【05】第1話 : リサー・トン硫黄鉱山〈4〉
『ゴゴゴゴゴゴゴゴズーン!!』
「あぁっ! 落下が止まっただ! たっ…助かっただか?」
周りの連中と顔を見合わせる。
「うぅぅ…皆さん! はっ…早くっ…出口へ急いで下さい!」
「見ろっ! ローハイドさんが、天井を受け止めてるだよ!」
彼は、両腕を
『ガグンガッ!!』
「うわっ! 天井が、また沈んだぁ!」
ワシは思わず、へたり
「 うぐぐぐぐぅぅぅ! いけない!
ローハイドさんの左脚は
─そこへ。
「ぐぅあっ! 皆さん! 私から離れてぇぇ!」
「キ…キサブローさん! お願いです! 仲間の命を! 私の妻を…子供の命を! どうか…どうか助けて下さい!!」
『ググゥゥゥゥゥゥウ!!』
目は赤く染まり、青白い
ワシは、あまりの恐ろしさから、
「サッ…サタン…地獄の…サタンじゃ…」
と、心ならずも口走ってしもうた。
「ウオォォォォォオオ!!」
─ワシ
「皆の衆! ローハイドさんは、命に
「だが
ゴブリンの皆が、
「いいか! この決断は、全てワシ一人の責任じゃ! 皆は、ゴブリン一族の
そう強く叫び、
直ぐに、意識の無いコットンさんを数人で運びあげ、ようやく硫黄鉱山から脱出する事が出来た。
きっと、坑道内から見ておったのじゃろう…。
皆が脱出したのを確認したかの様に
「若い衆は、手分けをして周りの村に、協力を願い出るだ!」
ゴブリン数人がサッと走り出した。
「残りのモンは、コットンさんをワシの家に
ローハイドさんの救助活動は、
その頃、奥さんの意識は回復したものの、
「子供の命を優先で、お願いします」
彼女は一切、
「コットンさん! 待ってくれろ…。ローハイドさんは、必ずワシ
「キサブローさん…。実は、私達夫婦は共に、
お互いに多くの戦場をくぐり抜けて、今こうして生きていられる事自体が不思議なくらいなんです…」
彼女は、自分の腹を
「今から5年前の、
口にするのも
涙を浮かべながら
「戦争は
彼女は、美しい顔を両手で
「私達は逃げる様にして
また村の皆さんには、今まで本当の家族の様に接して頂き感謝の言葉が見つかりません…。加えて、子供を
「コットンさんの気持ちは、よう理解出来るんじゃが…子供は、今後またつくったらええ…。奥さんが死んじまったら、ローハイドさんの悲しみは
「再び妊娠を
それに…もう…二度と
彼女がワシの手を
「夫は…ローハイドは、生きています。妻である私には、ハッキリと感じます…」
「じゃったら…よけいに、コットンさんの命の方を…」
言いかけたワシを
「私は、精一杯生きました。この運命を受け入れた今は、不思議なくらい幸福に包まれた心持ちなんです。それに、もう直ぐ、私達夫婦にとって待ち望んだ、大切な命が誕生すると思うと、むしろ希望が
再び、ワシの手を強く
「ローハイドも、必ず分かってくれます。彼が今ここに居たとしても、私は同じ選択をしたでしょう」
「じゃが、ローハイドさんとの幸せの日々を、終わらせる事にも成るだよ」
「キサブローさん…。私は、決まった幸せの形など、世の中に無いと
ただ在るのは、自分の現実を受け入れる
彼女の覚悟した瞳に向かい、これ以上、ワシは何も返す事が出来んかったんじゃ…。
コットンさんの意志を
可愛い女の子じゃった。
もうろうとする彼女は、
優しく赤子を抱くと、満足そうに深く
それが、ワシが覚えている、コットンさんの
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