第300話「今まで味わった事がない、熱い高揚感に満ち満ちていた」

※第300話到達です!

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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


オークの群れ100体へ突っ込んだリオネルは、剣、シールドバッシュ、格闘、

そして魔法を駆使。


何と何と! わずか10分余りで、100体全てを倒していた。


リオネルの少し前に出撃したケルベロスとアスプも、

『受け持ったオーク』を全て倒し、

リオネルの指示を受け、中団のゴーレム5体と合流している。


しかしまだ砦内のオークは全滅したわけではなく、

ケルベロス達はそのまま出撃出来るようスタンバイしていた。


そして……

砦内から出張って来たオークを、全て掃討したリオネルは、

ばつが悪そうに、頭をかきながら戻って来る。


「申し訳ない! 完全に俺のミスだ。ジェロームの分もつい全部倒しちゃったよ」


しかしジェロームは苦笑するだけ。


リオネルの凄まじい戦闘能力を再び目の当たりにしたからだ。


「はあ……いいよ、リオネル。いつもの事ながら、お前の超が付く人外ぶりには驚き過ぎて、言葉も出て来ないぜ」


「あはは、ごめん。でも魔獣チーム、ゴーレムチームも頑張ったから、砦に居たオーク500体の7割以上は討伐したぞ。魔力感知でも生存数を確認したから間違いない」


「おお! 500体のうち、350体以上を倒したか! ……ああ、良い感じだな! リオネル!」


「ああ、ジェローム! 作戦を次の段階へ進めるぞ。まずは左右の出入り口前に陣取る各ゴーレム5体に命じ、彼らの身体で出入り口をふさぐ」


「おう!」


「ゴーレム達が左右の出入り口をふさいだら、魔獣アスプを出撃させる。ゴーレムの囲みを突破し、逃げた奴が50体ほど砦の周囲に居る! 増援2体を出し計6体のアスプで砦外へ出たオークどもを全て倒す」


「おお! アスプを使い、砦の外へ出たオークどもを全て倒すわけだな!」


「ああ、そうだよ、ジェローム。アスプ6体がオークを倒している間に、魔導発煙筒の白煙が消える。完全に消えたら、俺達の出番だ。ケルとゴーレムを率いて進軍する」


「了解! リオネル、俺達は唯一解放している正面の正門から突入。ゴーレムの身体で正門をふさぎ、残っているオークを討伐しながら、砦内をくまなく探索するという事だな」


「ああ、そうだ」


作戦は順調に進んでいる。


リオネルは言葉通り、予備隊のアスプ2体も放ち、

計6体のアスプを使い、砦外に出たであろうオークを掃討させる。


飛ぶように高速で走る6体のアスプは、

逃げたオークを全て捕らえ、倒してくれるはずだ。


リオネルはジェロームとともに、そのまま待った。


アスプ達は期待に対して、大いに応え……


やがて周囲5km以内に逃げていたオークを全て捕らえ討伐したと、

声なき意思で、念話と同じく、リオネルの心へ伝えて来た。


リオネルはアスプ達をねぎらい、急ぎ呼び戻した。

彼らが「最終決戦に参加したい」と意思を伝えて来たからである。


しばらくするとアスプ6体は戻って来た。


既に魔導発煙筒の煙も消えている。


メンツが全て揃い、これで最終作戦の発動準備が整った。


「よし、依頼を完遂させる! 出撃だ!」


リオネルの号令で、ジェローム、ケルベロス、アスプ6体、ゴーレム10体は、

進軍を開始したのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


正門から、リオネル、ジェローム、ケルベロス、アスプ6体、ゴーレム5体が砦内へ入ると、ゴーレム5体が身体で正門をふさいだ。


これで砦内に残ったオークどもは外には出られない。

地下通路がない事を、リオネルは確認済みだ。


建物外、砦の構内にはオークどもは見当たらない。

居住区に、建築物の奥に潜んでいる。


リオネルの索敵、魔力感知はその全てを捉えていた。


つい心がはやって、建物内へ突撃を希望するジェロームを抑え……

リオネルはアスプに『勢子』を命じ、建物へ突入させ、構内に追い出させた。


アスプに追い出され、出て来たオークは全て上位種である。

先ほどジェロームが戦ったオークオフィサーが多い。

時たま強敵のオークカーネルが現れる。


ここではジェロームを攻撃役として中心に戦い、

リオネル、ケルベロス、ゴーレム5体がフォローする。


盾役のゴーレムが、オークどもの攻撃を防ぎ、ケルベロスが炎で威嚇。


リオネルがオークの動きを、特異スキル『フリーズハイ』レベル補正プラス40、

または万能スキル『威圧』レベル補正プラス25で動きを封じる。


ジェロームはリオネルが敵を動けなくしたり、

ケルベロスが猛炎を吐くのを見て驚いたのだが、

戦うごとに、自身の表情も少し曇った。


いくら強敵とはいえ、動けなくなれば、ひたすら攻撃を受けるだけ。


動けない敵へ一方的に攻撃をしかける事に、

騎士の心を捨てきれないジェロームは相当抵抗があったようなのだ。


しかしリオネル達が、自分の為に一生懸命におぜん立てしている事を分かって、

割り切り……

出現するオークどもを、ジェロームは次々と倒して行った。


一方、そんなジェロームの思いを理解し、リオネルもフォローを徐々に弱めて行く。


この戦いは金を稼ぐとともに、ジェロームの心身を鍛える修行の意味もある。


スキルの効果を弱めにし、動きをやや鈍らせるくらいにしたり、

単体の時は、そのまま戦わせたりもしたのだ。


夢中になって、オークと戦い倒すジェロームの心身は、

今まで味わった事がない、熱い高揚感に満ち満ちていたのである。

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