第7話

☆☆☆


次に目を覚ました時、窓の外は真っ暗になっていた。



慌ててサイドテーブルの目ざまし時計を確認してみると、夜中の3時を指している。



いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。



制服姿のままだったことを思い出し、ベッドからノロノロと起き出して着替えをする。



その時、スマホが光っていることに気がついた。



確認してみると《恐怖アプリ》が勝手に起動されていることに気がついた。



「なによこれ」



眉間にシワを寄せる。



画面には《復讐したい相手の顔写真をUPしてください》と、赤い文字で書かれている。



あたしはそれを無視して、シャワーへと向かったのだった。


☆☆☆


シャワーを浴びてようやく汚れを落としたあたしはスッキリとした気分で自室へ戻った。



まだ4時前だから、もう少し眠れる時間だ。



顎の痛みも引いていて見た目も問題なくて、ひと安心だ。



ベッドへ戻ったとき、さっきサイドテーブルに投げ出したスマホが視界入った。



画面を確認してみると、まだ《復讐したい相手の顔写真をUPしてください》の文字が表示されている。



画面を元に戻そうとしても、また操作がきかなくなっている。



「もう、なんなのよ」



ブツブツと文句を言いながら、机の中から2年D組の写真を取り出した。



とにかく誰かの写真をUPすればアプリが閉じてくれるかもしれない。



そう思ったのだ。



あたしはD組の写真を苦々しい気分で見つめた。



この写真を見て思い出されるのはイジメられている時の記憶ばかりだ。



「どうせだから、嫌な奴の写真にしよう」



呟き、ハサミで靖の顔だけ切り取った。



靖は美紀たちイジメっこの金魚のフンだ。



自分がイジメのターゲットにされたくないから、必死で美紀たちの機嫌を取っているのは明白だった。



靖の顔を撮影したあたしは《恐怖アプリ》にそれをUPしたのだった。


☆☆☆


翌日目を覚ますと憂鬱な気分だった。



また1日が始まってしまった。



「学校行きたくないなぁ」



思わず呟く。



今日仮病を使って休むことはできるけれど、そうなると夢が学校で1人になってしまう。



それに、昨日の今日で休むなど言ったらお母さんになんと言われるかわからない。



休めば楽になるというのはただの妄想だと感じていて。



仕方なくベッドから起き出してリビングへ向かった。



キッチンからはすでに朝ごはんのいい匂いがしている。



食欲はなかったけれど、用意されている卵焼きをどうにか食べて家を出た。



今日はとてもいい天気で温かい。



できればこのままどこか遠くへ行ってしまいたかった。



しかし、足は学校までの慣れた道のりを歩き始める。



嫌だと思いながらも別の道を歩いていくことができない。



そんな自分に嫌気がさしてくる。

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