第466話「きっと上手く行く! 確かな手ごたえを感じる!」
ずっちゃ、ずっちゃ、ずっちゃ、ずっちゃ……
やがて……
囮となったアスプ20体に導かれ、巨大なドラゴンゾンビ1体が、
リオネルへ向かい、進んで来た。
補足しよう。
ドラゴンゾンビとは、ドラゴンスケルトン同様、竜……ドラゴンが
白骨化する以前の、腐敗した状態で不死化した竜のゾンビである。
自然に
死霊術師を始め、邪悪な術者が下僕として使役する為、禁呪により生み出す場合が多い。
飛行能力、火炎を始めとした
引き換えに、不死者特有の毒、瘴気をまとい、敵を害する事が可能となる。
だが……
リオネルは毒、瘴気を無効化してしまう。
こうなると巨竜の成れの果て、ドラゴンゾンビも、
単なる大型
特殊攻撃を無効化された、
単なる大型
しかし、数十体のドラゴンスケルトンを相手に、熟練度を増した
ここで、囮役となってドラゴンゾンビをおびき寄せたアスプ20体がさっと、左右に分かれた。
しかし、ドラゴンゾンビはそのまままっすぐに進んで来る。
巨大な魔力と生命エネルギーの塊であるリオネルを最高の『餌』として認識したのだ。
最初のドラゴンスケルトンを倒した時と変わらない。
リオネルは、体内魔力の圧力を上げると、腕組みをしたまま、
びししっ! 鋭い眼差しと合わせ、
襲って来るドラゴンゾンビを威圧の念で突き刺した。
瞬間!
先ほどまでと全く同じ光景が繰り返された。
リオネルが放った巨大且つ強力な、
威圧と破邪の魔力に包まれたドラゴンゾンビは、
ぱああああああああんんんんん!!!!!!!!!
と、破裂したような大音響で、あっさりと四散した。
四散した破片は、塵となり、どこへともなく消えて行く……
よし!
思った以上に、『
高レベルな敵への効果効能は気になるけど、慎重に行くのなら2段、3段構えの攻撃にすれば良いんだ。
この先、150階層以降、出現するかどうか分からないけど、
違う
もし遭遇しなければ、地上へ戻ってからのお楽しみ。
冒険者ギルドで、
さあて!
ケルベロス達はどうかな?
仲間達の気配は、はっきりとあり無事のようだ。
一方、ドラゴンゾンビ3体の気配は既になかった。
リオネルの鼻孔へ、焼け焦げた独特の臭いが漂って来る。
誰かが火属性の魔法を使ったか、炎を吐くかしたに違いない。
どうやら仲間達は、自分同様あっさりドラゴンゾンビを屠ったようだ。
軽く息を吐いたリオネルは、仲間達へ『集合』をかけたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
大きな岩と砂の原野に集まったリオネルとケルベロス以下の仲間達。
竜……白骨化したドラゴンの死骸に満ちあふれていた、大きな岩と砂の原野は、
ドラゴンスケルトンの大発生、討伐により、がらんというか、すっきりしてしまった。
『
今後、ここへ迷い込んだ冒険者が襲われる事を考えれば致し方ないと、
リオネルは思う。
ただ竜――ドラゴンの墓場を荒らしてしまったようで心苦しい。
だが……大きな問題が残っていた。
大きな岩と砂の原野に隣接した、穢された湿地帯から発するおぞましい瘴気である。
この瘴気を何とかしたい。
何とかしないと、自らの死を悟って、永遠の眠りについたはずの竜――ドラゴンが、
再び、
う~む。
解決するのに何か良い方法はないだろうか?
瘴気をもとから絶たなきゃダメ! って事だよなあ……考え込むリオネル。
そうだ!
あの方法を応用したらどうだろう!
リオネルは、思い出した。
記憶をたぐる。
俺は地の最上級精霊ティエラ様から、加護を授かったはず。
確か、邪な穢れを払い、植物を元気に繁茂させる為に、大地を活性化する力だ。
親友ジェローム・アルナルディとカントルーブ男爵家令嬢エリーゼが結ばれた地、
レサン村……
復興作業中のレサン村果樹園において、ティエラ様が行使され、大いなる活力を与えられたっけ。
リオネルの記憶の中にティエラの凛々しい姿が甦る。
『地の管轄者ティエラが大いなる加護を与えよう! 汝らに、
汝らに、
ティエラ様がそうおっしゃった瞬間!!
果樹園全体が眩い白光に包まれたんだ……
うん!
トライアルアンドエラー!
チャレンジしてみよう!
リオネルは頷くと、仲間達とともに、転移魔法で湿地帯へ跳んだ。
一瞬で、目の前の景色が、変わった。
リオネルと仲間達の前には、どす黒く濁り、ぶくぶく泡立つ湿地帯が広がっていた。
悪臭とともに、強烈な瘴気も相変わらず発せられている。
湿地帯は、自然サイクルの一端を担う大切な地である。
リオネルは魔法学校でそう習っていた。
「今、本来の姿へ戻してやるからな」
リオネルはつぶやくと、呼吸法で体内魔力を上げてゆく……
そして心で強く念じる。
きっと上手く行く!
確かな手ごたえを感じる!
『地の管轄者ティエラ様の名のもとに!
その瞬間!
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱっっっっっっっっ!!!!!
リオネルの言霊に応えるよう、湿地帯全体が、まばゆい白光に包まれたのである。
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