第5話

何度ためしてみても消すことができない。



アプリをダウンロードするサイトから直接消そうと思っても、ダメだった。



あたしと夢は目を見かわせた。



「とりあえず、どんなアプリか調べてみようか」



夢の言葉にあたしは頷いたのだった。


☆☆☆


それから2人で近くの公園に来ていた。



《恐怖アプリ》を起動させると、すぐに真っ黒な画面が表示された。



赤文字で説明文が書かれているから読みにくくてしかたない。



「恐怖を与えたい相手の顔写真を当アプリにUPします」



あたしは画面上の説明文を読み上げていく。



「するとアプリが勝手に相手になんらかの恐怖を与えます?」



続きを読んだ夢がプッと笑った。



つられて笑顔になってしまい、顎が痛んだ。



「相手に与えた恐怖に応じて、利用者にはなんらかの損失の損失を負ってもらいます」



その説明文の下には《同意する》ボタンが表示されている。



しかし、《同意しない》ボタンはどこにもなかった。



「なにこれ、子供騙しなアプリだね」



夢があたしから身を離して言う。



「そうだね。ゲームかなにかなのかも」



でも、《同意する》ボタンしかないことは少し気になった。



「ほっとけばいいんじゃない?」



夢の言葉に頷き、あたしはアプリを閉じようとした。



しかし、画面は切り替わらない。



「あれ、なんで?」



「どうしたの?」



「アプリを閉じられないの」



「ちょっと貸して」



夢にスマホを渡すとアプリをいじりだした。



しかし、あたしと同じでアプリを消すことも、画面を移動させることもできないみたいだ。



「どうなってるんだろう?」



首をかしげる夢。



そんなことをしている間にもあたりは暗くなってきていた。



そろそろ帰らないと、さすがにまずい。



「いいよ夢。とりあえず《同意する》を押してみるから」



「大丈夫なの?」



「課金が必要とか書かれてないんだから」



もし登録後にそういうことが起こったら、ちゃんとした場所に相談すればいい。



そのくらいの気持ちで、あたしは《同意する》ボタンを押したのだった。



すると、すぐにアプリは閉じられてしまった。



「なにこれ、変なの」



あたしはそう呟いたのだった。

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