第3話 森の竜皇

 カノンとロガはまず、被害が最も酷い森林を復興させる為に、大陸の南西にあるノワール森林へと足を運ぶことにした。そこは迷いの森とも言われており、一度足を踏み入れれば生きて出られる事は殆ど無いと言われていた。

 森林にカノンとロガは入る…と言っても殆どの植物は枯れてしまっている。森に居そうなリスなども全く見当たらない。それもそうであろう。餌の植物がかれているのだから。

 しかも…最悪な事に早くも迷ってしまった。ロガも空を飛んで現在地を探ろうとするが、深い霧が立ち込める所為で分からない。

「一体どうすれば…。」

 そこで不自然な穴…いや道が見えた。

 木が何かを避けるように蠢いている…。

 地中から蔓が猛烈な勢いで生えてくる。

「しまった!」

カノンとロガは避けようと思ったが間に合わず、カノンとロガは容易く捕まってしまった。

 「我が森を汚しにきたのは…誰だ!」

そして木の間からきたのは…木竜皇ノワールだった。

 「何だ、我らが敵、人間と裏切り者のロガではないか…。」

 「クソっ…離せ!!」

 ロガは必死に暴れようとするが、蔓はびくともしない。それどころか、縛り付ける力は増していく。

 「あぁぁぁぁ!!!!」

カノンは苦しそうな叫び声を上げる。

 「我が森に立ち入った末路だ…今ここで、契約した仲間の前で、死なせてやろう!」

「カノン!」

 ロガが助けようと力を込めたその時、ロガの竜醒紋とカノンの手の甲の契約印が光り輝いた。

 「何!?」

ノワールの蔓はなお強く締め付けるが、蔓は砕け散った。 

 「馬鹿な…ありえん!人と竜の絆などが、我を上回るなど…!」

ノワールは木を生やしてロガの攻撃を防ごうとするが、その木は直ぐに折られてしまい、その爪がノワールを切り裂いた。

 「これでとどめだ…!」

「待って!」

 カノンが慌てて止めに入った。

 「私達の目的は、飽くまで竜醒紋の解放!竜皇帝の殺害じゃないのよ!」

「む…そうだったな。済まなかった。」

カノンはそう言ってノワールに治癒魔法を掛ける。ノワールの切り傷がみるみる治って、やがて無くなってしまった。

 「な…何故我を殺さない!人間にとって我は敵であるぞ!」

 「私はそうは思わない…それに、動物とかも最初はいないと思ってたけど、所々に今も居るっていう形跡があった。本当は、貴方も自然を大事にしたいんでしょ?」

「…我の負けだな。」

ノワールはそう呟くと、歩き出した。

 「着いてこい。案内してやる。」

カノンとロガはノワールに着いていった。

歩いて暫くすると…花に包まれた竜醒紋を見つけた。

 「あれは…竜醒紋!」

「下がっていろ。後は我の仕事だ。」

 ノワールが花を咲かせると、竜醒紋は元の輝きを取り戻した。

 森が眩い緑に包まれる…。

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