イザナミさん、厄介事に巻き込まれそうな予感


 やってきました!

 帝国の大艦隊、七万隻もいますね。


「迎撃せよ、一隻も生かして返すな!」

 アルダト・リリーさん、何のかんのと云ってもかなりの艦艇を量産していたのですよ。

 特にヨミの新型小型宇宙船です。


 新型のヨミの小型攻撃戦闘宇宙船、初雁(はつかり)型です。

 千鳥(ちどり)型は小型汎用戦闘宇宙船ですが、この初雁(はつかり)型は純然たる宇宙船です。


 この船の主武装はプラズマ砲です。

 千鳥(ちどり)型の船体を利用して、艦首にこのプラズマ砲を装備しているのです。

 放出質量は十億トン、船体はほとんどこのプラズマ砲と、それを供給する動力炉が占めています。

 その為、簡単なバリアしかついていません。

 

 ただ新型の空間転移機能はついており、しかも一瞬ですが時間を止められるのです。

 つまり敵の攻撃が当たる直前に時間を停止、空間転移して逃げるというわけです。

 CHIDORIー0002型を搭載、ホモサピエンス用の居住設備は三人分しかありません。


 千鳥型とか初雁型とかを率いる司令船として、これも新型の真鶴(まなづる)型も量産しています。

 また千鳥二型は友鶴(ともづる)型と改名されました。


 真鶴(まなづる)型は千鳥型を上下に二つ束ねたような形をしています。

 上の千鳥型のホモサピエンス居住区を改良、作戦室などがあります。

 下の千鳥型は陽子崩壊領域設定バリアを搭載しています。


 大体、真鶴(まなづる)型を旗艦として、他の小型宇宙船十二隻で警備戦隊を構成しています。

 二十個戦隊も量産したのですよ。

  

「警備戦隊出動、防衛戦隊はリンダウ・ステーションの防衛に専念せよ」


 二十戦隊、二百六十隻の小型宇宙船はロングワープしていきました。


「初雁型、プラズマ砲連続斉射!」

 

 初雁型で構成された警備戦隊は十戦隊、百二十隻がプラズマ砲をのべつくまなく撃っています。

 百二十隻の一斉射で五千隻は破壊しているようで、七万隻を四万隻減らした頃……


「真鶴(まなづる)型の陽子崩壊領域設定バリアを使用する、初雁型は交代せよ」


 あわてて後方へする初雁型、そして二十隻の陽子崩壊領域設定バリアが連続で炸裂します。


 敵が一万隻を切った頃、逃走を始めたのです。


「敵、逃走を始めました」

「初雁型は前方に進出、敵を出来るだけ撃破せよ」


 あちこちでプラズマ砲が威力を発揮、それでも二千隻ばかり、取り逃がしたようです。


「少し取り逃がしてしまいました、申し訳ありません」

 アルダト・リリーさん、グレモリイに陳謝していますね。


「いいのよ、ヨミの新型艦艇で戦ってくれたのでしょう♪助かるわ♪」

「性能はどうでした?」


「真鶴(まなづる)型と初雁型が戦った訳ですが、必要十分かと……」

「ヨミミリタリーとしては良い収穫よ♪」

「未踏査宇宙って、かなりの部分がヨミの管轄になりそうなのよ、警備艦隊って沢山必要なのよね♪」


 事実、三軍統合司令部では、ヨミのソロモン72のメンバーに一つの宇宙を任せようと考えているようです。


 ユニバースは、これから増えるであろう簡易鉄道を引き取らなくてはなりませんので手一杯。

 オルメカは膨張していくヨミの後詰めをしなくてはなりません。

 プラネテスも宇宙開拓に動員しますが、なにせここの宇宙艦隊は規模が小さい……


 比較的柔軟な司令官クラスが余っている?ヨミは適任と判断されたようです。

 誰が?イシスさんとヴィーナスさんの判断ですよ。


 ただね、イザナミさんの顔には陰りが……

 どうも『リンダウ』の女たち……色っぽいのですよね……しかもエデン銀河帝国っての主要人種って、どうも人種改良されているようで、巨乳なのです……

 

「まったく、セマンゲロフとかいう馬鹿のお陰で!」

「なんなの!このいびつな性差は!単性生殖もせずに、よく社会が成立しているわね!」


 帝国は奴隷制、当然人身売買は認められています。

 長女以外の美しい女児は、六歳になれば神殿に奉納、十二歳になり、さらに美しい少女はセマンゲロフの星に送られるのです。

 

 残りの奉納された少女は、そのまま神殿の荘園で農奴となります。

 神殿の荘園は女奴隷しかおらず、神官やたまにやってくる帝国貴族の相手をするわけです。


「女たちは男の庇護がなくては生きられません、私でも夫の妻の一人にしか過ぎません」

「自ずと媚びを売ることは女の習性となっています、私のような女は珍しいのです」

 ベルクト村長の言ですが、男に媚びを売る、それは遺伝子にまで染みこんでいるようです……


「こんな女たちの所へヴィーナス様がウロウロすれば……」

 そう、百合の会議に呼ばれて……


「寒気がするわ……」


 FIN

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