第41話
金龍は寺にある自室で座禅を組む姿を取り、意識を集中させていた。
姿は白い浴衣の寝間着姿であり、傍には抜け出したばかりの体温の残る布団があるが、休もうと思っても、なかなか休める気になど心底なれず、こうして起き出しては自分にやれることをやってしまう。
それが、金龍の性格なのである。
定児君……
定児君…………
呼びかけに答えてください………
昨晩の、捉えた定児の情景を再度キャッチしようと励む。辿るために。
定児君……
定児君……
応えてください………!
渉流君も、とっても、心配していますよ………
。
。
。
。
。
。
自分を呼ぶ声がする、何だろう。
この声は何だろう。
頭が酷くぼんやりするのだ。白靄がかかり、視界だって、なんだか夢を見ているように輪郭線が全て曖昧だ。
俺は一体何をやっているんだろう。
足の間には、誰かの体温がある。
絶えず、動かされ、人肌がのしかかるのがわかる。
人の重みが、自分の肌のすぐ側にあるのが、わかる。
これは何なのだろう。
頬をさすられているのがわかる。
喉を吸われているのがわかる。
「だ……………………れ」
「修聖と呼んでいいって」
フフ、と笑う人肌の主は答える。
誰なんだ………、しゅう………せい…………って………知らねぇよ…………そんな、や…………つ…………。
砂のようにほろほろと溶ける意識の中で、俺は口答えをして見る。
そうだ!俺は定児だ!柏木定児だ!
俺は一体何をやっているんだろう!!ここで!!!
バシャ、と冷や水を頭からバケツで被せられたように、急激に意識から靄が抜けた。
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