外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!
第301話「ジェロームには申し訳ないが……俺には、隠している能力や奥義が数多ある」
第301話「ジェロームには申し訳ないが……俺には、隠している能力や奥義が数多ある」
魔獣アスプ6体が勢子役を務め、各建物内に潜んでいたオークの上位種を、
次々に追い出した。
追い出したオークの上位種の攻撃役を任されたのはジェロームである。
盾役のゴーレムが、オークどもの攻撃を防ぎ、ケルベロスが炎で威嚇。
リオネルがオークの動きを、特異スキル『フリーズハイ』レベル補正プラス40、
または万能スキル『威圧』レベル補正プラス25で動きを封じる。
こうしたリオネル達のフォローもあり、
ジェロームは20体以上のオーク上位種を倒す事が出来たのである。
結果……
砦構内の激戦は、とりあえず落ち着いた。
一方的に優位となる、大きな援護を貰ったとはいえ、ジェロームは大奮戦。
さすがに一回の戦いで、20体のオーク上位種を倒すのは容易ではない。
オークの血がたっぷりとついた剣は切れ味が大幅に低下、
リオネルから貰った魔法杖の風弾は撃ち尽くしていた。
「はあはあ、ふうふう……」
結構な疲れから肩で息をするジェローム。
「お疲れさん、ジェローム、良くやったな」
リオネルが労わると、ジェロームは興奮冷めやらぬという感じで叫ぶ。
「あ、ああ! リオネル! や、や、やっってやったぜ! 俺は20体もオークの上位種を倒したんだ!」
「大したもんだよ。ほいっと全快!」
またまた!
疲れ気味だったジェロームに生気がみなぎって来る。
「お、おおお! 元気もりもりだあ!」
「回復したか? ジェローム」
「ははははは、リオネル! ほんとやばいな! お前の回復魔法! お前がもしも領主になったら、こうやって領民を、ひどくこきつかうんじゃね?」
ジェロームの軽口にリオネルは苦笑。
「バカヤロ。人聞きの悪い事言うんじゃない。せっかく高位回復魔法をかけてやったのに」
「ははははは! 悪い! 冗談だって! ……それよりリオネル! 今、内なる声が教えてくれた! 俺、この戦いでレベルが上がった! パラメータもいろいろ上がったぞ!」
「おお! そうか! 良かったなあ!」
「ああ、リオネル! フォローしてくれたお前と配下達のおかげだ。本当にありがとう」
礼を言うジェロームに同意したリオネルは、砦の本館を意味ありげに見つめる。
「うん! 残るは、
リオネルの言葉を聞き、ジェロームは驚き、目をまん丸に。
「はあ!? しゅ、
「ああ、居る! 砦にでっかい気配を感じたから、もしやと思ったが……接近して、はっきり分かった。この砦の本館、最奥にオークキングが居るよ」
「おおお、オークキングぅぅぅ!!??」
オーク上位種の死骸が散らばる砦の構内に、ジェロームの驚愕する声が、
大きく響いていたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
リオネルがしれっと告げた衝撃の言葉……
今回討伐に赴いたオーク500体の首魁は、オークの王と呼ばれる、
オークの最強上位種オークキングであった。
上位種がここまで大量に居るという話さえ、冒険者ギルド総本部から、
村長からも一切なく、話が違うぞと思っていた矢先だったから……
ジェロームのショックは大きかった。
何度か深呼吸し、ようやく落ち着いたジェローム。
「おい、リオネル」
「おう」
「おいおいおい! おう、じゃないぜ。オークキングといったら、レベルは確実に50オーバー、下手すりゃ60は行く桁違いの上位種だ。俺が倒したオークカーネルなんて、レベル35か、そこらの小物レベルだ」
「ああ、そうだな」
「ああ、そうだなって……リオネル、お前全然動じないなあ……」
「ああ、魔力感知で大物が居ると思って覚悟していたし、想定内だから、そんなにショックはないよ」
「でもさ! 何でそれを俺に言ってくれなかったんだ!」
「ああ、ごめん。お前が動揺して、戦意が失せると思ったからな。討伐自体をやめるとか言い出しかねないからさ」
「当り前だ! さっき上がったと言ったが、俺はレベルアップしても、ようやく『28』なんだぞ! レベルが倍近いオークキングなんかと戦うのは無謀以外のなのものでもない!」
ジェロームが吐き捨てるように言えば、リオネルは微笑む
「なあ、ジェローム」
「お、おう!」
「お前に言っていなかったが……俺はまだレベルが22だよ」
とんでもない事を、しれっと言うリオネルに、ジェロームは驚く。
「は!? リオネル、お前今なんと言った?」
「俺はまだレベルが22だ、と言った」
「な、何だってぇぇぇ!!!??? お、俺より6も低いレベルなのかあ!!?? う、う、嘘だろ!!??」
驚愕するジェロームに対し、リオネルはひどく真面目な顔つきで言う。
「嘘じゃない。俺は現在レベル22……もう少しでレベルアップしそうな予感はあるけどな」
「おいおいおい!! リオネル!! それじゃあ、配下もこんなに連れてるお前の強さが説明つかないだろ!!」
「ああ、ジェロームに話していない俺の能力や奥義はいくつかある」
「俺に話していないリオネルの能力や奥義が!!?? そ、そ、そうなのか?」
「ああ、その能力や奥義で、レベルが低い俺は今まで戦い、生き抜いて来た」
「むむむ……」
「ジェローム、お前も知っているはずだぞ。武人、術者は必殺の奥義を秘して、簡単には披露しないってな」
「た、確かにそうだが……」
「ジェロームには申し訳ないが……俺には、隠している能力や奥義が数多ある」
「………………………………」
「これまでの経験上、厳秘を徹底している。ブレーズ様やゴーチェ様、別れた師匠にも、そう言われ、能力や奥義を秘する事を認めて貰った」
「え!!?? ブレーズ様やゴーチェ様に?? 認めて貰った??」
「ああ、だがオークキングと戦うにあたり、俺はいくつか能力と奥義を使う」
「オークキングと戦うにあたり、リオネルが能力と奥義を……使うのか!」
「ああ、ジェローム。友であり弟子でもあるお前には、しっかりと見て欲しいのさ」
リオネルはきっぱりそう言うと、柔らかく微笑んだのである。
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