第428話「ここでまた、かつて師モーリスが使った直伝の『秘技』がさく裂する」

アスプをつがい5組、計10体テイムしたリオネル。

更に地下61階層を進む。


アスプ達は同胞が増え、嬉しいらしい。

喜びの波動が伝わって来る。


張り切ったのか、更にアスプは、すぐに次の群れを発見。

リオネルへ知らせて来た。

ケルベロス、オルトロスの魔獣兄弟も連携し、アスプをリオネルの下へ追い込んだ。


現れたアスプはまたもつがい5組、計10体。


リオネルは、フリーズ、威圧、大地の束縛を行使。

身体機能を奪い、師モーリス直伝の言霊で、テイムする。


そんな事が、更に4度ほど続き……

結局、リオネルは計50体のアスプをゲット。

56体の軍団を作り上げた。


まずは立てた課題をひとつクリアした。

上々の立ち上がりだろう。


後は、

魔法、剣、格闘の熟練度を増す為に、戦闘経験を重ねるだけだ。


リオネルは更に61階層を進む。


次に現れたのは、リザードマンの群れである。


ケルベロス、オルトロスから報告を受け、自身も存在を捕捉。


数は10体だ。


補足しよう。

リザードマンは、トカゲに似た姿を持つ人型魔物ヒューマノイド


表皮は弾力のある皮、またはうろこにおおわれている。

それゆえ、武器が通りにくい、頑強な身体だといえよう

種族によっては、簡易な武器を扱い、防具を身に着ける場合もある。


フォルミーカ迷宮のこの階層に現れるリザードマンは、武器を持たないが、

動きをそこそこ素早く、鋭い爪を武器とした格闘戦が得意である。

また睡眠誘因、石化は使わないが、アスプ以上の強烈な毒を吐く。


上級冒険者でも、難儀する強敵だ。


しかし、リオネルにとってどうという事はない敵である。


毒は無効化するし、パワー、俊敏さでもリオネルの方が、遥かに上だから。

更にケルベロス、オルトロスに加勢して貰えば、完全に瞬殺レベル。


しかし、リオネルは念話で指示を入れ、魔獣兄弟を下がらせた。


単身で戦うつもりなのだ。


1対10。


数で遥かに勝るリザードマンは、一見脆弱な、

人間族の魔法使いのリオネルを完全に舐め、無造作に近づいて来た。


対して、リオネルもゆっくりと近づいて行く。


双方の距離が縮まり……わずか5m、そしてたった3mになった。


と、この時。


リザードマンは、全ての個体が「かあっ」と大きく口を開け、

ぶははっ!と、霧状の猛毒を吐いた。


通常ならば、相手は毒にやられ、へなへなと崩れ落ちる。


そこへ「わっ!」と一斉にとびかかり、動けなくなった相手をむさぼり食う。

というのが、リザードマンの捕食パターンだ。


しかし!


リオネルは倒れず立ったまま。

柔らかく微笑んだ。

余裕しゃくしゃくである。


究極の防御魔法、破邪霊鎧による『毒の無効化』が威力を発揮していた。


瞬間!


リオネルは弾丸のように動いている。


猛ダッシュし、リザードマンどもへ肉薄!


どが! がん! ごぎ! どご! ばごお!

どが! がん! ごぎ! どご! ばごお!


破邪聖煌拳の拳に魔力を付呪エンチャントして、『貫通撃』を急所へ放ち、

リザードマン10体をそれぞれ拳一発で、あっという間に絶命させていた。


そして、倒れ伏すリザードマン10体を、瞬時に火属性魔法『火炎』で焼き尽くしていたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


リザードマン10体を屠ったリオネル。

61階層の探索を終え、62階層へ。


更に探索を続ける。


次に出現したのは、視線による石化攻撃も使う毒蛇の王バジリスク10体である。


リオネルはまたも、ケルベロス、オルトロスを下がらせると、無防備に近づいていく。


バジリスクどもはリオネルを威嚇すると、先ほどのリザードマン同様、猛毒を吐いた。


常人ならば、この猛毒で、即座に身体機能が失われ、死へ至る。


だがリオネルは敢えてバジリスクの毒息攻撃を受ける。


全く効かない。


バジリスクどもは冷たい死の視線を向けて来る。

視線に捉えられれば身体が硬直し、石化する怖ろしい眼差しだ。


やはり全く効かない。


毒も石化攻撃も……全然効果がない。


無事に毒、石化無効化の確認という課題もクリアした。


次はリオネルの番。


さあ!

反撃だ!


ここでまた、かつて師モーリスが使った直伝の『秘技』がさく裂する。


「コケコッコー!!!」

「コケコッコー!!!」

「コケコッコー!!!」


「キッキッキーッ」

「キッキッキーッ」

「キッキッキーッ」


バジリスクを怯えさせ、行動不能にしてしまう、

『ニワトリ』と『いたち』の鳴き声の物真似だ。


リオネルは、いずれ必ず役に立つと、まめに練習をしていたのだ。


ふたつの必殺技が放たれ、バジリスクどもは、完全に固まり動けなくなった。


『よし! とどめだ!』


今回リオネルは、火属性魔法『火壁』を行使した。

先ほどの火炎同様、『火壁』の規模、威力も著しくパワーアップしていた。


動けなくなったバジリスクの周囲を、

迷宮通路の天井まで吹き上げる凄まじい猛炎が取り囲み……

彼らをあっという間に、焼き尽くしてしまったのである。

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