第三章 イドル・リリーの物語 海賊退治
漂流していた女奴隷船
リリスさんの眷属、イドル・リリー。
『仮称アヒノアム銀河』の隣、直径一万五千光年の不規則銀河の探査を終わり、『イドルの宝冠』号はアヒノアム・ステーションに帰ってきた。
この不規則銀河、知生体はおらず簡易鉄道も施設する必要も無く、簡単な報告をすると、メイド長のリリスからアルダト・リリーの代わりにリンダウ・ステーション配備をお願いされた。
『アルダトの宝冠』号が、かなりマイクロ・インフェニティ・カーゴオプションステーションを使ったため、臨時の点検をするためだ。
しかし、リンダウ・ステーションに配備され、しばらくすると……とてもまずい船がこちらに向かってきている……
* * * * *
『仮称アヒノアム銀河』の隣、直径一万五千光年の不規則銀河の探査を終わり、セマンゲロフ・ショート・ワープポイントを経由して、アヒノアム・ステーションに帰ってきた『イドルの宝冠』号。
簡単な報告をすると、メイド長のリリスからアルダト・リリーの代わりにリンダウ・ステーション配備をお願いされたのです。
『アルダトの宝冠』号はかなりマイクロ・インフェニティ・カーゴオプションステーションを使ったため、臨時点検となりその代わりをするためだ。
『イドルの宝冠』号は探査した不規則銀河には知生体はおらず、簡易鉄道も施設する必要も無く、消耗することもない状態でした。
一ヶ月の期間、イドル・リリーはリンダウ・ステーションの司令官になったわけです。
しかし十日ほどたった頃、『イドルの宝冠』号の広域探知オプションステーションが一隻の船を探知しました。
この船、エンジンが故障、慣性航行しているようですが、まずいことにリンダウ・ステーションに向かっているようです。
「困ったわね、漂流しているようだけど、帝国の女奴隷船じゃないの……」
どうやら神殿の船らしく、神殿が所有する植民星へ奉納された少女を運んでいるようなのです……が……
ヘルメスジュニアが受信した通信の内容からは、違法な奴隷船のようです。
「腐っているわね、セマンゲロフの星が無くなったからって、神の巫女を売り飛ばすなんてね」
この船には選りすぐりの十三四歳の美少女が乗せられ、海賊に襲われ全滅……の予定らしいのです。
だから廃棄寸前のボロ船に乗せ、海賊にふんした奴隷商人が会合して奴隷市を開き、売上金は神殿の懐へ……
でも、上手くいかなかったのです。
この海賊船にふんした奴隷商人達の船団が、本物の海賊に襲われたのです。
海賊どもは神殿の女奴隷船を探知出来なかったようです。
しかしボロ船のエンジンが何と爆発、頑丈な貨物室は無事でしたが、機関室も操舵室も乗組員の居室までも大破、爆発のお陰で進路が変わり、こちらに向かうことになったわけです。
船内は水も食料もなく空気も余り持たないでしょう。
「仕方無いわね、とにかくこの奴隷船の女たちを救助しましょう」
救助するためには、リンダウ・ステーションからかなり帝国領に入ることになります。
「この奴隷船、何人乗っていそうかしら?」
「どうも百人ほど乗っていそうです」
『イドルの宝冠』号の移動型統括人工頭脳が答えます。
「千鳥型では無理ね……たしか友鶴なら一個中隊は乗せられるのよね……」
「最大二百名収容できます」
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