戦力差は甚だしく


 イドル・リリーの戦闘艇はアルダト・リリーの指定した場所に漂っていました。

 周囲には男性体の艦艇らしき残骸も漂っています。


 男性体の艦艇に突撃したようで、敵をくし刺しにした壮絶な残骸です。

 

 防衛戦隊はこの衝突した状態で回収してきたのです。


「これではイドル・リリーは……」

 イザナミさん、泣きそうな顔をしていますが、

「イザナミ様、私とイドルは双子みたいなもの、互いの存在はなんとなくわかるのです、私をあの残骸に行かせてください!」


「男どもの船でもあるのですよ、危険です」

「お願いです!イドルは姉妹なのです!」


 ここでガエネロン副長が、

「本船の小型陸戦ロボット部隊を派遣、残骸に危険がないことを確認後、アルダト・リリー様にご足労を願うということではいかがですか?」

「敵の残骸艦のなかに、リリス様たちのことが分かる計器などがあるかもしれません、いまのネットワークの技術力なら読み取れるかもしれません」


 このガエネロン副長の案が採用され、両軍の合体残骸船内を探索、まず男性体の指揮官の名前がわかりました。


 セノイ、サンセノイ、セマンゲロフ……どうやら、上官の命令で、リリス個人を狙ったようです。

 その理由もサンセノイの個人的な日誌に書かれていました。


 ……いまさらリリスの自己補修能力など何になるのだろう……


 あと、計器が進路変更をしようとして停止していました。

 

 艦首を回頭しようとしたとき、イドルさんが最後の突撃を敢行したのでしょう。


 イドルさんの残骸が見つかりました……

 手足が無残にねじ曲がり胸から切断されています……顔も目や鼻は押しつぶれていますが、かろうじて顔とわかる状態です。


「イドル……ん、もしかしたら……人工知能は無傷なのでは……」

 イザナミさん、自分が作ったのですから、人工知能を取り出してみますと……

 顔を構成する骨格にひびが入っていましたが、人工知能自体は無傷の様です。


 イザナミさん、オルゴールを取り出し通信したのです、相手はマレーネさんです。


「マレーネ様、お願いがあります、たしかミコ様は我らの人工知能が健在ゆえに我らを復活なされました、いまミコ様はお怪我を治療中、マレーネ様ならあのようなことも出来るのでは……お願いします、お助け下さい」

 

 マレーネさんが転移してきました。


「なるほど、電子頭脳は無傷ではないが、何とかなるようだ……この個体を戻せばいいのか?」

「お願いできますか?」

「何とかなるが、ついでに有機体アンドロイドにしてはいかがか?」

「勿論!イドル・リリーの製造データーをお渡しします!」


 マレーネさんって、物凄いのですよ。

 目の前で有機体アンドロイドを作り上げたのです。


 そして電子頭脳も修理?例のカプセルに入れたのです。

 勿論、カプセルもその場で作り上げたのですよ。


 そしてイドル・リリーが戻ってきて……


 その最中にマレーネさんが、

「敵がやってきますよ、とにかく警備ステーションのバリアを最大出力で張っておけば何事もありませんよ」


 イザナミさんが、

「警備ステーションはバリアを最大出力で張れ!」


「それで何事もないでしょう♪それよりイドル・リリーさんの復活ですよ♪」

 マレーネさん、男性体の残骸に興味を示したようで、何やら調べ始めました。


 アルダト・リリーはイドル・リリーに抱き付いていますし、イザナミさんは優しい目でそれを見ています。


 なにやら男性体の艦艇が集結、攻撃していますが、イザナミさんが、

「うるさいわね、陽子崩壊領域設定バリアで殲滅しなさい!まったく、男どもは!」


 イザナミさんの一言で男性体の艦隊は消滅したようです。

 

 マレーネさんが、

「あの艦隊、なんとも前近代的なロボット艦隊でしたね、サイボーグはいなかったですね……調べたかったのに……残念!」 

 

 戦力差は甚だしいようです。


うです。

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