第3話

美女がお見舞いに、金が天井から降ってくると、くれば次にやることは一つだ。

自分の精神への疑いだ。

俺、幻覚でも見てるのか?

事故で頭でもぶつけたのかな?いや、けれど病院に床に落ちた札束は本物である。

「宝玉ってなんだ?」

「マスターの心臓にある何でも願いがかなう、宝玉です。マスターは神様になったのです」

女の言葉に俺はついに自分の精神がやばいのかと、げらげら笑う。

「マスター?神様ってなんだよ?俺が地球が滅べって言ったら、滅ぶのか?」

「そうです。しかし、それを願うとマスターは死にます。宝玉はうまく扱わねばあなたは滅びます。永遠の命を願い、地球を滅べといえば、マスターは滅びません。

あなたは私の創造主だからマスターなのです」

「お前は何なんだ?変な痴女かなんかなのか?」

「あなたが作り出したものです」

「はは。なんだそれ」

俺が作り出した幻覚か何かか?


そんなこんなをわけわからん女と話していると、病室に母親が入ってきた。

親はお見舞いに来ないと思っていたので、俺は驚いていると、母親は女に向かって「こんにちは」というと、俺の方を睨んだ。

「あら、あんたに恋人いたの?まぁ、あんたの恋人にしては綺麗すぎるわね。どうせ同僚の女性か何かでしょ?」

 

あの女は俺が作り出した幻覚ではないらしい。母親にも見えている?

俺は無言で驚く。


「お兄ちゃんと違って、あんたはどじなんだから」


母親は日々何かにつけて俺のことを馬鹿にしている。兄貴の方はイケメンで、俺の方が不細工だからなのか、学校の成績がいつも悪かったからなのか?

「急に来てなんだよ?」

「これ」

母親は俺に向かって、紙袋を投げた。

「お母さんがあなたの様子を聞くから、仕方なくきたの。今忙しいから勘弁してほしいわ」


父方の祖母の菊ばあちゃんは、いつも俺のことを心配してくれている。菊ばあちゃんだけは兄貴と俺を比較しないでくれた。


「もうこれないから、じゃぁね」と、あまりな言葉を残して母親は去っていく。

まぁ、父親の会社の跡取りのイケメンで頭脳明晰な兄貴がいるから、俺は必要ないんだろうと思う。

まぁ、どうでもいいが。

俺はため息を吐くと、早く退院して家でゲームやら新しく買っておいた初代のプラモを組み立てたいと思うのだった。


そういえば、事故で死にそうになっていた野良猫はどうなったのだろう?

病院にやってきた警察の人にきくと、野良猫は生きていて保健所にいるらしい。


保健所にいるということは、せっかく助けたのに処分されてしまうのか?

不安になっていると、あの女が間近で俺の顔を見ていることに気づく。

「とっとと、出ていけよ」

「出ていくとはどちらから出ていくのでしょうか?」

「この病院からだよ」

「あなたのそばから出ていく場所はありません」

 女の日本語がおかしい。

「悪いが、俺のいる病室から出ていってほしい。君は正直不審人物だ」

「畏まりました」

そういうと女は部屋を出ていく。


俺はほっとするのと同時に、なにか出ていけなんて言い過ぎたかな?とも思ったのだが、自分の正気を保つには仕方がないかもなとも思うのであった。

「ごめんな。戻ってきてもいいぞー」

適当に言ってみた。

なんてなと、俺は一人笑う。


「畏まりました。マスター」

いつの間にか、その女は俺の目の前に立っていた。

「どわぁあ!」

 足音も気配もしなかったので、俺は心底驚いた。心臓が飛び出るかと思った。

「あ、あんた何なんだよ!」

「あなたの作り出したものであり、あなたの娘であり、あなたが望むなら何でもなる存在です」

「意味わからん。君の名前は?さっさと家に帰ったほうがいいんじゃないか?」

こんな美女が俺に付きまとうなんて、ろくなことじゃないだろうな。まぁ美女の裸を見れただけでも良いことがあったと思う。


「名前はありません。マスター、名付けてください」

「名前もないのか?それとも俺に名乗りたくないのか?まぁ、名前がないと不便なので、今日からお前のこと痴女と呼ぶ」



あの意味わからん女は、退院してからも家まで俺の後をずっとついてくるのであった。


家までついてきた女と男二人でやることは一つである。

脱童貞だ。


まぁ、俺が精神を病んで実在しない妄想の女とやるのかもしれないが、このさいかまわん。

男主導でプレッシャーだし、風俗の女ともやる気になれなかったし、恋人ができるだけのコミュニケーションがあるわけでもなしに、俺は生涯ぶっちゃけ童貞でもいいと思ったが、チャンスがあるなら、やりたい。


俺は俺の前で正座してみている痴女に言った。


「俺とセっ〇クスしてくれないか?」

「私はあなた様の願いをかなえるもの。けっこうです」


そんなこんなで女を押し倒してみたが、やり方が分からない。せっ〇クスって、女を喜ばせなければいけないんだよな?

エロ本の知識は一通りあるので、エロ本でみた通りやってみたが、まったく入らなくてだめだったし、エロゲームでやったほうが気楽で楽しいが、試行錯誤やってみたのだった。(完


自分勝手でやったセっ来るは、楽しかった。だがなんか罪悪感がこみあげてきて、痴女の方を見れない。


「お、俺、どうだった?」

なんとなく聞いてみる。

「なにがでしょうか?」

「せっ〇クスだよ」

「私は痛覚がないのでよくわかりかねます」


痛覚?痛みがないのか?

「なんか、ごめんな」

「マスター、何故謝るのですか?」

「いや、なんかな」

女は首をかしげている。

「痛覚あるといいな」

「畏まりました」

女がそういうと、眉をひそめてお腹を押さえている。

「どうかしたか?痴女?」

「痛いです。マスター。これが痛みなんですね」

その痴女の言葉に、俺は顔を赤くして手で顔を隠す。

「なんか、すまん」

「いえ」

気まずい空気。

俺は慌てて台所に、飯を作りに行く。

「飯食うだろう?」

「マスターがいうのなら」

その女のよくわからん言葉に、俺はため息をついて即席めんを作り始めた。

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何でも願いをかなえる玉を手に入れたんだが、何を願おうか? 赤沼たぬき @duhiyutou

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