【14】第1話 : 太古の森〈2〉
森の
『グルル…シュウ…シュウ』
しきりに、辺りのニオイを
眼前1mに、ティラノサウルスが
「いいか…皆…このまま静かに、身動きするな。ヤツの鼻と耳は
俺は直ぐブリオに、ER-Bを発動させ皆をドーム内に
ティラノサウルスは、大きな横顔を寄せて、半透明のドーム内を
─生きた心地がしない。
「ヤブザキ。やっと、エンジンプラグが
そう言うと、ゼンは胸のポケットに手を入れる。
「無い!
ひそひそ声だが、ドーム内では返って
『しーっ!』
ブリオとケンボーは、
「
すると薄暗い中を、目を凝らしていたケンボーが
「ゼン姉ちゃん…。どうやら向こう側の、木の根っ子だよ」
ゴブリンの目は、たとえ
小さく光る、金属製の物が落ちている。
「くっ…う。さっき
ブリオが、俺の手を
「先生…。ブリオ
ブリオの
「心配要らないよ。ブリオちゃん。ヤツが
ブリオの瞳から、今にでも涙が
それをジッと見ていたケンボーが言う。
「オイラが、バイクの
「ケンボー! 先生は子供に、そんな危険な真似は、させられない!」
「そうだ!
ケンボーは、俺達に手を見せる。
「オイラ、ゴブリンの子供だから穴掘りは得意なんだ!」
確かに、ゴブリンは元来。地面に穴を掘り、住居にして来た種族の
ケンボーは、言うが早いか、あっという間に本人がすっかり入ってしまう、穴を掘ってしまい、その中へと消えてしまった。
「おっおい! ケンボー! 帰ってこい!」
俺は
─ティラノサウルスの、去って行く足が止まった。
こちらに振り向くと、頭を地面に近づけ何かを探っている。つまり、ケンボーが地面を掘り進む音に反応したのだ。
「まずいぞ! ケンボーが気付かれた!」
慎重に巨体を移すと突然、地面の中へ、大きな口を突き入れた。
「うわぁぁぁぁ」
ヤツの歯に、服の
彼は、
「オバケトカゲなんかに、食べられてたまるかぁ-!!」
さすがの王様も、予期せぬ反撃を喰らい、そのまま
『ドスン!』とケンボーが尻もちを着いた根元に、鍵はあった。
彼はサッと拾い上げ、トンネルに滑り込むと、直ぐにドーム内に頭を出す。
「ケンボー! 一人で、こんな無茶をして!」
俺は、体を引き上げてやる。
「ケンタローって、結構…勇気があるのね。ブリオ見直しちゃた…」
ブリオが、恥ずかしいそうに言うと。
「オイラ達、ゴブリン族は、大切な仲間の為なら、いつでも『勇気』という
「鍵を、ありがとうよ! ケンボー! アタシからも
ティラノサウルスは、しばらく獲物の行方を探していたが、直ぐにトンネルの出口から俺達のニオイを
再び、ヤツが接近して来る。
「今の内に、ズラカルぜぇ!」
ゼンが、キックスタートで、バイクを始動させる。
「見つかったぞ! ゼン! ヤツが突っ込んで来る!」
バイクは、ドーム壁を背負ったままで急発進した。
見た目は、足の速い亀の様だ。
『ドガがガーン』
ティラノサウルスに、後ろ向きで衝突する。
機動スイッチが逆に入っていた為に、思いっ切り、バックしてしまったのだ。
『グルル…グルル…グルル…』
ヤツは、大きな鼻息で、ドームの屋根を2度、
─かなりの
「やっぱり…怒って…らっしゃいますよね…」
肉食恐竜と俺の目が合う。
『グルヴァォ-!!』
「逃げろ-! ゼン!!」
「今、やってるぜぇ!!」
再び機動スイッチを前進に入れ換える。
『ガグン!』
「バイクの後部に、食いついた!」
俺の直ぐ背中で、
「おりゃぁ~! 本日2度目のアトミック・ブースターじゃぁ~い!!」
エンジンの排気口より、ジェット
さすがのヤツも、思わず大口を離した。
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