【11】第2話 : 静かなメイドさん 〈3〉

『ダキュ! ダキュ! ダキュ! ダキュ! ダキュ!』

 意を決した彼女は、トリガーを連続で引いた。

 銃弾を受けた死人シビトは、四方シホウへと吹っ飛ぶ。

「よくも、私に民間人をウタたせたわね!」

 大胆ダイタン椅子イス片脚カタアシけると、太股フトモモノゾく、ピンク色のショーツにヒツギを差し入れた。

 それは両手でジュウカマえ、正確に伯爵をネラタメだ。

『 Come Back! ( モドって来い!) 』

 デスマスク伯爵がサケぶと、床に転がる5人の死人シビトから、ワイン色の噴水フンスイヤブると、次々に戻って行く。

 「なっ何! 伯爵の右手の上に、スライム状のカタマリに成ったわ!」

 ─これが、リヴァイアサンの本体だ!

 次の瞬間、それは6つの球体に分かれ、伯爵を中心にした衛星エイセイとなり、周りをクルクルと回り出す。

『ダン!!!』

 彼女が慎重シンチョウネラサダめた弾丸ダンガンは、標的ヒョウテキへとけて行く。

 しかし…。

「チィィィッ! どう言う事なの!」

 微動ビドウだにしない伯爵のヒタイ、数センチ手前でピタリと止まってしまう。

 球体の一つが、弾丸を受け止めてしまった! 伯爵を外部攻撃から完全防御カンゼンボウギョしているのだ。

「今度こそ!」

 アクアディーテが、再びネラおうとカマえた時、指先に冷たくカラむ物がある。

 良く見ると、カラのシリンダーからい出た、リヴァイアサンだった。

「い…いつの間に!銃の中へ!」

 一瞬、ヒルんでしまったスキに、それは人の手に形状を変え、無理やり銃をツカむと、伯爵の元へ引き戻ってしまった。

「いけない! 銃をウバわれた! これでは、攻撃不可能よ!」

 アセる彼女を尻目シリメに、伯爵が銃を確認する。

「おやおや、シリンダーに一発、残っていますね…。

 もったいない!

 オサナコロは、最後まで使いなさいっ!』て、御両親に教わらなかったのでしょうかねぇ?

 お行儀がなってませんねぇ…!」

『ダン!!!』

 カワそうとする右肩へ、銃弾がツラヌく。その勢いに彼女のカラダは、後方へと飛ばされてしまった。

 ぶち当たった壁から、カザられていたナイフコレクションの雨がソソいだ。

『ザクザク! ザッザッザッ!』

 数本のナイフが、容赦ヨウシャなく突きさる。

『うぐぅぅぅぅ…』

 小さく苦悶クモンが聞こえた。

「 Come Back!!!」

 かさず、伯爵はアクアディーテの下腹部に向かい、手をかざす。

「そうは、させないわ!」

 彼女は、戻ろうとするショーツ内のリヴァイアサンをさえ込むタメに、強く内股ウチマタに力を入れたが、瀕死ヒンシの状態ではオヨばぬ抵抗テイコウであった。

 ショーツから、ヒツギが抜け出てしまった事で、トビラが開いてしまう。

 すると中から、リヴァイアサンが素早く伯爵のテノヒラに帰って行く!

 ─すると。

『ぐおぁぁぁぁあああああ!!!!!』

 今度は伯爵が、苦悶クモンの大声を上げた。

 何と、彼の右手から鮮血センケツが飛び散っているではないか。

「こっ…このアマァ! 何しやがったーっ!」






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