第150話「俺も同行する」
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先のリオネル習得能力に引き続き、この第150話パートと、次の第151話パートでは、ストーリー進行をしながら『主な登場人物紹介』の前編を掲載します。
主な
☆リオネル・ロートレック《18歳》
ソヴァール王国名門魔法使いディドロ家三男。
本名リオネル・ディドロ
本作の主人公。
家族は父、兄がふたり。
魔法学校の学生だったが卒業、実家を追われ、やむを得なく冒険者となる。
ふたつ名は『荒くれぼっち』もしくは『疾風の弾丸』
元々3兄弟の中では魔力が高く、生まれた時は将来を嘱望されていたのだが、
生来の『勇気と覇気のなさ』から、レベルが全く上がらず『5』にとどまり、
レベル『20』から『15』の同級生たちからは超が付く劣等生と蔑まれていた。
魔法学校卒業後、スキル授与の日に『フリーズ』を授かったが、あまりにも使えないクソスキルだと、担当の司祭を始め、父、兄ふたりから、散々な罵倒を受け……
「修行へ行け!」という形で、姓ディドロを取り上げられ、
冒険者風の出で立ちを強制されて、
別人『リオネル・ロートレック』として、実家を追放された。
しかし、このままではいけない!と一念発起。
勇気を出して王都郊外の原野でコツコツとスライムを狩っていたある時、
とうとう大器晩成が覚醒!
超が付くチートスキルを習得。
これまでの己の情けなさに反省した反動で、一生懸命励んだ努力の甲斐もあり、
遂に!
『最強賢者』への道を歩み始める。
☆ジスラン・ディドロ《50歳》
リオネルの父。
王家に使える宮廷魔法使いでもあり、ディドロ家10代目の当主。
レベルは『70』
非情な性格で、ディドロの血筋を重んじ、有能な者だけを認める。
それゆえ魔法使いの才能が全くないと判断し、三男リオネルを激しく嫌い、修行と称し、追放した。
☆フェリクス・ソヴァール《40代?》
王族貴族公爵。国王の実弟であり、王国宰相。
腹心のジスランから、『リオネルの追放』を聞き、王国の人的損失を危惧する。
☆リオネルの母
故人。リオネルが幼い頃に亡くなっている。
3兄弟のうちで、一番リオネルに優しかった……とリオネル本人は思い込んでいる。
☆ケヴィン・ディドロ《25歳》
ディドロ家長兄。
魔法省勤務のエリート官僚。某貴族令嬢との縁談が進行中。
レベルは『50』
何かにつけてリオネルを罵る。
☆セルジュ・ディドロ《22歳》
ディドロ家次兄。
魔法大学卒、魔法省内定。
レベルは『40』
長兄のセルジュ同様、何かにつけてリオネルを罵る。
その「因果応報ざまあ!」で、片思いの麗しき美女、
大学時代の同級生マドンナ『オレリア』にきっぱりと振られた。
☆アンセルム《50代?》
リオネルが追放され宿泊した王都のまかない付き宿屋の主人。元冒険者。
故郷を飛び出した自分の過去にリオネルの境遇を重ね、冒険者と人生の心得を説き、
宿屋の業務、料理等々を教授。
『収納の腕輪』『回復の指輪』という、
素晴らしいふたつのスーパー魔道具を譲った。
失恋したリオネルを力強く励まし、宿を譲るとまで告げ、自分の息子のように可愛がる。
☆ナタリー・モニエ《25歳?》
金髪碧眼の美しい容姿をした冒険者ギルド王都支部の女子職員。
笑顔が素敵なリオネルの初恋の相手。
追放されたリオネルに亡き弟を重ね、丁寧に優しくサポートする。
王都を旅立つリオネルの為にギルド職員女子だけで、送別会を開いてくれた。
とりあえず前編はここまで。
王都出発以降は、次パートにて。
何卒宜しくお願い致します。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ローランドが治める小村に到着したリオネル達一行。
やはり5mほどの防護柵に囲まれ、頑丈な正門と門番が陣取る物見やぐらがお約束。
アルエット村、キャナール村と同じく、ソヴァール王国……否、この世界の典型的な農村である。
事前に魔法鳩便で、連絡していただけあって、村長と助役以下村民達が10人ほどで出迎えた。
村長がうやうやしく礼をする。
「ブレーズ様、良くぞ、我が村へいらっしゃいました。こちらの救援要請にお応え頂き、深く感謝申し上げます」
下馬した副官ゴーチエを傍らに従え、ブレーズはにこやかに言葉を戻す。
「村長、出迎えお疲れ様。申し訳ないが、私達の宿舎へ案内してくれるかね」
「はい! ただいま! こちらへおいでください」
今度はブレーズが先頭、ゴーチェが付き従い、リオネルは自分とゴーチェの馬をひいて行く。
その後を馬車3台が続く。
宿舎は空き家が3軒用意されていた。
ブレーズ、ゴーチェに各1軒。
リオネル達とブレーズの馬車の御者、冒険者の作業員達には少し大きめの1軒が割り当てられる。
騎馬の2頭、馬車をひいていた4頭はハーネスが外され、
計6頭が厩舎へ入れられ、馬車は駐車場に駐められる。
「俺達は、ぎゅうぎゅうっすね」
一軒に大人数で押し込められ……
不満そうなカミーユの脇腹を、「我慢しろ」というように「つんつん」と突き、
リオネルはモーリス、ミリアン、冒険者達とともに宿舎へ入った。
やがて、副官のゴーチェがリオネル達の宿舎へやって来る。
「全員聞いてくれ。ブレーズ様からのご指示だ。ワレバッドの街から数時間旅をして来たし、これから村長達と打ち合わせをしてから、輸送してきた救援資材を緊急のモノは村民へ配布、残りの物資は村の倉庫へ搬入したら、今日は終了との事だぞ」
ゴーチェは軽く息を吐き、話を続ける。
「倉庫への物資搬入が終わったら、ゆっくり休み、明日の朝から本格的に活動開始だ」
この現場では副官のゴーチェが、秘書クローディーヌが行う役割のひとつ、
ブレーズとの『連絡係』を担うらしい。
そして、この『お達し』はブレーズの心配りであろう。
「倉庫への物資搬入終了後、今日は体力を温存して、本格的に活動は明日から」というのは、リオネル達『部下』の『疲れ』を気にかけてくれているに違いない。
とてもありがたいとは思う。
だが、リオネルの『本音』としては……てきぱきと仕事を進めたい。
緊急物資の配布、残りの物資の倉庫搬入を終えたら……
ゴブリンの襲撃で荒らされた村外の農地へ防護壁を構築する下見、
そして同じく村外周辺の探索を初日の日が暮れる前に済ませておきたい。
しかし、表立って断れば角が立つ。
このような場合も想定して、リオネル達は4人全員で申し合わせをしておいた。
ここは、リオネルが告げる。
「了解です。ではご指示通り、物資の配布と倉庫搬入を完了したら、息抜きを兼ね、俺達4人で農地とその周辺をゆっくり『散歩』して来ます。ゴーチェ様、許可を頂けますか?」
「何? 息抜きを兼ね、農地とその周辺をゆっくり『散歩』だと?」
「はい、あくまでも『散歩』です。農地の場所は地図もありますし、先ほど村の方から教えて貰って確認したので分かります。少し歩いた方が準備運動代わりに身体がほぐれますしね。もしも他の皆さんが作業でお疲れならば、俺達4人だけで行って来ますから」
リオネルの物言いは、けしてブレーズの思いやりを潰すような、失礼なものではなかった。
「少し歩いた方が準備運動代わりに身体がほぐれる」というロジックも不自然ではない。
しかし、ゴーチェはさすがにブレーズから副官を命じられた人物。
リオネル達の『意図』に気付いたらしい。
「分かった、許可をしよう。その代わり……」
「その代わり?」
「俺も同行する」
「え? ゴーチェ様がご一緒に? でもサブマスター護衛のお役目は?」
「ああ、俺が出発後はブレーズ様の御者と部下の、都合2人に警護させる。残りのふたりは荷物番だ」
「良いんですか?」
「構わない。この村の中ならば危険はないと思う。俺がブレーズ様へ話し、同行の許可を取る」
「そうですか」
「ああ、後を託す御者も部下も歴戦の勇士だし、そもそもブレーズ様はとてもお強いから、本来、護衛など不要なのさ」
……という事で、ゴーチェはブレーズに許可を取り、護衛の代理を立てた。
そして全員で村長、助役と打ち合わせをし、緊急の救援物資配布と残りの物資の、
倉庫搬入を終わらせた上で、ゴーチェはリオネル達に同行する事となったのである。
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