【02】第1話 : リサー・トン硫黄鉱山〈1〉
「キサブローさん! そろそろ皆を休ませて
ローハイドさんは立派な
「そうさなぁ! 先頭の
ここは、エデン皇国の中でも、不毛の大地と
ワシ
夫妻は共に、優秀な鉱山の
「ローハイドさん! また、そこら辺に生えとる麦を昼飯に持って来ただか?」
このノース・ビレッジ、一帯の土地は
「少々なら、まだしも、そう毎日じゃ…体をこわすべぇ…」
ワシ
加えて硫黄独特の、卵の
「キサブローさんには、
彼が、頭を
「いやぁね。あと三ヶ月もすれば、初めての子供が生まれますでしょう…。そうすると
「まぁ…オラ達ゴブリンは、日払いの給料だから、毎日夕方になれば、必ず今日一日分の賃金は、支払ってもらえるからのう…」
ローハイド
「それに、この村の水には硫黄が流れ込んでいて飲めませんから、私達も皆さん同様に
「そんでもなぁ…いくら、
「まぁ私は体が
─自分の子供を思う親心は、どの一族も変わりは無いんじゃなぁ…。
「そう言えば、ローハイドさん。
ワシは好物の、ミミズのつくだ
「実は、私もそこが気になっていた所なんです。コットンとも話をしていたのですが…」
彼は、足元で、チョロチョロ流れる水に目をやった。
─ローハイドさんの美しい奥さんは、先頭の掘削班で現場指揮を取っている。周りの者が、美女と野獣などと、二人を
ワシ
「いや~! しっかし、ローハイドさん
お調子者のサンキチが、ローハイドさんの背中を強く叩いた。
この小柄な男は、物事の利害に
─我が一族の中でも油断のならないヤツだ。
「サンキチ! お前は
「いやぁ…
それを聞いたローハイドさんが、ワシに言いにくそうに
「キサブローさん。実は、この昼飯が終わったら、いったん掘削工事は停止して、
「ワシは、ローハイドさんが、そう言うんじゃぁ…仕方が無いけんのう…」
「そうこなくっちゃあ、ローハイドさん! 掘削が1m進むごとに、オラッチのボーナスがチャリン! チャリン! と上がる音が聞こえて来るダニヨウ! 頼りにしてるダニ~!」
再び、サンキチが
「私達は今、入口から500m地点に居ます。先頭の掘削班は、ここから約1000m前方でしょう。つまり、1500mは地面と平行に進んで来た訳です」
「なるぼど…ローハイドさんは、そろそろ、坑道内の
「その通りです。キサブローさん。貴重な硫黄鉱脈を、シッカリと
「何を、弱気な事を言ってるダニ! オラッチが坑柱班の責任者と知っての考えダニかぁ? チッとやソッとで、天井が崩れる様な柱を立てて無いダニ! せっかく、お宝の硫黄鉱脈を発見して、みすみす、見捨てしまうなんて出来ないダニ!」
ワシ
「誰か先頭の掘削班に、本日の仕事の終了を伝えて下さい」
「それなら坑道内の指示伝達は、坑柱班の仕事ダニ! オラッチから伝えておくダニ!」
そう言うと、サンキチは仲間の一人にメモした紙を持たせ、先頭へと走らせた。
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