【04】第2話 : 本物の招待客〈1〉

『ぐはぁああああああああ!!』

 男が椅子イスに座ったまま、息絶えた。

 ─これで、4人目かぁ…。

 くそう!!

 俺は、ただ見ている事しか出来ない。

「でっ! その時、パウル神父が着用していた聖衣ローブの色は? 見たままに、お答え下さい」

 伯爵ハクシャクは招待客、一人一人に同じ質問を順番にり返している。

 だが、事件当日の聖衣ローブの色を問われると、ここまでの4人の招待客は不正解だったタメなのか、皆、命を落としていた。

 ─残すは、年配の夫人、飲んだくれのオッサンと俺をフクめた3人だけだ…。

 当初から全ての招待客7人は、デスマスク伯爵ハクシャク能力ジーニアにより、彼の意のままに体を支配され、椅子イスの上で身動き一つ取れずにいた。

聖衣ローブの色は…。

 ザマス!

 本当に見たザマスよ! わたくしは!! 」

 お金持ち風の夫人は、必死に成って答える。

「赤…。 うぅぅん…。

 正しい! 正しいですぞ!

 貴女アナタが本当に事件現場に居合わせた証拠ショウコです!」

「なっ…なら、わたくしが本当の目撃者モクゲキシャでよろしいのでは?」

 彼女は、懇願コンガンにも似た表情で質問者を見つめる。

しい…。

 実にしいのです、マダム!

 しかし残念ながら…私がノゾむ答えとは違うのです!」

 彼は冷たく見つめ返すと、

『うぐぐぐぁぁぁぁぁぁぁぁあ!』

 突然、夫人は、アエぎだす。

「わたくしの、こ…コタえは、た…タダしいのに…なぜ…ぇ?」

 彼女がツクエにうつブすと、カラのワイングラスがタオれ、床一面にが広がった。

 唯一、一人同席する召使メシツカいのが、け寄って来たものの、伯爵ハクシャクに手で制止され、直ぐに元の立ち位置へと戻った。

 ─どう言う事なんだ…。

 答えが正しくても、殺されてしまうのか!

 もっとも、直接的攻撃能力バースト・ジーニアノゾけば、デスマスク伯爵の様な間接的攻撃能力クロス・ジーニアを起動させるサイ、ある特定のが必要となる。

 この原則さえ分かれば、今、体を支配している正体も分かり、反撃ハンゲキのチャンスもツカめるのだがぁ…。

 現在、招待客の全員、何らかの原則下に置かれており、彼の能力ジーニアに逆らう事が出来ない。

 デスマスク伯爵は、殺しに慣れている。

 体を支配出来る能力ジーニアを持つのなら、各自、舌をみ切らして殺害すれば良い。

 だが、実際は舌を噛み切った所で人は死な無い。

 数分で、切断面は血で固まってしまい、出血多量死は有り得ない。

 そこで、舌根ゼッコン( 舌の元 )をノドに落とし、気道を閉塞ヘイソクする事で窒息死チッソクシさせるのだ。

 一見、地味に思えるが確実な殺害方法であり、そして何よりも外傷ガイショウが残ら無い事で、死因が特定されニクい。

 ─殺しのプロのする事だ…。

 チキショー。

 こりゃあ…命懸イノチガけの仕事だぜぇ。

 マッタく、ワリに合わねぇじゃねぇか!

 ヤツに、また一杯喰イッパイクワわされちまったぁ!

 あの強欲魔女ゴウヨクマジョめぇ~!!



 話は、一週間前のアイアン・バージンにサカノボる。



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