第306話「お前に贈りたいんだ!」
スキル『貫通撃!!』の魔力も込められた燃え盛る火球は、
リオネルの手からびしっ!と、放たれ、
どごおおおおおおお!!!!
どばんんんんんんん!!!!
凄まじい異音をたて、オークキング、オークジェネラルのどてっぱらを、
見事にぶち抜いていた。
と同時に!
ごおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっ!!!!!!
オークキング、オークジェネラルの体内へ入り込んだ、
紅蓮の魔法炎が音を立てて燃え盛り、
あっという間に、2体は燃える火柱となる。
リオネルを、ジェロームを捕食してやる!と威嚇していた2体の命も、
即座に失われてしまった。
よしっ!
内なる声よっ!
お前が出した『条件』はクリアしたぞおっ!!
そんなリオネルの心の叫びに応えるように、
チャララララ、パッパー!!!
リオネルの心の中で、あの独特のランクアップファンファーレが鳴り響き、
内なる声が淡々と告げて来る。
リオネル・ロートレックは、レベル23に到達しました。
チートスキル『エヴォリューシオ』の効果により、
身体能力、五感が全般的に大幅アップしました。
体内魔力が大幅に増量しました。
魔力回復力が大幅にアップしました。
魔法攻撃力が大幅にアップしました。
魔法防御力が大幅にアップしました。
オーク上位種、オークキングとオークジェネラルを倒しました。
チートスキル『エヴォリューシオ』の効果により、
ギフトスキル『オークハンター』の称号を得ました。
オークへの物理及び魔法の攻撃力が50%アップします。
オークからの物理攻撃が無効化します。
「よし! やった!」
リオネルは、思わず肉声で叫んだ。
これでオークどもは、俺には無力だ!!
単なる壁、障害物に過ぎない!!
邪魔だったら、ただただ排除すれば良い!!
俺はまた、立てた課題をクリアしたんだ!!
拳を固く握り、歓喜に打ち震える、リオネルであったが……
「お、おい!! リオネル!! どういう事なんだよっ!! 説明してくれよっ!!」
ジェロームの大きな声を聞き、ふっと柔らかく微笑んだ。
「ああ、ジェロームへ伝えた通りさ。オークキングどもを倒す為、お前に秘していた能力を使った。俺は風属性以外の魔法も使える」
「え、ええええっ!!?? 風以外も使えるって!! じゃ、じゃあ!!」
「……ジェローム」
「な、何だ?」
「俺はその事実を限られた人にしか明かしていない。ローランド様も、ブレーズ様もゴーチェ様も知らない事なんだ」
「ええ!!?? そ、そうなのか!!」
「この事実は、まだしばらく伏せておきたい。伝えた人には厳秘とお願いし、守って貰っている」
「な、成る程」
「ジェローム、お前を信じたからこそ明かした。絶対に口外しないでくれ。頼むぞ」
淡々と語るリオネルだが、視線は鋭く、表情は真剣だ。
「わ、分かった! 約束する! 誰にも言わない!」
ジェロームは大きな声で叫ぶと、「ふうう」と、大きく息を吐いたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
約束をしたジェロームを見て、リオネルは微笑む。
「ジェローム。首魁のオークキング、オークジェネラルを倒したから、おかげさまで、俺のレベルも23へ上がり、パラメータもいろいろアップしたよ」
ギフトスキル『オークハンター』も獲得したが……
そこまで言う必要はない。
一歩間違えば、自慢となってしまう。
嬉しそうなリオネルを見て、ジェロームは。
「あ、ああ。良かったな、リオネル……だけど」
「だけど?」
「お前は、こんなにも超人的に強いのに、俺よりも5つもレベルが下なんて、違和感しかね~よ」
「あはは、そう言われてもなあ。俺のレベルアップは他の人に比べて遅いみたいなんだ」
「だろうなあ」
他愛のない会話だが、リオネルもジェロームもかけあいを楽しんでいる。
年齢がタメだから、尚更である。
「まあ、良いや。これで、依頼も完遂したし。後は砦内を探索してから撤収だ。まずは目の前の司令官室を探索してみようぜ、ジェローム」
「お! いよいよ探索か? 待ってたぜ!」
「ああ、砦内の敵は全て掃討した。探索しながら、お宝を見つけたら良く調べた上で、必要があればゲット。後は敵の死骸があったら、
「おお、そうか! そうだな! オークが
「その通りだ。但し、後で村長に討伐確認をして貰う際の死骸を、見える場所には10体ほど残しておこう」
「了解だ! ……そういや、前に話した時、言ってたけど、リオネル、お前
「ああ、各所でいろいろな奴と戦ったな」
「そうか! で、無事って事は、今のオークキングみたいに倒したって事だ! ……お前って、本当に頼もしいよ!」
「そうか、それよりも探索しよう、司令室」
「お、おお、行くか!」
という事で……
リオネルとジェロームは、オークキングが居た司令室を探索。
調べた結果……
大きな宝箱を発見した。
単純な罠が仕込まれ、施錠されていたが……
リオネルは、シーフとしても上級レベルに達しており、スキル各種を習得していた。
それゆえ、リオネルはあまり苦労せず、罠を解除し、開錠。
あっさり、宝箱を開けた。
……開いた宝箱の中には、無価値なガラクタとともに、
銅製の地味な指輪が入っていた。
「え~、その銅指輪だけかあ。オークキングにしてはしけてるなあ」
指輪を見たジェロームは、がっかりした。
レベル50オーバーのオークキングが秘蔵していたわりには、
つまらない品物だと感じたからだ。
だが、丹念に指輪を調べたリオネルの表情はみるみるうちに明るくなった。
「おい! ジェローム! これ! 結構なお宝だぞ!」
「へ?」
「まず! この指輪は呪われてはいない、健全なものだ……そして装着すると、
「え、ええ~っ!! き、金貨800枚!!?? す、す、すげぇぇぇ!!!」
地味な銅製の指輪が金貨800枚!!??
ジェロームの驚きは半端ではない。
リオネルは更に言う。
「ああ、凄いよ! そして今回の依頼の規定で、俺達はこの指輪をゲット出来る! お宝がもっと出れば更に儲かるし、あれだけオークを倒したからギルドが支払う討伐褒賞金も期待出来る!」
「おおお!! リオネル!! 冒険者って、儲かるな! 本当にすっげぇな!!」
「ああ! ジェローム! でもこの指輪や報奨金は、俺達が命を懸けて、戦った代償さ!」
「うんうん!!」
「で、このオークキングの指輪だが……ジェローム、お前に受け取って欲しい」
「え~!!?? い、いきなり!! な、な、何言ってるんだ!? リオネル!! オークキングはお前が倒したんだろ!! 俺が受け取る理由はないよ!!」
「いや! 俺が無理言って、このオーク討伐依頼に引き込んだ。でも! ジェロームは見事、期待に応えた。俺と組んでのデビュー戦でもあるし、お前に贈りたいんだ!」
驚き戸惑うジェロームに対し、リオネルはきっぱりと言い切ったのである。
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