【12】第2話 : 秘密の隠し部屋〈1〉

「キ、キサマぁ~!

 どうやって、狙撃ソゲキしやがったぁ…!!

 ぐぐぐぅぅううう…。

 銃は、スデウバったはずだ!」

 ─確かに伯爵の右手の甲には、今し方、かれた銃創ジュウソウアトが見える。

貴方アナタが、リヴァイアサンを、戻す瞬間を待っていたのよ」

 アクアディーテは、自分に刺さったナイフを、ゆっくり抜きながら答える。

「リヴァイアサンを閉じ込めたヒツギの中に、予備の弾丸ダンガン一つを、コッソリ追加ツイカしておいたの」

「だとしても…。 アラカジめ、何処ドコに予備の弾丸をカクしておいたんだ…」

「ふふ…女性の身体には誰しも、弾丸サイズぐらいなら収納シュウノウできる…

 秘密の隠し部屋があるのよ!

 殿方トノガタは、御存知ゴゾンジ無いかしら?」

 彼女は、メクれていたスカートを、サッと直した。

「キサマは、ヒツギトビラを開かせるタメに、自分のショーツから、離したとでも言うのか!」

「ええ…そうよ。 弾丸をツツんだリヴァイアサンは、貴方アナタの手に勢い良く、帰って行くはずだわ」

 ─CLEVER : クレバーだぜ! この女!

『サンダー・クロォー!!!』

 右手の指先に十分、電流が集まった。

 通常なら、手術時に電気メスとして使う商売道具だが、こんな修羅場シュラバでは武器にもなるのだ。

 俺は反撃のチャンスを見逃さず、伯爵にオドかる。

「もらったゼ! エセ博愛者野郎~っ!!!」

 完璧カンペキなタイミングと、死角シカクからの攻撃だ。

『ガグン!!!』

 俺の指先が、伯爵の胸先で止まる。

 リヴァイアサンの球体3つが、手首をガッシリとシメめ付けた!

 すると残りの球体2つが結合し、鳩尾ミゾオチ目がけ、ボディーブローをぶち込んで来る。

 カラダごと天井に打ち付けられたアト、俺は床に帰った。

「うぅぅん…。

 アクアディーテさんの戦略には、とても脱帽ダツボウしましたよ…」

 ヒザをついていた伯爵が立ち上がる。

「まぁ…。

 唯一ユイイツ難点ナンテンが、弾丸を包んだリヴァイアサンの戻る場所がテノヒラだけに、私にとって致命傷チメイショウに成りません。

 したがって、この様に反撃の機会を充分ジュウブンに与えてしまうのです!」

 弾丸スピードを受け止め、俺の直接的攻撃能力バースト・ジーニアハネね返すパワーを持つ、リヴァイアサン。

 ─鉄壁テッペキ防御ボウギョ力だ。

 クソウ!勝ち目は無いのかぁ…。





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