外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!
第402話「ぶうぶう! おいら、仕えるご主人様を誤ったかなあ」
第402話「ぶうぶう! おいら、仕えるご主人様を誤ったかなあ」
『もう! リオネル様って、人生の無駄遣いばっかしてる!』
『まあまあ……』
と、「ぷんぷん」するジャンをなだめながら、
リオネルは薄暗い店内へ入って行った。
外から見た通り、店内は薄暗い。
真っ暗ではないが、淡すぎると言って過言ではない魔導灯が数個、
まるで不気味な迷宮の一画のように狭い店内を照らしていた。
予想通りというのか、「いらっしゃいませ」の声などかからない。
そして、ジャンの予想通り、奥のカウンターには、
70歳は楽に越えているだろう、古めかしい灰色の
いかにも偏屈そうな老齢の店主が、たったひとり店番をしていた。
中背で痩身。
短い銀髪に淡い碧眼。
鷲鼻で、唇は小さい。
しわが多いが、彫りの深い顔立ちだ。
椅子に座った店主は、腕組みをし、目を閉じていた。
しかし、放つ気配から、眠ってはいない事が分かる。
そんな店主を見て、ジャンが叫ぶ。
当然、心と心の会話、念話である。
『あっちゃあ~! じじいがたったひとりだし、お客さんも居やしない! やっぱ、おいらの予想通りじゃないか!』
『だな!』
『もう! だな! じゃないよ! リオネル様!』
『あはは、ジャン。興奮しすぎてぴかぴか発光するなよ。お前の存在がバレるからな』
『分かってるよ! もう!』
ぷりぷりしっぱなしのジャンをスルーし、リオネルは店主の居るカウンターへ。
そしてカウンターの前で一礼し、あいさつする。
「こんにちは! いや、まだおはようございますですね、店主さん」
すると店主がぴくりと動き、ゆっくりと半目を開け、ふうと大きく息を吐く。
「おい……何だ? 脅かすなよ。とんでもない魔法使いが来たと思ったら、まだほんの若造じゃねえか」
店主の言葉を聞き、苦笑するリオネル。
しかし、店の奥に居ながらも、リオネルの放つ魔力を感じ、指摘したのだろうか。
この店主は『ただもの』ではないと思う。
「はい、店主さん。まだほんの若造というか、全然小僧です、俺」
「ふん! 柄にもなくへりくだりやがって! 俺が生まれてから75年、お前みたいな凄い魔力を放つ魔法使いはよ、会うのは勿論、聞いた事もねえぞ」
「あはは、買いかぶりすぎですよ。ところで、売り物の商品を見せて頂いて宜しいですか?」
リオネルが丁寧に頼むと、店主は少し驚く。
「ほうお! お前ほどの魔法使いが、やけに丁寧じゃねえか。普通は威張りまくって上から目線で、おいこら、じじい! とか言うはずだ」
「いえいえ、言いませんよ、そんな事」
「ふん、勝手に見ろ。買いたかったら買え」
吐き捨てるように言う店主。
商売っ気ゼロである。
苦笑するリオネル。
「あの……」
「何だ?」
「表の但し書きを見まして、こちらでは呪われた商品も買い取りされてるって事ですが、解呪前の在庫があったら、それも見せて頂きたいのですが」
「な、何!? 呪われた商品、解呪前の在庫だとお!!」
「はい、俺、かけられた呪いを除去する、解呪の魔法を試してみたいので」
「な、何ぃ!? 解呪を試してみるだとお!!」
「はい!」
驚く店主の顔を見て、リオネルは相変わらず微笑んでいたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
店主によると……
呪われた商品は、奥の特別室へ収納してあるという。
「まず、店内の商品を見てみやがれ。呪われた商品を見せるのはそれからだ」
と言われ、リオネルは先に店内の商品を見てみる事にした。
という事で、ジャンを肩に乗せたまま、
『魔道具店 クピディタース』の店内を歩くリオネルだが……
様々な商品が無造作に並べられた店内は、フォルミーカの地下街同様、
カオス……混沌と言って良かった。
不思議なのは、ひとつの商品の値段が均一である事。
例えば……
魔法杖ならば、大中小のサイズ、仕様、装飾がバラバラでも、全て価格は金貨5枚。
商品によってピンキリという価格差をつけるのが普通なのにやらないのだ。
ジャンを連れたリオネルは、面白そうに見て回ると……
数多ある魔法杖の中で、ひとつだけ取った。
長さは50cmほどの、古ぼけた節目だらけの木製の杖で、
渋いが、かっこいい杖とはいえない。
案の定、ジャンが不満そうな声をあげる。
『リオネル様あ! 値段が一緒ならさあ、もっと若者向きのかっこいい杖を選ぼうよお!』
『いや、この杖が、この店で一番いい杖さ』
きっぱり言い切るリオネル。
『ぶうぶう! おいら、仕えるご主人様を誤ったかなあ』
『あはは、そう言うな』
他にも心を動かされる商品はあったが……
リオネルは、仕舞われているという『呪われた商品』の方が気になる。
という事で、杖を抱えたリオネルは、店主の居るカウンターへ。
「じゃあ、店主さん、これください」
「む、むむ! こいつを選んだか!」
目を見開き驚く店主。
そんな店主に対し、
「でも、この杖、本当に金貨5枚で良いんですか?」
リオネルは微笑み、尋ねたのである。
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