀河帝国アンメイ第二皇女を召喚しますが、現在ソロモン宇宙を管轄している、ヨミミリタリーの最高責任者、イザナミ様のご出席をお願いします……

 ……なお、もうひとり、現地の責任者を帯同されたい……



「ついに来た……」


 『百合の会議』が招集され、ひな壇にはヴィーナスさん以下、ハウスキーパーのサリーさん、レディーズ・メイドのアナスタシアさん、など愛人さんが並んでいます。

 ただね、ミリタリー関係者は遠慮してもらったようです。


「今回、ソロモン宇宙、『仮称アヒノアム銀河』内のエデン銀河帝国、アンメイ第二皇女より、ハレム設立嘆願書が出され件について、討議したいと思います」


「トライアングル・ホーム、トライアングル・ハレム、ソンガイ・コロニーのアスキア・シノです、設立嘆願書を出されたアンメイ第二皇女は幼く思われますが、ご自分の意思で出されたのでしょうか?」


「私は十二歳ですが女の印はもう始まっています、エデン銀河帝国では初潮があれば女は成人と見做されます、よって私は大人として私の意思でハレム設立嘆願書を出させていただきました」


「セパレイティス・クラブ、セパレイティスト 神聖ローマのマリーア・ソフィア・ディ・バヴィエラです、ネットワーク加盟申請とほぼ同時のこのハレム設立嘆願書、いささか急ぎすぎるのではありませんか?」

 セパレイティス・クラブというのは、惑星ブリタニカホームの別称でもありますね。


 この後も、十二歳の少女に厳しい質問が連発します。

 アンメイさん、これを理路整然と説明していますが、かなり皆さん、感心したようです。


「中原・ホーム、西岳崋山白雲宮、妙玉(みょうぎょく)です、せっかくヨミミリタリーの現地責任者として、ヨミのメイド長リリスさんがこられておられますのでお聞きします」


「アンメイ第二皇女はヴィーナス様にご寵愛を頂くに当たり、身を犠牲にとの発言がありましたが、ヴィーナス様のお側にお仕えするに対し、自らを犠牲にする必要は無いかと思います」


「ここにいる者は、身を犠牲にしていると考えている者はいないと私は確信しております、このあたりの寵妃の心得というべきことを説明されたのですか?」


 リリスさんが、

「大変申し上げにくいことですが、ヨミミリタリーとしては戦いの最中で、このあたりの事については説明しておりませんでした」


 アンメイさんが、

「リリス様が設立嘆願書を今少し後にして欲しいとおっしゃったとき、私が勝手に設立嘆願書を出した後でした」


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