第84話 エピソード4(五方陣の中)
エピソード3の息子ジョン・ダーシー(10才)とその友人ティム・ロイド(10才)近所の空き地に秘密基地を作り学校が終わると毎日そこで過ごしている。先月まではもう一人フィル・レイナー(10才)がいたが親の都合で転校してしまっていた。
ティム(これってやっぱり宇宙人の仕業だと思う?)
ジョン(お前もそう思ってた?おーれも!)
ティム(すっごいよね。僕たちしゃべってないものね。なのに会話してるってやっぱりミスター・グレイはいるんだよ。もうどっかの州を侵略しちゃってるかも!)
ジョン(そうなったら俺、戦うかな?いや逃げるね。とりあえず逃げる。やっぱ怖いもん。)
ティム(僕は戦うかな?うん。戦うよ。地球は僕らの星だもの。家族と一緒でしょ。)
ジョン(家族ね。俺の場合はとうに壊れてるかな。パパもママも毎日喧嘩してるし、弟は体弱くていっつもピーピーうるさいし)
ティム(まあどこの家も同じようなもんさ。ところで俺たちってなんで隣同士で座ってるのにこんなテレパシー使ってしゃべってんの?もっと遠くの会えないやつとかに使う方が有効なんじゃ無いの?)
ジョン(お前、あったまいいな。感動!そうだよ!あいつフィルどうしてっかな?親の都合でNYなんか行っちゃって。楽しかったのになあ。三人でいっつもこの秘密基地でさ・・・)
フィル(ジョン!ティム!さっきから呼んでるのに二人とも!)
ティム(わーお!フィルだ!元気?)
ジョン(何だよ。これ。お前一回りちいせえー。それにうっすー。)
フィル(君らもだよ。僕の前ではやっぱりそういう風に見えてる。)
ジョン(あっそう。だっせー)
フィル(相変わらず二人でつるんでんの?楽しそうでいいな・・・)
ティム(どうしたの?元気ないね?友達出来た?)
ジョン(そーだよ。NYなんていいじゃん。こんな田舎とちがって野球は見放題だし女子だっていけてるんだろ?)
フィル(友達は・・・いない。出来ないんだ。)
ティム(どうして?フィルは僕たちと違って成績も良かったし先生受けだって良かったからきっと都会へ行っても楽しくやってるだろうって思ってたのに・・・)
ジョン(“俺らと違って“ってどういう意味だよ。お前と一緒にすんなよ。)
フィル(ああこっちはいわゆる進学校っていうのに入れられたんだけど男子校でさ。ほんとみんな勉強ばっかりで僕何人かに話しかけたりしたんだけど、みんなここでは友達なんて作らないみたいだ・・・)
ジョン(友達つくんなくってどうやって遊ぶんだよ?)
フィル(遊ばないんだ。休み時間もそれぞれ一人で本呼んだり、勉強したりしてる。体育とかは数字の為だけにこなしてるって感じで・・・放課後もそれぞれ塾通いに忙しいし・・・)
ティム(そんな、寂しいじゃないか。誰か一人もいないの?話が出来るやつって。)
フィル(うん。何人かちょっと話した人はいるけどそれっきりかな。まじでジョンやフィルみたいな人たちはここにはいないよ。そっちへ帰れたらなって何度も思った。)
ジョン(まあな。俺たちみたいないけてるやつはそうそう転がっちゃいないぜ!)
ティム(そう言う事じゃなくて!馬鹿だな!お前は!)
ジョン(何だよ?馬鹿って。)
フィル(あはは。いや。本当だよ。ジョンはいけてる。)
ジョン(だろ?馬鹿はお前だ。ティム!)
ティム(あーもう。ジョン!話をかき回さない!フィル。ねえ。いい機会だよ。ここ。何か隠し事できない空間みたいだし誰でも呼び出せるチャット場みたいだからさ。フィルがちょっと友達になりたいなーって思ってるやつ呼び出しちゃえば。おれらも一緒にフィルのいいところそいつに言ってやるしさ。そしたら恥ずかしく無いだろ?)
フィル(ああ、そうか・・・)
ジョン(なんかよく解んないけど面白そうだな!やろうぜ!)
ティム(うん僕が知ってる中では、このロジャー・ヒルが・・・今まで話して一番感じが良かっ・・・)
ロジャー(何!?誰?わっ!君たち誰?)
ジョン(えーこいつ?だっせー。)
ティム(ジョン。だまって!って言っても考えたことや思ったことが隠せないんだここでは。あはは。初めまして。僕はフィルの友達のティム。)
ロジャー(やあ。えっ君フィル?どうして?)
ジョン(うっせーな。友達が呼び出した時にどうしてもくそもねえんだよ。あっ。俺ジョン。)
ロジャー(やあ・・・)
フィル(ごめん。急に呼び出したりして。僕が前に住んでた所の友達なんだ。ティムとジョンって言って良い奴らなんだ。)
ロジャー(・・・・ああ・・・そう。で用は何?)
ジョン(まじかよ!?フィル!もうちょっとましなやついなかったの?俺信じらんねー!まじむかついてきた。)
ティム(まあまあ。もっとも僕もジョンの気持ちに賛成だけど。)
ジョン(だろ!?)
ティム(でもフィルは・・・君ロジャー?君と友達になりたいんだ。友達って解る?僕ら・・・僕とフィルとジョンはここでずっと仲良しの友達。ううん親友だ。親にも言えないような事でも相談に乗って。要は腹を割って話せる相手って事だけど。そういう間柄にフィルは君となりたいって思ってるわけ。フィルはこっちでは成績がすっごくよくて、でも偉ぶらなくていわゆるナイスガイってやつなんだけど、時々ぬけててそこがいい味だしてて、僕たちはそんなフィルが大好きなんだよ。で、そっちで僕らみたいな友達が出来ないって言ってるからだれか友達になりたいやつ呼びだせって僕たちが勧めたんだ。)
ロジャー(ああ解った。うん。ごめん来た瞬間に君たちが考えてたことホントは解ってた。)
ジョン(メンドクセーやつだな。んじゃなんで)
ロジャー(僕、こんなこと思われたことも言われたこともなかったから、ちょっととまどっちゃって。ごめんね。フィル。)
フィル(ううん。僕も自分で言えばいいのにティムに言ってもらって。ティムはすっごい機械に強くて通信機なんか自分で作っちゃうんだよ。それでよく夜中に合図したりしたよね。でジョンはスポーツがなんでも出来るんだ。将来は野球かサッカーの選手になるんだよね。)
ジョン((頷きながら)今のところは野球かな?ねえお宅らヤンキースのチケットとかとれる伝手持ってないの?)
ロジャー(僕の父は年間指定席持ってる・・・)
ジョン(まじ!?俺NYへ行ったら試合見れちゃうって事?)
ロジャー(多分。大丈夫・・だと思うけど)
ジョン(フィルこいついいやつじゃん!俺たちもう友達だよなっ!なっ!)
ロジャー(う、うん・・・)
ティム(あはは!じゃあさ夏休みになったらみんなで試合を見に行くことにしようよ。こんなチャンスは滅多にないし。)
フィル(楽しみだね。)
ロジャー(僕、野球のルールが解らない・・・)
ジョン(まじかよ!?こうだよ。こうでこうなるの。解る?んでこれはこれ。)
ロジャー(ああなるほど、今度そのルールでTVの試合を見てみるよ。面白そうだね。)
ジョン(だろ!ウヒョー!チアガールも間近で見れるー!!!)
ティム(頼むから鼻血出すなよ。)
ジョン(ねえ。ねえ。そっちの女子ってやっぱスゴイの?)
ティム(そんなこと言ってたらケイト・ハーシーに怒られるぞ!)
ジョン(だっ誰が!俺ケイトとなんか付き合ってないからな!)
ケイト(何?呼んだ?アー!ジョンとティム。まーたつるんでるの?あらフィル?フィル・レイナー?あの優等生でかっこいいフィルなの?ラッキー会えたわ。うれしい!ドナ!ドナ!フィルよ。こっちに来て!)
ドナ(オーマイガッ!フィルじゃないの。あんたNYへ行ったって。そっかあ!こういう場所では無数に会える訳ね。あらこっちのひ弱そうなお坊ちゃんはどなた?ちょっと可愛いわ。)
ロジャー((顔を真っ赤にして)は、初めまして。ぼっ僕は、ああ。だめだ!女の子と話なんかしたことないんだ。ああ!破滅だ!)
ドナ(ああら。そんなに堅苦しく考えること無いわよ。私こういう都会の僕ちゃんってタイプに弱いのよね。フィルはケイトにあげるわ!もう興味なし!)
ケイト(あげるって。はんっ。何言ってるのよ。私はフィルよりジョンが・・・(あわてて考えを切り替えて)とっところであんたたち何の悪巧みしてたの?エー!ヤンキースのチケットとれるの?見に行く!私も!行く!絶対行くから!ねえフィルいいでしょ?)
ドナ(ヤンキースって何よ?何のチーム?でもロジャー。あなたに会えるんでしょ?だったら私も行くわ。あなた真っ赤よ大丈夫?)
ジョン(何?何?どーなってんの?)
ティム(みんなが勝手に思うからめちゃくちゃだよ。特に女子が乱入してからもー訳わかんない!)
ケイト(何よ!あんたが呼び出したんでしょ!私はドナとおしゃべりしてた最中だったのに!)
フィル(えーっとだからロジャー・・・僕と友達になってくれるんでしょ?)
ロジャー(ドナ。ドナって言うの?素敵だな・・・あっでもケイトも可愛いよね。)
ケイト(ああら、ありがとう。あなた見る目あるわ。)
ドナ(何よ!ケイトの方がいいって言うの?どうして男はそうブロンドに弱いのよ!)
ジョン(あっ!俺呼ばれてる?誰?これ・・・誰?)
・・・・・・・・一同沈黙・・・・・・
(ダダー・・・ブウブ・・・おにいちゃま・・・プップー。たのちい・・・☆※○□★・・・おにいちゃま・・・ちゅき・・・ぷう)
ケイト(な・・・何?これ?)
ジョン(ああー!ロビンだ!俺の弟だよ!昨日暇だったから遊んでやってるときに“お兄ちゃま“って何度も教えたんだ。おい。ロビン!バブバブ!)
ロビン(うふふふ・・・☆※○□★・・・おにいちゃま・・・ちゅき・・)
フィル(なるほど・・・まだ人としての快・不快位しか形成されてないんだろうな・・・深いな・・・)
ティム(いいや、フィル。人間ってその位でちょうどいいのかも。見てみろよ兄弟で話通じてるもん。)
一同ロジャーとロビンの会話を見つめる。その視線の先には楽しそうに微笑みながらロジャーとロビンの兄弟が手振り身振りを加え、話を続けている。
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