第26話

「あなたは………」



「この前祈祷を頼んだ森野君のお友達ですかな。覚えてますよ。あんた私の小鬼が視えていたからね」



間違いなくこいつは、あの光の共鳴教とやらのインチキ臭い教祖だ。

気を取り直して俺は尋ねる。


「ど、どうしてここに?」




「ここは私の敷地です。譲渡されたんですよ、神社も、土地も、裏の白三弥山の権利書類も一式、ここの神主一家からね」



「えっそれで神主の一家はどうしたんですか?」



「引っ越したらしいですよ、こないだ一家揃って」



「どこへ?」



「さあ」



飯塚稲荷は肩を竦める。


背筋がゾクリとする。


この教祖は、体中から自分を威圧するような気を放っている。それに俺の中の警戒の鐘がさっきからガランガラン鳴っている。まるで火事を知らせる半鐘のように。


早くこの男の前から立ち去らないと、取り返しのつかないことになるぞ、と。




「はは……そうですか。じゃあ俺はこれで」


「君もたまには私達の本部に来てくださいよ、森野君は毎日来てますよ」



はぁーーーーー!?森野はいつからそんなズブズブになってたんだ!??


「機会があればーーー!」



俺は脱兎のように駆け足で逃げた。





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