第4話 植物の復活
次々と辺り一面が緑色に包まれる。
「すごい、、これがノワールの力…!」
見たこともない光景にカノンは呆気に取られている。改めて間近で見るとやはり凄まじい。
「こんな事、造作もない。」
ノワールは自慢するかのようにそう言った。
周囲の花には蜜を吸いに来たのか蝶が舞っている。そこの木には木の実を啄みに来たのか鳥が飛んでいる。
「植物を操るのが我の力だ。少しずつではあるがまた大地を緑に包ませよう。」
「うん、ありがとね。」
改めてカノンはお礼を言った。
「じゃあ、帰るぞ。」
ロガはそう言うと、足元にいるリスに気づいた。リスの手にはドングリが握り締められている。 そしてリスはそれをロガの口に放り込んだ。
「…!ありがとな。」
ロガはリスにそう挨拶した。
「良かったねー、ロガ!」
「まぁ、、な。」
ロガは少しだけ照れ臭そうにしていた。
「いつでも来い。花の蜜でも集めて待っててやる。」
ノワールはそう言ってロガとカノンを見送った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「そーいえばさ、、?」
「どうした?」
帰り道、カノンはロガに問い掛ける。
「ノワールがロガを裏切り者って言ってたけど、どういう意味?」
「…あまり言いたくはない。」
「そっか、なら良いよ。」
一人と一頭は世間話をしながら帰っていった。
その道中に…。
女の子が一人倒れてるのを見つけた。
「ってロガ…あれ!」
カノンは慌ててその子の所に走る。
「今度は何が…な…!」
女の子は年齢は10歳ほどだが、かなり痩せていて着ている服もだいぶボロボロで布切れみたいになってた。
「あわわわ…どーしよー!」
「落ち着け…。兎に角軽い栄養失調になっているようだ。そのくらいなら何とかできる。」
ロガは手を女の子に翳すと、少しだけ目を閉じた。そして手を離すと、女の子の体が少しずつ動き、やがて、目を開けた。
「あれ、、ここ、、は?」
「大丈夫?立てる?」
カノンはそう聞いて手を差し伸べるが女の子は怯えるようにしてカノンから離れる。
「こっちに、、来ないでください…。」
「どうして?ほっとけないよ、君みたいな子…。」
「嘘だ、絶対に、嘘なんだ…。どうせ、他の人達みたいに、私のことを捕まえようとするんだ、、。」
そういう女の子の額には、よく見ると角が生えている。カノンはそこでハッと気づく。
「もしかして、貴方は、、竜人なの?」
女の子は何も言わなかったが、反応を見るからして図星なんだな、とカノンは思った。
「みんな、信じない。どうせ、お姉さんも懸賞金が目的なんでしょ?」
「違うよ、私はただ、本当に心配で…。」
「うるさい!」
女の子は叫んだ。そして、角と背中に生えた翼がどんどん大きくなっていく…。
「みんな、いつもそうだ。私のこと、嫌いなんだ…。」
その口からは牙が生えていた。
「みんな、消えちゃえ…!」
そして女の子はカノンに飛びかかる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます