第217話「大丈夫です」
ブレーズは、
「宜しい! 私もミリアン君、カミーユ君の育成に大いに協力しましょう!」
と、しっかりと約束してくれた。
ここでリオネルは更に、
「ブレーズ様、剣技だけでなく、水属性魔法のお手本もお願い出来ればと」
頼んでみた。
ブレーズは水属性の、つまり水の魔法使いだ。
同じ属性魔法を使うミリアンにとって、良き師となるのは間違いない。
対してブレーズは、
「ふむ、確かミリアン君は、水属性の魔法使いでしたね。構わないですよ」
と快諾してくれた。
「わあ! 嬉しい! ありがとうございます! ブレーズ様」
と、素直に喜ぶミリアン。
当然カミーユが対抗心を燃やし「俺にも」と、リオネルへアイコンタクト。
リオネルは「分かってるよ」という意思を込め、カミーユへ頷き、にっこり笑った後……再度ブレーズへ向き直る。
「ブレーズ様、度々で恐縮ですが、カミーユにも、剣士の体さばきの手本をお願いします」
と言えば、
「ええ、構わないですよ」
と、ブレーズはこれまた快諾。
更に、悪戯っぽく笑う。
「ふふふ、と言って、実はリオネル君も一緒に、体さばきを学ぶつもりですね」
「あはは。分かりますか?」
実は、カミーユと一緒に体さばきだけでなく、
ミリアンと一緒に水属性魔法も学びたい。
そんな願望もリオネルにはあった。
「ええ、分かります。ではこうしましょう」
「こうする……ですか?」
「はい、ゴーチェの報告だと、リオネル君は新たなスキルや技法をどんどん習得しているそうですね」
「いや、さすがに、どんどん、までは行きません。ぼちぼち、ですね」
と、ここでゴーチェが横やり。
「おいおいおいっ! それはねぇぜ! リオネル君! 全然ぼちぼちじゃねぇぞ! どんどん以上! ガンガン習得だろが!」
身を乗り出して抗議するゴーチェを、ブレーズが「すっ」と手で制し、
「こらこら、ゴーチェ。まあ、良いじゃないですか。個人によって価値観、尺度は様々ですからね」
ブレーズになだめられ、ゴーチェは謝る。
「う、ま、まあそうですね。すまん、リオネル君」
「いえ、こちらこそ。ゴーチェ様のご気分を害し、申し訳ありません」
リオネルの謝罪を聞き、ブレーズは笑顔で、
「うむ、ゴーチェよ、リオネル君が目指す高みはね、私達の想像より遥かに高いのでしょう」
「は、はい! ブレーズ様、肝に銘じます」
ブレーズはニッと意味ありげに笑い、
「では話を戻しますが……交換条件という事で」
と前置き。
「交換条件?」
「はい、私はリオネル君の前で奥義、もしくは奥義に準ずる技法を使います。代わりにリオネル君も習得した技法、もしくはスキルを使うという事でいかがでしょう?」
「……………」
しばらく考えたリオネルであったが、
「……分かりました。ぜひお願いします」
とOKし、話はまとまった。
いろいろとお願いした事、そして今後の為に、ブレーズとゴーチェには、
「少しだけ情報公開をした方が得策だ」と、リオネルは考えたのである。
それ以上に、ブレーズの奥義を見たいという気持ちが強かった。
但し、チートスキル『エヴォリューシオ』『見よう見まね』の存在、
いくつかは絶対に伏せておくつもりである。
……その後いくつか事項を確認の後、
リオネル達は、楽しく美味しい時間を、全員で共有したのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
食事会が終わり、リオネル達は宿へ戻った。
ちなみに、明日の朝7時に、地下6階層への出入り口前で、
ブレーズ、ゴーチェとは待ち合わせの約束となっていた。
部屋で着替え、明日の用意をした後で、
リオネル達は改めて明日の打ち合わせを行う。
話題は当然ブレーズについてである。
例の奥義の応酬というか、『見せあいっこ』の話だ。
食事中、ブレーズまでが、例の見合い肖像画の件を「どの子が好みなのかい?」
と、さりげなく尋ねて来たりして、
『リオネルの囲い込み』が本気である事を感じさせた。
「大丈夫か、リオ君」
「ちょっと、心配、リオさん」
「リオさん、俺、結構心配っす」
と、モーリス、ミリアン、カミーユは気にするが……
リオネルは笑顔で、考えていたプランを話す。
「大丈夫です。明日は地下6階層をスルー後、7階層で、破邪魔法奥義『
「おお、そうか! 成る程! 今日でほぼ
「さっすが、リオさん! 明日は神々しい姿が見れるねえ♡」
「ブレーズ様とゴーチェ様、リオさんがまばゆく発光したら、大いにびっくりするっす!」
と、モーリス達3人は安堵。
更にリオネルは、念押しを忘れない。
「それ以外の奥義は、『基本的に使わない予定』です。特に俺が
「「「了解!」」」
その後、リオネル達は、出現する魔物オーガ、
また、依頼遂行の作業確認等々を話した後、就寝したのである。
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