第10話「人生の激変!! 逆襲のリスタートだ!!」
あまりにも状況が激変。
リオネルは大きく深呼吸して、頭を整理する事にした。
「ええっと、そもそも俺のスキルが特異スキルのフリーズだった。だから連発が効いたんだ。そして、習得したチートスキル『エヴォリューシオ』で、スキルのレベルアップが可能……その『エヴォリューシオ』で、特異スキル『フリーズ』が更に進化、特異スキル『フリーズハイ』を習得っと。そして、新たなチートスキル『見よう見まね』を……習得したと」
ぱぱぱぱぱと素早く、ここまで整理すると、リオネルは再び息を吐く。
「はあ~あ。スキルのレベルアップに複数所有って、絶対にないとか言っといて、全然ありじゃね~か! やっぱり、あの司祭、完全に大噓吐きだ! それに何だよ、見よう見まねって! どういう名前のスキルだ。超ダサいだろ?」
一瞬イラっとしたリオネルであったが……
バトルを再開すると、気分は「がらり」と変わり、凄く明るくなる。
「す、す、すっげぇぇぇぇ!!!」
リオネルが大声で叫ぶのも無理はない。
まず進化した特異スキル『フリーズハイ』を発動すると、文字通り『フリーズ』の上位スキル。
射程は100mから300m、拘束時間は3秒から一気に1分まで増えたのである。
その代わり、『フリーズハイ』の連射は3回までとなった。
連射後のリロードインターバル3秒もなくなり、1秒を切るくらい、殆ど間を置かず半永久行使が可能となる。
そして、新スキル『見よう見まね』は『フリーズハイ』以上に使えるスキルであった。
ウサギがジャンプし、走り去る様をリオネルが見届けると……
いきなり新スキル『見よう見まね』が発動したのだ。
チャララララ、パッパー!!!
リオネルの心の中で、独特のランクアップファンファーレが鳴り響き、
内なる声が告げて来る。
チートスキル『見よう見まね』が発動しました。
野ウサギの運動能力を見たので、50%真似られます。
習得しますか?
「え? ウ、ウサギの運動能力? な、何だ? か、か、身体が更に軽いっ! ど、どうしたんだ?」
この世界の野ウサギは、体長30㎝前後、体長の10倍超の前方ジャンプ力を誇る。
また垂直ジャンプ力は、同じく体長の2倍から3倍である。
リオネルは「はい」を選択してから、軽く走ってジャンプした。
ちなみに彼の身長は約175㎝である。
「ぶわっ!」という擬音がぴったりはまるが如く、リオネルの足は力強く大地を蹴り、跳んだ。
そして8m以上先に軽々と大地へ降り立った。
「うわ!? な、何だ、コレ!! え、えっと!! も、もしやっ!!」
思い立ったリオネルは、今度は垂直に跳んでみた。
軽く2mは飛び上がる。
ウサギの能力50%を人間のリオネルに当てはめると、確かにビルドアップしていた。
50%の真似……なので、そのままウサギの能力が発揮出来るわけではないらしい。
それに50%といっても習得した能力は、そのまま当てはまるわけでなく、計算は、だいぶアバウトなようである。
しかし、リオネルは大が付く満足であった。
とんでもなく身体能力がアップしたのだから。
否、満足どころではない。
リオネルは、ますます『やる気』となり、確かな手ごたえをつかんでいたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
レベルアップ、そして新たなチートスキルをふたつ習得。
そして、有する特異スキル『フリーズ』を成長、進化させ……
『フリーズハイ』もゲット!
夢中になって訓練する間に、夕方となり……
とんでもない『大収穫』に、意気揚々と草原から王都の宿へ帰って来たリオネル。
またも宿の主人アンセルムへ、獲物のウサギを、今度は30羽も渡した。
ちなみにウサギは、狩猟権を設定された鹿や猪と違う。
領主が、狩る事を制限してはいない。
『収納の腕輪』『回復の指輪』という素晴らしい魔道具を譲って貰ったささやかなお礼もあった。
アンセルムは30羽という数を見て大いに驚き、今度は喜んで受け取ってくれた。
このウサギを渡した時に、笑顔のアンセルムから、
「獣を仕留めた時には、血抜きをした方が良い。魚もそうだ」
と言われた。
魔法及び、我流で剣の鍛錬に明け暮れていたリオネルにとっては、初めて聞く言葉だ。
「え? 血抜きって、何ですか?」
と思わず聞けば、アンセルムは丁寧に教えてくれた。
「血抜きとは、狩った獲物の血を抜く事だ」
アンセルムの答えは文字通りという奴だ。
「獲物の? 血を抜く?」
理解不能だが、アンセルムはすぐに補足説明をしてくれた。
「ああ、狩ったその場で、剣やナイフを使い、獲物の血を抜いておくんだ。腐敗が早まるのを防ぐ為さ」
「な、成る程! ぜひ、教えて頂けますか! 覚えたいんです!」
リオネルは好奇心旺盛。
向学心もある。
相手の好意を即座に読み取る敏感さ、イメージ力も持ち合わせていた。
身を乗り出し、熱心に聞き入った。
アンセルムも、リオネルの勤勉な性格を好ましく感じたらしい。
優しく微笑む。
「血抜きをした際、出来れば腸とか内臓も取れればなお良いよ。俺が譲った収納の腕輪があるから余計な世話かもしれん。だが、冒険者は野外で生活する事も多い。覚えておいた方が良い」
狩ってから時間は経っていたが、アンセルムはリオネルが狩って来たウサギで、やり方をレクチャーしてくれた。
当然『見よう見真似』のスキルが大活躍。
リオネルはすぐに飲み込み、血抜きの基礎的な手順を覚える事が出来た。
ここでふと思いつき、リオネルは、
「今後自炊をする為、ついでに料理に関しても教えて欲しい」と頭を下げ、お願いした。
対して、アンセルムは快諾。
ウサギを使い、いくつかの料理を教えてくれた。
肉だけでなく野菜の処理も……
まだまだ修行が必要だが、リオネルは包丁、ナイフの使い方等々、料理の基礎を覚える事が出来た。
当然『見よう見真似』のスキルが再び大活躍したが、リオネルは料理をするのが楽しかった。
その流れで、リオネルは宿の仕事もいろいろ手伝った。
どれも新鮮で楽しい。
学び、経験し、習得する事が楽しい。
人の笑顔を見るのが本当に嬉しい!!
今まで、罵倒され、馬鹿にされ続けた俺の人生は、……一体何だったんだ……
とんでもなく狭い世界で生きていたんだ、俺って……
でも!
俺はやり直せる!
そして全く新たな人生を見出し、楽しみ、全うする!
ここから俺の人生は激変する!!
逆襲のリスタートなんだっ!!
やるぞぉ!
絶対にやってやるう!!
リオネルは改めて感じ、強く強く決意していたのである。
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