第149話「最強賢者への第一歩」

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※今パートはストーリーを進行しながら……

これまでにリオネルが習得した魔法、スキル、能力等の、

整理、おさらいもしておきます。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


サブマスターのブレーズは秘書のクローディーヌへ命じ、リオネル達へ紹介する為に、今回同行する副官を呼んだ。


副官は『無骨』という文字を人間にしたような、身長2m近い筋骨隆々の『いかつい』男である。

金色の短髪で顔立ちは整っており、年齢は30歳過ぎくらい……だろうか。


きびきびとした動作で入室し、クローディーヌへ軽く一礼。

あるじブレーズへうやうやしく礼をした後……


軍人特有な動きで回れ右し、リオネル達へ向き直った。

重々しい声で、自己紹介する。


「俺は副官のゴーチエ・バラデュールだ。今回、ブレーズ様に同行する。宜しく頼む」


ブレーズもゴーチエの挨拶を受け、補足する。


「副官のゴーチエはシャリエ家でも抜きんでた騎士であり、現役のランカー冒険者でもあります」


対して、リオネル達も自己紹介した。


やはりというか、ゴーチエはリオネルへ注目した。

少しいぶかしげな目つきで見つめて来る。


「ふむ、君がリオネル・ロートレック君……王都の『荒くれぼっち』か……噂は聞いている。ゴブリンのみでなく、先日は不死者アンデッドどもを圧倒したとか……」


「はあ、何とか。俺が、というよりも全員の力で勝ちました」


「ふむ、全員の力か……謙遜だな。俺には分かるぞ。君からは凄まじい魔力を感じる」


「はあ……」


「君は一見して、普通の少年だが……ただものではないようだ」


値踏みするようにリオネルを見つめるゴーチエ。

「いかにも面白そうだ」と言わんばかりに、ニヤリとする。


対してリオネルもゴーチエをさりげなく観察した。

全身から放たれる闘気に近い魔力は凄まじい……

だが、魔法剣士のブレーズとは違い、魔法は行使出来ないらしい。


鍛え抜かれたごつい体躯。

それでいて、『敏捷さ』も兼ね備えていると感じる。

武技が相当な腕前だともリオネルは見た。


ゴーチエは副官としてブレーズを補佐するだけでなく、護衛役も務めているに違いない。

多分クランでは『盾役』なのだろう。


……まあ、良い。

ブレーズとゴーチエが『見届け人』として同行しても、自分のやるべき事は変わらない。


その後、先方の村へ出発するにあたり……

リオネル達の提案を反映した打ち合わせが為された。

手配はゴーチエとクローディーヌが行うようだ。


リオネル達はモーリスの馬車、ブレーズは配下の冒険者が御すシャリエ家専用の馬車で移動。

ゴーチエはブレーズの馬車の傍らにつき、護衛として騎馬で移動する事となった。


だが……これだけにはとどまらない。

今回は支援物資等いろいろと荷物があり……

別に資材運搬用の馬車を1台、その馬車に乗り込む作業担当の元農民冒険者3名が、参加する事も決まったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


数日後の朝8時……

用意が整い、リオネル達一行は出発した。


構成は馬車3台に騎馬2騎馬である。

ブレーズ専用の馬車、物資を運ぶ冒険者が乗り込む馬車、そしてモーリスの馬車である。


領主であり冒険者ギルドの総マスター、ローランド・コルドウェル伯爵の忠実な腹心たる王国貴族――騎士爵であるサブマスターのブレーズが同行する。

なので、ワレバッドの街の正門を防衛する門番達は最敬礼で送り出す。


お気付きだろうか?

打合せした事と『変更』があった。

リオネルは頼み込み、副官のゴーチエ同様、騎馬での移動を希望。

『索敵役』を買って出たのである。


対してブレーズの即決により、すぐリオネルの希望は叶った。


……という事でリオネルは現在一行の先頭に立ち、馬上の人だ。


この『索敵役』志願にはふたつの意味があった。

先頭に立って一行の安全確認、外敵の排除をするのは勿論だが……


すぐ背後を追走するモーリスの馬車で御者を務めるカミーユの良き見本となるべく、

クランの『シーフ』として、ふるまうのだ。


そんなリオネルの意図を察知。

カミーユは、周囲を警戒しながらも、食い入るようにリオネルの一挙手一投足を見つめていた。

そして自らも周囲に注意する気配が伝わって来ている。


リオネルが変わっていくように、カミーユも変わって行く。

ミリアンも当然そうだし、46歳のモーリスも以前よりも落ち着きと豪胆さが増した。


そう、リスタートするのはいつになっても遅くはない。

肝心なのは、自分がこころざしをもって変わろうとする気持ち。

そして怖くて逃げたとしても、最後には一歩だけでも踏み出す勇気が必要なのである。


さてさて!

先頭を往くリオネルの索敵能力は更にビルドアップ。

自分の周囲円形1km以内の気配と反応した対象の種別を認識可能となっていた。


また超レアチートスキル『見よう見まね』習得した数々ある動物の能力もリオネルの索敵を強力に後押しする。


さすがに『大鷲の視線』は本物には及ばない。

だが、遮蔽物さえなければ、約400m先まで見通し、対象をしっかりと捉える。


『狼』『犬』が持つけた外れの嗅覚は香り、臭いをかぎわけ、聴覚も人間の何倍もある。


現在は昼間だが、『猫』の夜目はわずかな照度さえあれば夜間も見通せるのだ。

そしてこれらの動物は、野生的な危機回避能力を有している。


だがもしも!

そういったチェック機能をすり抜け、敵が現れてもほぼ安心。

上位悪魔やドラゴンなど、とんでもない強敵ではない限り、殆ど追い払える上、

もしも襲って来たら、自由を奪い確保する事が可能だ。


リオネルはわずか『レベル16』だが……

特異スキル『フリーズハイ』レベル補正プラス40、

特異スキル『シャットダウン』レベル補正プラス40、

特異スキル『リブート』レベル補正プラス40、

特異スキル『フォースドターミネィション』レベル補正プラス40を習得し、

自分よりもはるかに格上の敵とも対等以上に渡り合えるからだ。

そして習得ほやほやの万能スキル『威圧』レベル補正プラス25もあるから尚更だ。


たとえ戦闘状態となっても、『風属性』の攻防魔法、我流の相手が剣筋を読めない剣技に……

師モーリス直伝の破邪聖煌拳はじゃせいこうけんを使いこなしながら、

ウサギ、リス、犬、猫、狼、猪、馬、大鷲、むささび等々、超が付くぐらい強化された頑健な身体、その身体から繰り出される人間離れした体術等々、戦うすべはいくらでもある。


心と心の会話、念話を習得。

読心――心を見通すサトリの能力も身につけたから、

相手の攻撃を事前に予測出来る。


念願ともいえる『召喚魔法上級』レベル補正プラス50を習得し、

冥界の魔獣ケルベロス《灰色狼バージョン》も召喚可能である。


そして回復魔法『治癒』『鎮静』『全快』を習得しているから、万が一負傷しても治療は勿論、メンタルケアもバッチリ!


葬送魔法『聖印』『昇天』も習得しているから、並みの不死者アンデッドも敵ではない。


また超レアなチートスキル『エヴォリューシオ』により、

これまた超レアなチートスキル『ボーダーレス』を習得。


既にほぼ完璧に使いこなす『風属性』以外……

『火属性』『地属性』の攻防と、秘する魔法もまだまだあるし、あとは『水属性』魔法を習得すれば……遂に遂に!

世界でも、たぐいまれと言える完璧な全属性魔法使用者オールラウンダーとなるのだ。


レベルが全く上がらずに「超劣等生だ!」と馬鹿にされていたリオネル。

以上の能力に数多の知識と経験も得て、自信もつけ……

今や確実に『最強賢者への第一歩』を歩み出している。


そんなリオネルが先頭に立ち、にらみを利かせたせいか、魔物も肉食獣も、そして人間の賊どもも気配を察し、遠巻きにするか、怖れて逃げ出していた。


こうして……ワレバッドの街を出発してから約3時間後、午前11時前。

リオネル達一行は、無事にくだんの村へ到着したのである。

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