第35話※
体の感覚を取り戻してから何度めの交接となろうか。
男二人は暗い神殿の奥で息を熱く荒げ交わり続けていた。
両腕で枕や敷き布を懸命に掴む這う男の背後からかぶさり、全身で覆うように彼の自由な動きを邪魔している男。
蛇のようにうねりのある動きを止めない。
「はぁ………っ……はぁ………っ……はぁ………っ……」
「ほら……わかりますか………?私から神力が君の肉体の中へ絶えず流れ込んでいるのがね」
あの浮遊感ある気の波が、肉と肉が打ち付け合う音がする度に確かに流れ込んできて、全身の神経をウェーブ状の曲線を描いて揺らす。
頭がぐしゃぐしゃになるほど気持ち良い。
溶けるような、ぼんやり熱い気の波の、断続的な注入。
「君から私の中に荒御霊のエネルギーが流れ込む。そしたら私から君に神力が注がれる。これを永遠に繰り返す……まるで、魂から溶け合うようだろ」
「はぁ………っ……はぁ………っ、は………ぁ……っ ……………」
誰にも何もされたことの無い、尻の穴が………気持ちいい。
体を背後にされたり正面にひっくり返されたりして、二人のあられない姿は絡み合うとしか例えようがない。
「……きッ…ど…ぅ……っ……」
機洞の目と俺の涙で滲む目が合わさり、俺は呼吸を吐くように名を掠れながら呼んだ。
男は俺の掌を自分の頬に当て、囁くように耳たぶに甘噛みをするキスをしながら言った。
「……修聖と呼んでいいよ」
ゾクゾク背筋を幾度も這い昇ってくる蛇は快楽の電流だった。
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