リリスさん、大いに愚痴る


 ザワザワとしてきました。


「ニライカナイ・メスウィッジ、ヴァルホルコテージのヤルシュカです、今のお話では、ヨミミリタリーは忙しくてこのネットワークの根幹の一つである、ハレム・ハウス制度への誓願を見逃したと云うことになりませんか?」


「エラム・ホーム、アッタル騎士団のキャサリンです、今回は突発的にあの男性体の残滓勢力と出くわし、ヨミミリタリーも想定外の対処に忙しかったとは推測できますが、先の方のご発言どおり、いささか対応が雑ではなかったかと思われます」

「よって、このハレム設立要望書は時期尚早と判断できます、却下で良いのではありませんか」


 この後、イザナミさんとリリスさんは恒例の吊し上げにあったのですね……


 しばらくして、再び……

「トライアングル・ホーム、トライアングル・ハレム、ソンガイ・コロニーのアスキア・シノです、私はアンメイ皇女のお気持ちは痛いほどわかります、皆様も思い当たる事がおありでしょう、しかし、ハレム設立嘆願書が出されたので、すぐに許可とはいきません」


「皆さん、このソロモン宇宙、『仮称アヒノアム銀河』内のエデン銀河帝国という政権は初耳の方がほとんど、知名度がありません」


「そこで提案なのですが、一応ハレムとしては認めるが事務局預かり、献上品も事務局の許可が必要、このあたりで認めてはいただけませんか?」

「私としても情が移ったようで、その昔を思い出して、十二歳の少女の思いつめた心に答えてあげたいのです」


 ……


 最終的にこの案は了承されました。


「やれやれ、とにかく終わった……あとで事務局あたりから嫌味ぐらいは云われそうだけど……まあ、ましな方ではあった」


 イザナミさん、思ったより叱責が少なかったようで、ほっとしていましたが、リリスさんは、


「私、こんなに罵詈雑言を浴びたのは初めてです……」

「リリス、ミコ様は頻繁にこの『吊し上げ会議』を乗り越えておられるのです」

「頻繁にですか……私は二度と御免ですね」


「まあ、それが普通の反応ね、あのイシス様でも逃げ腰ですものね、私もシウテクトリさんもゼノビアさんも、一度は酷い目にあっていますからね……」


「でもリリス、今回はまだましだったのよ♪アスキア・シノさんに感謝ね♪」


「さて、これで未踏査宇宙探査開拓計画は始められるわ♪」

「ヨミのソロモン72の序列六位から下の方々には未踏査宇宙の探査開拓が命じられることになるわ♪」


「リリスさん、これから忙しいわよ、でも気を付けてね、『吊し上げ会議』に呼ばれるなんて悪夢以外の何物でもないから」

「そうですね、私も悪夢は見たくありません!目くばせはしっかりといたします!」


 『仮称アヒノアム銀河』から、リリスさんと三人の副官はニライカナイへ転勤、四人の船は一つとなり、『夜の魔女』号として再編成されました。

 

 小二十面半十二面体にシェルターステーション三十個をくみ上げて、六枚の正十角形の中央にシェルターステーションを追加しています。

 内部にミニ・インフェニティ・カーゴを中心に、宇宙海防戦艦スキーズブラズニル改級六隻で、正八面体を構成しています。


 一応、ニライカナイ泊地に牽引ビームで固定されています。

 リリスさんは、この『夜の魔女』号に乗って、ヨミが担当する未踏査宇宙探査開拓を査察するわけです。


 アンメイ皇女の嘆願によるハレムは、アヒノアム・エデンハレムとして成立、リンダウ・ステーションにハレムを置くことになりました。

 リンダウ・ステーションは標準簡易ステーションの増築オプションが前後に追加され、ここはステーションの駅舎より外は男子禁制地域となりました。


 惑星世界管理局に引継ぎが終わり、ネットワークに献上された女たちの村は人口が二万名を超え、加盟してから十年ほどたったころ、簡易鉄道から貨物鉄道に格上げの話が出ました。


 アンメイ皇女も二十二歳となり、たわわな巨乳をミコさんがご賞味してしまって、お気に召したのか何度もね……

 ついにアヒノアム・エデンハレムに寵妃が誕生し、ミコさんがとうとう『百合の会議』の標的に……


 やけくそになったのか、ベルクト村長とバーデン孤児院院長というお年寄り?にも、チョーカーなんて下賜して……若返ったお二人を散々にお食べになっていましたね。


 リリスさんが一言、

「懲りないミコ様ですね」

 十年もたつと、リリスさんもため口なんてね……ヨミのメイド長、貫禄十分なのです。


 FIN

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