第18話

朝起きていつもの通り学校に向かうと、学校が大騒ぎになっていた。



ザワザワと校門前にも校舎内にも生徒達の人だかりが出来ている。



「定児クン!定児クン!」


「前山」


「大変だよ!警察がいっぱい来てる!学園長が死んじゃったらしい!職員室と学園長室がある階には一切入れなくなってる!」



人だかりの山から現れた前山の言葉には、流石に目を剥いて飛び退くほど驚いた。


「ウチの学校までー!?」


まさか自分の安息の場まで、例外では無かったなんて。どこか他人事の距離だった呪詛事件が急に身近になってしまった。



早速、学園長が死んだ、と前山が言っていた廊下の現場へと走って向かうも、キープアウトと文字が書かれた立ち入り禁止テープがあちこちに張り巡らされてある。



ええいとくぐり抜けようとすると、早速刑事に怒鳴られ追い返された。


「くそっ」



「定児君、警察の邪魔をしては駄目だ」


警察の怒声を聞いて職員室の奥から出てきた猪狩先生が苛めた。



「猪狩先生!学園長が死んだって本当ですか!?」



「…………私からは何も言えません、まだ!」



いつになく猪狩先生も険しい。


しょうがない、と俺は退散した。



教室に入ると机に座って早速自分なりに事件の整理をしてみた。



殺害されるのは、確かこの町の名士、要人ばかりだ。




この街の地方議員、地元の立役者とも呼べる企業の社長、この街の警察署長、市長、学園長…………。



警察署長が狙われただけでも警察の威信とプライドをかけて犯人挙げに血眼だろうに、こうまで要人ばかりがいとも簡単に赤子の手を捻るように殺されているとあっては、この町の警察行政の内部はガタガタだろう。


にしても何でお偉いさんばかり狙われるのかな。


「定児君、今は学園の一大事ですからね。詳しくは言えませんが、暫く大人しーく過ごしていてくださいね」


考えこんでいると猪狩が現れた。



「定児君、君には他の人にはない強い力があるのでしょう?以前まではなかったのに、最近強く感じられます」



「先生、先生ももしかして、霊感、が?」



コクリと猪狩は頷く。




「知りたいんでしょう?定児君。好奇心いっぱいの君は、今この街で何が起こっているのか。いいでしょう、定児君。学校が終わったら先生の家に一緒に来てください。妹を見せます。妹のひもろぎをね」



猪狩は夜間の清町で怪しいものを目にして以来、眠り続けているというあの妹を見せてくれるという。


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