朝
恐る恐る目を開けると、ふたりの前に見知らぬ人物が数人立っていた。皆一様にすらりと背が高く、動くたびに星のように光る生地でできた、爪先まで覆う細身の衣装を身にまとっている。
先頭に立つ人物は、ミズキの前にひざまづいた。黒目がちの大きな瞳につんとした鼻先、口も顎も小さく、夜の色をした髪を後ろでひとつに束ねている。見た目からは性別は分からない。
「お迎えにあがりました」
柔和な微笑みを浮かべて話しかけてきた。誰なのかと問おうとした秀哉をよそに、ミズキはゆっくりと一歩ずつ怪しい集団に近づいていく。
「ミズキ、どうしたんだ? どこに行くつもりだ?」
ミズキの手を握ろうとしたが、秀哉は自分の手を動かすことができずにいた。手だけではない、金縛りのような状態に陥り、体を動かすことができない。
ミズキは集団に囲まれるように立った。困惑の表情のまま、体が硬直し身動きがとれずにいる秀哉を見つめる。
表情を崩さぬまま「ありがとう」と呟くと、再び目も眩むような光が秀哉を覆った。
光が消えた後、そこにはもうミズキも怪しい集団も消え去って、辺りにはすっかり朝日の神々しい光が射しこんでいた。
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